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水周りの、ぬるぬるぬめぬめ汚れを掃除!【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

  • 藤原千秋

2021.03.15

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暖房を入れていなくても家の中の気温が20度もある……そんな日が増えてきたら要注意!? おうちの水場、水周りに増殖するぬるぬるぬめぬめ汚れの発生ポイント&安全な退治法をチェック! 早めにこのぬめりを減らしておくことで、のちの詰まりトラブルやイヤなニオイも予防できますよ。

そもそもぬるぬるぬめぬめの正体って何?

水温む季節、ぬめぬめ汚れを掃除しよう!【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】触れるとヌルッとしたり、ヌメッとして気持ちが悪く、うっすら(あるいは、はっきり)生臭いニオイがするイヤ~な汚れ。ありますよね。

この手のぬるぬるぬめぬめ汚れは、春が近づき気温が上がるにしたがって、住まいの主に水周りと呼ばれる場所を中心に、どんどんどんどん増えてきます。

この汚れの正体。それは、細菌

細菌はバクテリアともいいますが、つまるところ、汚れそのものがズバリ「生き物」な汚れ。だから放っておくと、殖えてしまうのです。

でも、細菌(汚れ)の全てが「ぬるぬるぬめぬめ」しているわけではありません。細菌汚れの中でも、洗剤や消毒剤から細菌自体の身を護る術として、たんぱく質の一種などでバリアをつくる(細胞外マトリクス)タイプのものがあり、これが主に「ぬるぬるぬめぬめ」と感じられる細菌のかたまりバイオフィルム)になります。

ちなみに実はこの細菌のかたまりのぬめり、私たちの口の中にもあったりします。磨かない歯に付くあのネバネバ……あれもバイオフィルムです。

おうちのぬめぬめあるあるポイント 

さてこれら細菌は「適度な水分と温度と栄養」があればどんどんその場で殖えますので、ぬるぬるぬめぬめも増えれば様々な悪影響を及ぼします。不快感やニオイのみならず、住まい内では流れるべき部分が詰まったり、劣化してはいけないものが腐食したり、他の生き物と合体して強力化したり、なんと私たち自身の病気の原因になることも。  

看過できないおうちの代表的ぬるぬるぬめぬめポイントは以下のような場所です。気をつけてチェックしてみてください。

1:排水口

水温む季節、ぬめぬめ汚れを掃除しよう!【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】キッチン、洗面所、浴室、スロップシンク等々のあらゆる排水口は水分と栄養(汚れ)豊富な場所。特にキッチンは食べ物由来の栄養が豊富。洗面所は歯磨きによる口内細菌や食べかす、ヘアケアに伴う髪の毛。浴室は石鹸やシャンプーリンスの成分、皮脂、金属石鹸、髪の毛その他。雑巾や靴などを洗うば場所なら野外由来の多種の細菌、泥砂に含まれる細菌など細菌自体の種類も多い。

2:シンク、ボウル

キッチン、洗面所など水分が溜まりやすい場所。洗い桶や洗面器などの裏も。

3:排水溝

浴室の排水口周りの排水溝も汚れ、水分の多い箇所。ベランダなどの雨水排水溝、エアコン室外機のドレーン排水を流す排水溝まわりなどもとりわけ夏場ぬるぬるしやすい。

4:浴室全体

シャンプー棚、浴槽蓋、洗い場の椅子、手すり、シャワーヘッドなど、水分が溜まるあらゆる箇所がぬめりやすい。

5:水栓まわり

キッチン、洗面所、浴室などの水栓周りは四六時中濡れやすいうえ、手由来の栄養(汚れ)も意外に多い。

6:トイレの便器内

尿などに含まれるミネラル分が石化したところでぬめりが育つといかにもトイレという悪臭源になる。

7:「~立て」

歯ブラシ立て、食器カゴ(皿立て)、箸立て、傘立て、トイレブラシ立てなど、底部に水分の溜まる「~立て」のすべて。

その他、観葉植物の鉢の水受け、ペットの水場、水槽などなど

ぬるぬるぬめぬめの安全な退治(減らし)方法とは

ぬるぬるぬめぬめは何らかのモノの表面に貼りつく(へばりつく)細菌(など)の集合体。これを落とすには栄養(汚れ)と細菌のかたまりごと「破壊して、はがす」ことをしないといけません。その基本的な手順は、「洗浄、消毒、乾燥」です。

水温む季節、ぬめぬめ汚れを掃除しよう!【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】手っ取り早い方法としては、強アルカリで細胞外マトリクスを変性させて壊し、細菌も強力に酸化させて殺すことのできる「次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)」の利用も挙げられます。

でも、そもそも浴室に出るぬめりの代表的な細菌、メチロバクテリウムのバイオフィルム(いわゆるピンクヌメリ。赤カビと呼ばれることもありますがカビではありません。一部赤色酵母)は次亜塩素酸ナトリウムへの耐性を既に備えていたりしますので、必ずしも強いからといって万能なわけではありません。また強いが故に安全面では、そう気軽に使用すべきものともいいがたいです。<細菌は「適度な水分と温度と栄養」があればどんどんその場で殖えます>と前述したように、殖える原因となる栄養、つまり汚れを、洗剤などを使っての適切な掃除で落とし、細菌をヌクヌク育てないようにするというのが地道ながら確実な方法になります。
「消毒用エタノール」「乳酸」「塩化ベンザルコニウム」などを主成分とした市販の消毒剤を塗布ないしは噴霧し、さらになるべく乾燥するように仕向ける。水分を拭き取るか風を通すなどしましょう。

とにかく、ぬるぬるぬめぬめは「生き物」! くれぐれも殖やさないようにしましょう。


LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住生活ジャーナリスト、ライター

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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