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PayPayや楽天ペイなどによる「デジタル給与」が身近に。もしも電子マネー事業者が破綻したらどうなる? 注意点とは?

  • 松崎のり子

2025.07.22

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「デジタル給与」が身近に。注意点も知っておこう

松崎のり子さん解説「デジタル給与が身近になりつつある」

会社からの給料が、銀行振り込みでなくコード決済アプリの残高として入金される、いわゆる「給与のデジタル払い」が進んでいます。第一号として、2024年にPayPayが厚生労働省から事業者指定を受けました。

その後も参入が増えており、2025年1月にはリクルートの「Airワーク給与支払い」、3月には「楽天ペイ給与受け取り」、4月には「au PAY給与受け取り」がデジタル払いサービスを決定しています。給与は現金で受け取るのが当たり前という常識の世代とは異なり、20代では「電子マネーやQRコード決済の残高で受け取りたい」との回答が2割近くになっているという調査もあります(リクルートの資料より)。

給与やお金の概念は時代とともに変わっていくのでしょう。
また、月一回払いにこだわらず、週払いなど複数回で支給することも可能になると考えられています。いわゆるスポットワークで導入すれば、デジタル給与での即日受け取りも可能になるという構想もあり、働き方とともに給与の受け取り方も多様化していくかもしれません。

デジタル給与を支払う事業者が破綻しても保護される

デジタル給与

今後、全ての給与がデジタルで支払われるようになるかと言えば、それは違います。 まず、デジタル給与を採用するかどうかは、働く側と企業側との間に労使協定が締結されている必要があり、会社が一方的に「来月からデジタル給与にします」と決めることはできません。さらに、採用されたとしても希望しない従業員へ強制できないのです。

金額も決められており、デジタル給与サービスを提供する事業者ごとで違いますが、振込できるのは10万円~30万円といったところ。住宅ローンや光熱費の引き落としを銀行口座から行っている人にも不便はないわけです。また、本人名義の銀行口座に送金して、現金にして引き出すことも可能です(最低月一回は手数料無料であることが義務付けられている)。

もし、コード決済事業者が破綻した場合でも、6営業日以内にアカウントで保有されている給与相当額の保証金が支払われることになっています。

給料の一部がスマホ決済の残高に追加されるのは便利ですが、注意点も。これまではチャージというワンクッションを挟んでいたため、この金額を入金したと意識できましたが、自動で追加されると入金を管理する意識が緩くなりそうです。給与はあくまで生活費ですから、きちんと予算を決め、「うっかり消費」を増やさないように気を付けましょう。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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