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【「排水口」の正しい掃除方法】ヌメる・つまる・におう…場所別の原因と対策は?
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藤原千秋
2025.07.24
いろんなものを洗う。汚れた水が流れ去っていく。住まいのあらゆる「排水口」という水の出口。
キッチンシンクに、洗面ボウルに、洗濯機の排水部分に、浴室に、あってしかるべきで、無いなんてありえない! もちろん、詰まる不具合なんて言語道断。
けれど「汚れた水」を流すところだから当然、汚くなりやすいわけで……
だから適切なケア、こまめな掃除が必須?
でも忙しいし、触りたくすらない……ですよね。
それでも気温が高くなるにつれ、ドロドロヌメヌメしだして止まらないのが排水口。
いったい、どうしたらいいのでしょう!?
今回はとりわけ夏に凶暴化(!?)しがちな、住まいのあらゆる「排水口」で嫌な思いをしないための先回りケアの方策を、場所別にご説明したいと思います。
夏は水を使って掃除しても苦にならない貴重なシーズン。ぜひそんな「今」を活かして!
「キッチン」の排水口
おもな原因:油、細菌、食べ物のカス

食べ物を扱い、食べ残しを扱い、野菜についた泥を扱い、魚や肉の血液を扱い、油を扱い、各種洗剤を扱う、シンクの排水口。
舞い踊る多様な汚れ&洗剤&水。だからこそ、排水口の中でも一番汚れるといって過言でないのがここです。
特にキッチンの排水口をヌメらせる最大の原因は「油」と「食品」。
食器や鍋を洗うときに出た油が排水トラップ内に固まりこびりつき、そこにさらに細かい食べカスや水アカが結びついて栄養豊富状態……ヌメりと悪臭の完成です。
対策
- 排水口カバーとカゴはこまめに外して洗剤洗い。
- 食器洗いの最後に軽くお湯(40~50℃)を注ぐことで、油分が固まるのを防ぐ。
- 週に1回、塩素系漂白剤スプレー&放置で細菌由来のヌメりを除去。
- 生ゴミは水気を切ってから捨てる、排水ネットはこまめに交換。
ちなみに、ディスポーザーのある家庭でも、やはりこまめな洗浄と乾燥タイムは必要です。
「洗面ボウル」の排水口
おもな原因:髪、皮脂、歯磨き粉

一見そこまで汚れていないように見える洗面台ですが、うかうかしていると細い排水口はしっかりと詰まります。
主犯は髪の毛、顔などの皮脂、洗顔や手洗いの石けんのカスや歯磨き粉の残り。
そして盲点はマウスウォッシュ! 口内のタンパク質を溶かす成分が髪の毛をも溶かして、排水管にこびりつかせます。
さらにチョウバエなど不快な虫の巣窟にもなりやすい「オーバーフロー穴」(水が溢れないよう排出するための穴)にも注目。ここも知らず知らず入り込んだいろいろなもので、実はかなり汚れています。
対策
- まずは髪の毛キャッチャーを設置(もしくは排水口ネット代用)。100円ショップで売られているものが交換しやすく安価で便利。
- 排水トラップを月1回、分解掃除できれば理想的。最低でも年に1回は分解。
- オーバーフロー穴には塩素系漂白剤(カビ取り剤)スプレーを吹き付けて10分放置、洗面ボウルいっぱいに水を溜めオーバーフローさせてしっかりすすぎ。
- 台所用中性洗剤でのこすり洗い、ふき取り+すすぎで、軽くていいので定期的にケア。
「浴室」の排水口
おもな原因:毛+石けんカス+湿気

浴室の排水口は、長めの髪の毛が多いご家庭では、てきめんに詰まりやすい場所の代表格。
しかも四六時中湿気があるため、ピンクぬめり(メチロバクテリウム=細菌)→黒カビ→ドブ臭と不愉快が進化しがちです。
対策
- 排水口のヘアキャッチャーを毎回の入浴後に掃除する習慣が理想(ただし理想)。
- 取れる髪の毛、繊維くずはティッシュでつまんで即廃棄。
- 排水トラップ(封水筒)を定期的に外して掃除。細菌がゼリー状に蓄積しています。
- 月1回、強力なアルカリのパイプクリーナー系ジェルで排水口内部洗浄。 水を流してしっかりすすげば、スッキリ。
「洗濯機」の排水口
おもな原因:糸くず、洗剤カス

普段は見ようとしなければ見えないような場所。けれどここが詰まると洗濯機から悲惨な水漏れを起こす危険大。
洗濯時に出る糸くず、皮脂、洗剤カスがおもな汚れの正体で、凶悪なドロドロ汚れに育ちます。悪臭やカビの温床にもなりがち。
対策
- できるだけ洗濯機を動かして排水口を露出させる(重労働ですが…年1〜2回は)。
- トラップを取り外して歯ブラシで洗浄。取れる髪の毛や繊維のくずは取りきる。
- 排水口周辺に防カビ剤や除菌消臭剤をスプレーしてから戻すと清潔度UP。
- できれば洗濯ネットを活用して糸くずを抑制。
「屋外スロップシンク(汚れもの専用の流し)」の排水口
おもな原因:土、苔、落ち葉

ベランダのスロップシンクや外水道など、雨風にさらされる場所の排水口も見逃せない存在です。
泥、砂、落ち葉、苔、虫の死骸……いろんなものが混ざり、まさに自然と人工のせめぎ合いに!
対策
- ゴミ受けネットを設置して、落ち葉や泥をキャッチして詰まらせない。
- 季節の変わり目ごとに、たわし+中性洗剤でごしごし洗い。
- 詰まり予防には、高圧洗浄機が使えるなら一気に洗い流すのもアリ。
- 排水が遅いと感じたら、ラバーカップ(スッポン)で引き出すのも手。
先送りしても汚れはたまる…
排水口の汚れ。触りたくない、気が進まないがために「いつかそのうち掃除しなきゃなあ」などと思っているうちにも、使い続けているわけで……時間の経過とともにどんどん増え広がり、さらに蓄積していきます。自然に解決することはありません。
そうしてヌメり、悪臭、詰まり、害虫の温床に……と、住まいに起こる嫌なことが、ひたすら集約されてしまう。それが「排水口」という場の宿命のようなもの!
逆に、ここを押さえておけば、住まい全体の清潔感も格段に上がっていく「秘孔」のような場所とも言える排水口。
掃除は一気に完璧にしようなどと気負わず、それぞれの場所を先送りでなく「ちょっぴり先回り」。
とりあえず目に付くゴミをティッシュでさらうだけでも、ずいぶん違って来るはず。
さて、今日のうちに。どこか一か所だけでも、手を動かしてみませんか?
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
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藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。
















