私のウェルネスを探して/目黒越子さんインタビュー前編
「地味色コーデ」目黒越子さんが伝授!“洋服迷子世代”のための「自分の定番服」を見つける方法
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LEE編集部
2025.12.06

今回のゲストは『デミルクス ビームス』ディレクターの目黒越子さんです。目黒さんは2005年に「デミルクス ビームス新宿」で販売員としてキャリアをスタート、ショップマネージャーやスーパーバイザー、プレスを経て、2022年にインスタグラムを開設すると2カ月でフォロワーは4万人に(現在は7.2万人)。2023年には『デミルクス ビームス』から目黒さんオリジナルライン(.M)(ドットエム)がスタート。同年にスタイルブック『Meguro’s SIMPLE STYLE MEMO (I AM BEAMS)』(世界文化社)が出版されました。
前半では、目黒さんがファッションの仕事に就いたきっかけやショップスタッフとして接客で気をつけていたこと、目黒さんのスタイルが決まるまでの話を聞きます。自分らしい定番服の見つけ方、洋服迷子の解決方法も教えてくれました。(この記事は全2回の第1回目です)
雑誌のファッションスナップを見るのが好きで、ファッションの仕事を志すように
目黒さんがファッションの仕事に就こうと思ったのは高校生の頃。進路に悩んだ時、担任の先生から何が好きかを聞かれて選んだもののひとつがファッションでした。服飾の専門学校に進学し、幅広く学べるという理由からスタイリスト科に入学します。
「国内外のファッション雑誌を見るのが好きで、特にファッションスナップが好きでした。その人のどんなところに惹かれるのか、ヘアスタイルなのかアクセサリーなのか、洋服の組み合わせなのかを考えるのにわくわくするんです」

スタイリスト科で学びますが、「東京で一人暮らしをしながら当時のスタイリストの給与で働くのは厳しいかも……」と思うように。専門学校卒業後、フリーター期間を経て、新宿にオープンする『デミルクス ビームス』のスタッフとしてキャリアをスタートします。
ビームス勤務20年目。ここまで長く続けられたのは、シンプルに「やりがいがあって楽しかったから」
「毎日お客様とお話しするのが心から楽しかったですし、刺激的で活発な先輩・同僚と過ごす時間も楽しくて、大変なことがあっても忘れられるくらい仕事がどんどん好きになっていきました」
販売員からスタートし、ディレクターやショップマネージャー、プレスなどを経て現在は再びディレクターに。 ビームスで過ごした時間は20年目を迎えます。一つの会社でここまで長く続けられたのは、シンプルに「やりがいがあって楽しかったから」。




「転職や独立を考えたこともありましたが、結局はまたここにいるんですよ。仕事や人とのつながりもそうですが、タイミングよくいろいろやりがいのあることを与えてもらっていると感じます」
洋服選びは「実際にアイテムを見ること」「試してみること」が大事
さまざまな役職を経験した目黒さんですが、販売員として最も成長できたのが「デミルクス ビームス 横浜」のショップマネージャーでの経験だったそうです。ここでの接客の経験が自信につながり、目黒ファンを増やすきっかけにもなりました。

「横浜ではショップマネージャーとして、10人ほどのスタッフと一緒に運営していました。横浜店は駅ビルということもあり毎日たくさんのお客様がいらっしゃいます。その中のひと握りの方がリピーターや常連さんになってくださっていて、その方たちとの交流がわたしの学びになりました。私のことを覚えてくださって、来店されるとこちらからも何かお話ししたくなる。常連さんに喜んでほしい・大事にしたいという思いが仕事のやりがいにつながり、頑張るきっかけになりました。そんな皆様が友達を連れてきてくれたりもして、お話ができるお客様が増えた時期でもありました。お客様とどうお付き合いするのか、こうやってお客様と関わっていくのかを学べた経験は大きかったです」
オンライン販売など便利なお買い物方法も増える中、お店に足を運んでみることには大きな意味があると目黒さんはいいます。“実際にアイテムを見ること”、そして“試してみること”。自身も洋服選びで大切にしていることです。

「ふだんオンラインで洋服を購入される方も増えていると思いますが、お店に来ると洋服の色みや質素材の質感、手触りが直接見て触れられるのが良い点です。サイズ感や着心地を確認するためにも試着は欠かせません。着慣れているブランドの同じものの買い足しはいいですが、新しいアイテムを買うときほど試着が重要になります。このアイテムはジャストサイズでよかったけれど、このアイテムは1サイズ大きくしたほうがいいとか。サイズ選びが一番難しいんですよ。一度試して納得してから自分のクローゼットに入れる。そうするとクローゼットがちゃんと回り出すんですよ。“試着は何枚着てもタダ”、ぜひ試着が可能な環境のときには試して欲しいです」
30代後半のキャリア転換期に「地味色コーデ」が定番スタイル化
目黒さんといえば、地味色コーデ、ノースリーブトップスとロングスカートを組み合わせたIライン・Aラインコーデが定番です。しかし30歳頃まではいろいろなファッションに挑戦したそうです。
「仕事柄、いろいろなものを着たいし、いろいろなものを着ないといけないと勝手に思い込んでいました。謎の強迫観念がありました。その中から“これが好き”“これを着ると1日楽しくいられる”という着こなしが分かり、同じようなものでも毎日着てもいいんだと思えるようになると心が楽になりました。“これがわたしの好きなスタイル”と今のスタイルになったのが30代後半でした」

30代後半は目黒さんにとってキャリアの転換期でした。スーパーバイザーとして出張が増えたり、人の前に立ったり、責任のある立場として接客が必要だったりする機会が増えたと言います。そこで役立ったのが、地味色、I・Aラインコーデでした。
「年齢もあると思いますが、“おしゃれしたい”“トレンドの服を着たい”という気持ちより“自分のことを覚えてほしい”“信頼されたい”という思いが強くなりました。“それを叶える服ってなんだろう”という悩みに加えて、“ストレスがない”“きちんとして見える”条件が重なり、今のスタイルが完成していきました。ノースリーブとロングスカート、自分に必要なアイテムが絞れてくると洋服選びも自分の気持ちも楽になりました」
30代・40代の“洋服迷子世代”が「自分の定番服」を見つける方法
アパレル業界で毎日洋服に触れ、服を着る・ご提案する回数も多かったことで洋服の固定化が早くできたのかもしれないといいます。私たちが“自分の定番服”を決めるにはどうしたらいいのでしょう。
「その服を着ていると褒められる、自分にとってストレスがない、仕事がうまくいった。何かいい思い出、いい経験がある洋服で固めていくのがいいと思います。いつもとちょっと違う服で出かけたときに“今日どうしたの?”“何かあるの?”と聞かれる服を着ていると、1日どこか気持ちが落ち着かない。いつもの自分でいられる服、落ち着いて集中できる服が自分にちょうどいい服、定番服になるのかなと思います」

30代や40代で誰もが経験する洋服迷子。“今まで着ていた服が似合わなくなった”“ピンとこなくなった”と何を着れば良いのか分からなくなります。目黒さんに洋服迷子の解決法を聞くと、シンプルな方法を教えてくれました。
「クローゼットの整理をしてみてください。私は書籍を出すタイミングがちょうど40歳だったのですが、自分が好きなものは決まっていると思っていたら、同じような服がたくさんありました。わたしの場合は、IラインとAラインのロングスカート。この“同じような服”こそ自分の軸とわかったら気持ちが楽に。その軸を中心に更新したり挑戦することをおすすめします。もしいまどこか違和感を感じるのはシルエットや着丈、ちょっとした色味などがいまのムードと離れてきているかもしれないので同じようなものでも買い直してみると軸を取り戻せます。そして、何かひとつ新しいものを取り入れてみることをお勧めします。靴、トップス、ボトム、メイク、何か新しいものを加えて、クローゼットを組み直していくイメージです」
今、参考にしているのはスカンジナビア女性のファッションスナップ
目黒さんがファッションの参考にしているのは、昔から好きなストリートスナップ。最近は、デンマーク・コペンハーゲン周辺のファッションスナップが気になってよくチェックしています。

「シンプルでモード感もありつつ、品があって女っぽい。インスタグラムでチェックしたり、『デミルクス ビームス』で取り扱うのもコペンハーゲンのブランドが多くなってきています。コペンハーゲン周辺のスカンジナビアの女性たちのスタイルが本当にかっこいいんですよね。シンプルだけどジュエリーがさりげなく効いていたり、大人の女性が女っぽくファッションを楽しんでいます。自分より少し年上の女性たちのスタイルがすごく素敵なんですよ。グレイヘアにしたらこうしたい、ジュエリーも大ぶりなものを選んでもいいな、こんなネイルも素敵だなとか。真似してみたり参考にしたりしています。ファッションはもちろん生き方のヒントになりますし、楽しむモチベーションにもなっています」
(後編につづく)
My wellness journey
私のウェルネスを探して
目黒越子さんの年表
1983
山梨県生まれ
2001
文化服装学院スタイリスト科入学
2005
『デミルクス ビームス 新宿』スタッフとしてビームスに入社
2012
結婚
2013
『デミルクス ビームス 横浜』ショップマネージャーに
2018
スーパーバイザーに(横浜、北千住、新宿、新潟、金沢の店舗を担当)
2020
プレスに異動
2022
Instagramをスタート
2023
『デミルクス ビームス 』から目黒オリジナルライン(.M)(ドットエム)をスタート。書籍『Meguro’s SIMPLE STYLE MEMO (I AM BEAMS)』(世界文化社)を出版

Staff Credit
撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子
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1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
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