Vol. #
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もうすぐ新米の季節ですね。でも今年は酷暑や水不足など作柄が心配ですし、価格面も気になります。スーパーなどでは古米や古古米などの備蓄米もまだまだ見かけます。そこで今回は、今年発売の炊飯器の中から、新米も古米もおいしく食べられるものを厳選してご紹介しましょう。すぐに買わないとしても、知っておいて損はない、最新炊飯器事情をお届けします。
約9,600通りのプログラム!
AIが4つのセンサーでお米の状態を見極めて最適に炊き上げる
パナソニック「ビストロSR-X910D」

パナソニックの可変圧力IHジャー炊飯器と言えば独自の炊き技「Wおどり炊き」。
爆発的な沸騰と熱対流でしっかり熱を伝えお米本来のうまみを引き出します。
2025年9月1日発売の最新モデルでは、新しく搭載されたリアルタイム赤外線センサーのほか、沸騰検知センサー、リアルタイム圧力センサー、釜底温度センサーという4つのセンサーが「米の含水率」「米の吸水速度」「釜の中の水分量」「釜の中の温度」などのお米の状態をとらえ、リアルタイムで圧力・火力を自在に調整するのがポイント。

ビストロ匠技Aが司令塔になって、約9,600通りのプログラムから自動で最適な炊き方を選んで炊き上げるので、水加減を変えたりすることなく、新米でも古米でもおいしく食べられるというわけ。
乾燥米にありがちなパサつきをカバーするだけではなく、ごはんの甘みまでアップして、新米のようなおいしいごはんを楽しめるのはうれしいですよね。

実際に試食会に参加して古古米を味わってきましたが、「これが古古米?」と思う甘味とふっくら感にびっくりしました。業界全体を見ても、この春くらいから高級炊飯器の売れ行きが伸びているそうですが、フラッグシップモデルなのに10万円を切る価格というのもうれしいなと思います。
IHと相性のいい“本炭釜”と「炊き分け名人」の技で
新米も古米も粒立ちのいい甘いごはんに仕上げる!
三菱「本炭釜 紬」

カラーは炭漆黒(すみしっこく)と白真珠(しろしんじゅ)実勢価格¥133270。
炭素材と形状にこだわり、職人が一つひとつ約100日間かけて仕上げる本炭釜を採用しています
2006年に純度99.9%の炭素材料を使った本炭釜を使った10万円超えの炊飯器を発売し、「高級炊飯器ブーム」の先駆けとなったのが三菱電機です。
20年目を迎えた今もIHと相性がよく、遠赤外線効果でうまみが凝縮する本炭釜を採用していますが、その形状は進化を続け、急速沸騰時のふきこぼれを抑制する独自構造の「段付き内釜」に。これによって連続大沸騰が実現し、かまどで炊くような理想的なごはんが炊き上がります。

圧力をかけない炊飯方式にもこだわっていて、お米の表面が「保水膜」にきれいに覆われて、うまみが閉じ込められており、粒立ちがよくて甘味のあるごはんになるのが特徴です。
こちらも業界に先駆けて取り入れた「炊き分け名人」機能も三菱ならでは。粘り、かたさの組み合わせが15段階から選べるようになっているため、同じお米でも好みやおかずの種類、お弁当やおにぎりなどの用途に合わせて炊き分けられるのが特徴です。この「炊き分け名人」の設定を「ねばり・ふつう」の「かたさ・やややわらか」もしくは「かたさ・やわらか」にすることで、古米もおいしく食べられるというのがいいですよね。

これを利用すると古米・古古米もおいしく炊けます。
おすすめは「ねばり・ふつう」の「かたさ・やややわらか」もしくは「かたさ・やわらか」
お米50銘柄それぞれの個性を引き出す専用モード「銘柄芳潤炊き」もありますが、銘柄炊き分けを使った場合もさらに、9通りの食感に炊き分けできます。冷めてもおいしいもっちりした玄米ごはんや、ダイズライスモード、低温調理などのヘルシーメニューも充実しています。
古米にぴったりの「極・低温吸水メニュー」も!本土鍋で香り高いごはんが炊ける
タイガー「土鍋ご泡火炊き」

カラーはミストホワイトとストーンブラック。¥159500
四日市の萬古焼きで作られた本土鍋を採用し、約300度の大火力と土鍋ならではの細かな泡で包み込むように炊き上げるのが特徴なのが、タイガー魔法瓶の「土鍋圧力IHジャー炊飯器 炊きたて 土鍋ご泡火炊きJRX-S100」。

香りがよく甘みのあるごはんが特徴ですが、2025年モデルでは新たに「極・低温吸水メニュー」を搭載しています。これは、料亭の味を目指した最上級の炊き方として生まれたそうですが、実は古米にもぴったりなのです。
使い方はどうなのかというと、通常通りに洗米を行い、水目盛りに合わせて水かげんを行った後に、米と水を一緒に保存容器に移し替え、そのまま6時間(~12時間)ほど冷蔵庫で保管を行ったあと、このメニューで炊き上げるというもの。お米は急激に吸水させると表面が荒れ、甘みと食感が損なわれてしまうため、低温でじっくりと吸水させることが理想ですが、これをひと手間かけて冷蔵庫に寝かせることで行うというわけですね。
「極・低温吸水メニュー」では、吸水工程を省き、低温から一気に高火力で炊きあげることでベタつきを抑えつつ、昇温温度を巧みにコントロールすることで焦がさずに丁寧に炊き上げるのがポイント。事前に冷蔵庫で吸水させておく分、炊飯時間は短くて済むのはいいですよね。

冷めてももっちりとした食感と、甘みを感じられる「おにぎりメニュー」が新たに搭載されています。写真は試食会のもの
そのほか、最近、インバウンドの方々にまで大人気だという「おにぎり」に注目した、「おにぎりメニュー」もあり、吸水時間を伸ばしてお米の芯まで水分を吸水させることで、糊化しやすい状態を作り出し、冷めてももっちりとした食感と、甘みを感じられるごはんを炊けるようにしています。土鍋ごはんで炊いたおにぎりの「粒感があり、ほどけるような食感」を目指したそうですが、試食会で食べてみて納得。おにぎり好きの方にもぜひ。
6つの底IHヒーターによる高火力でふっくら炊き上げ!
121通りの「わが家炊き」が魅力
象印「炎舞炊き NX-AA10」

カラーは写真の黒のほかに白も。¥165000
縦横無尽にお米を舞い上げる“炎舞炊き”でお馴染みなのが象印マホービンの「圧力IH炊飯ジャー 炎舞炊き NX-AA10」もさらに進化を遂げています。

6つの底IHヒーターの部分的集中加熱によって激しい対流を起こし、
高火力でふっくら甘味のあるごはんを炊き上げます
IHヒーターの厚さなどを一から見直し、象印史上最高の1400Wの大火力を実現させ、より激しい対流を引き起こすことに成功させました。基本はもっちり甘いごはんですが、ねばりやかたさの好みは人それぞれ。お米も銘柄による炊き分けなどを採用していないのは、天候などによって作柄が変わるから。
そこで象印が採用しているのが、かたさ11通りとねばり11通りを組み合わせた121通りの中から好みの味わいを選んでもらおうという「わが家炊き」。
あくまで象印が選んだおいしさの基準を真ん中に置いていますが「今日の炊き方はどうだった?」というアンケートに答えることで、どんどん自分好みにチューンアップされていくというわけです。新たに「ごはんに関する3問のアンケートに回答すると、好みの味を自動で診断し、自動調整するナビゲート機能も加わって、より早く好みの味に近づけるように進化しています。

「わが家炊きメニュー」を使えば、新米も古米も、どんな銘柄でも好みの味に
製品DATA
- ブランド:パナソニック
- 商品名:可変圧力IHジャー炊飯器 ビストロSR-X910D
- ブランド:三菱電機
- 商品名:本炭釜 紬
- ブランド:タイガー魔法瓶
- 商品名:土鍋ご泡火炊き
- ブランド:象印マホービン
- 商品名:炎舞炊き NX-AA10
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