家にまつわるお悩みにプロが答えます!
2025【これから家を買う人のためのQ&A】無理なく買える金額ってどれくらい?金利が下がるのを待つべき?
2025.06.11 更新日:2025.06.26
不動産価格も金利も上がっているけれど……
これからでも家買えますか?

物件高騰や金利上昇のニュースに、「家、買えるの……?」「買うとしたらいつ? ローンはどう選べば?」と不安がいろいろ。すでに家を購入している人にもお役立ちの、繰り上げ返済やローン借り換えのことまで、家にまつわるお悩みをプロが丸ごと解決!
- Index
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- これからでも家買えますか?
- 塩澤 崇さん
- 不動産価格も金利も上がってきていますが、それでも家は買ってもよいのでしょうか?
- 金利が上がっているし、不動産価格は下がるかも? 下がるのを待つのもありですよね?
- 住みたい場所が、資産性があまり見込めない場合は?
- 転勤がある、社宅がある場合は?
- 家を買うなら、無理なく買える金額ってどのくらいですか?
- 金利がこれからも上がりそうですが、固定? 変動? 住宅ローンはどう選べばよいですか?
- 今、増えているペアローン。メリットと注意点は?
- 繰り上げ返済はするほうがよいですか?ローンの借り換えは得するのでしょうか?
- 家の買い方、住宅ローンの借り方・返し方まとめ
- あわせて読みたい
聞きたい
1
不動産価格も金利も上がってきていますが、それでも家は買ってもよいのでしょうか?
賃貸は掛け捨て、持ち家は積立投資。インフレ時代には持ち家がおすすめです
「約30年間の物価が上がらなかったデフレ時代からインフレ時代になった今、考え方を切り替える必要がありますよね。さまざまな物の値段が日々上昇中、不動産の価格が上がっていることもニュースになっていますが、人気エリアなどの物件は、今後も上がっていくことが予想されます。今5000万円の物件を住宅ローンを借りて購入、コツコツ返済して、将来家の価値が7000万円に上がったとしたら、それは“積立投資”のようなもの。インフレ下では物の値段が上がっていくので、欲しいものがあれば早めに買うことがセオリーなのです。一方で、賃貸の場合は、家賃を払い続けても資産は残らないので、いわば“掛け捨て”です。インフレ時代には現金を持っておくよりも、資産を買うほうが合理的だと言えます」(塩澤さん)

金利が上がっているし、不動産価格は下がるかも? 下がるのを待つのもありですよね?
下がるのを待つなら、その間に支払う家賃も計算に入れて
「金利が上がれば、不動産価格は一般的には下がります。ただし、それを見込んで購入を保留にする場合は、その間の家賃を計算してみてください。仮に支払っている家賃が月15万円で、2年待つとすれば360万円です。2年間で物件が360万円以上下がると考えれば待つ選択肢もありますが、物件が下がらずに上がってしまう可能性もあります。今後の物件価格について確実には予測ができないことと、待っている間も家賃の支払いが必要であることは意識して検討しましょう」(塩澤さん)
住みたい場所が、資産性があまり見込めない場合は?
家は資産性だけがすべてではありません。家族が何を大事にしたいのかを考えてみて
「持ち家のメリットは必ずしも資産性だけではありません。庭作りやガレージを楽しめたり、間取りや内装を自由にカスタマイズできたり。終のすみかがある安心感もあります。あえて自然を感じられる場所に家を買うのも一つの選択肢です。何を幸せだと感じるかは人それぞれですので、人生を豊かにするためにはどんな選択がよいのか、家族で話し合ってみてください」(塩澤さん)
転勤がある、社宅がある場合は?
不動産価格が上がる可能性と年齢も考慮して検討を
「転勤で全国各地を転々とするなら難しいかもしれませんが、家を買いたい場所に数年で戻ってくる見込みがあるなら早めに買うのも一案。社宅は確かにお得ですが、仮に月10万円浮くとしたら、10年で1200万円。その間に住みたいエリアの物件が1200万円以上値上がりする可能性もあります。私の知人の例で、数年間の海外勤務後、帰国してから家を買おうとしたら、その間に買いたいエリアの物件が予想以上に高騰していたということが実際にありました。時間がたつと物件価格が上がる可能性、また年齢が上がることによって希望の住宅ローンを組みづらくなるケースもあることは考えておきましょう。なお、転勤による不在期間の住宅ローンの扱いについては、借入先の銀行に相談を」(塩澤さん)
聞きたい
2
家を買うなら、無理なく買える金額ってどのくらいですか?
安心な借入額は世帯年収の5倍まで。高めでも7倍までを目安に
「不動産は立地など、よいものであればあるほど高額になるのが基本。よいものはみんなが欲しいからです。家庭によって支出の具合、何にお金をかけたいかはそれぞれなので、家にかけられるお金の上限はよく話し合う必要がありますね。一般的には世帯年収の5倍まで、高くても7倍までが借入額の目安です。住宅購入後は、ローン返済以外にも固定資産税や火災保険料、マンションなら管理費や修繕積立金も必要です。それらを支払っても家計がまわるかをチェックしましょう。私自身はマイホーム購入の際に、資産性を重視して世帯年収の約7倍の物件を購入したいと思っていたのですが、共働きの妻は定期的に家族旅行に行きたいという考えで、その分の予算も考慮して、世帯年収の約5倍の物件を選びました」(塩澤さん)

聞きたい
3
金利がこれからも上がりそうですが、固定? 変動? 住宅ローンはどう選べばよいですか?
金利は上がったと言ってもまだほんの少し。変動が有利です。ただし、あと2%は金利が上がっても耐えられる借入額に
「最近、金利が上がったとニュースになっていますが、まだほんの少し。私は0.6~0.7%ほどで借りられる変動金利が有利だと思います。住宅ローンを組んで最初の10年は金利を多く支払う時期なので、現在の金利の低さは大きな魅力。そのメリットを生かして頭金を入れずに、手元にお金を残してそれを運用するといいですね(詳細は下記)。では今後の金利ですが、金利は好景気のときに景気の過熱を抑えるために上げられます。人口減の日本では経済が過熱することは考えづらく、アメリカのように住宅ローンが5%を超える高金利となるまでには相当な距離感があると思います。ただし、金利が一時的に今より2%は上がることを想定して、借入額を検討してください。金利は上がったら上がりっぱなしではなく、景気によって下がることもあります。これも変動が有利だと考える理由です。フリーランスなど収入が変動する人は、金利変動のリスクは取らずに固定金利でもよいと思います」(塩澤さん)
Topic
今、団信の保障内容が大充実! がん団信はつけるのがおすすめ
「住宅ローンと原則セットで加入するのが、団体信用生命保険(団信)。ローン返済者の死亡時にローン返済がなしになる心強い保険です。ぜひプラスでつけたいのが、がんと診断されたらローン返済がなしや半額になる『がん団信』。通常のがん保険に比べてかなりお得ですし、がんの早期発見も増えているのでメリットが大きいです。金融機関によっては、金利の上乗せなしで、がんや三大疾病でローンが半額になるタイプもあります。団信もしっかり比較検討を」(塩澤さん)

聞きたい
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今、増えているペアローン。メリットと注意点は?
借入額を大きくできるので資産性の高い不動産を買いやすい。ただし離婚のリスク、出産・子育てで収入減の可能性も考慮して
「人気エリアの駅近の物件など、資産性が高い不動産は高額です。ペアローンは2人分借りるので、借入額を大きくできるのがメリット。資産性を重視するのなら、ペアローンを組んで可能な限り高い物件を購入するというのもありです。注意点としては、まず離婚のリスクです。離婚するとだいたいの場合、家を売却することになるのですが、そのタイミングで残債より低い金額でしか売れないと、持ち家がなくなるだけでなく借金を抱えることに。また、出産や子育てによる時短勤務や転職などで収入が下がる場合もあります。将来の収入減の可能性も考えて、2人でずっと返済し続けられるかをよく考えましょう」(塩澤さん)

聞きたい
5
繰り上げ返済はするほうがよいですか?ローンの借り換えは得するのでしょうか?
低金利のうちは繰り上げ返済は必要ありません。現在の金利が1%以上なら、借り換えで得する可能性あり
「今は超低金利なので、繰り上げ返済で得をするのはわずかな額。手元に現金を持っておくほうがメリットが大きいです。無理に繰り上げ返済をすると、後に子どもの学費などで支出が増えた場合に、手元に現金がなくて困ることもありますから。手元のお金は、資産運用にまわすといいですね。繰り上げ返済を考えるとすれば、ローンの金利が3%ほどになり、利子の支払いが資産運用のリターンを超えるかも、となったらでよいと思います。またローンの借り換えは、現在の金利が1%以上であれば見直すメリットあり。金利を確認して、シミュレーションしてみてください。借り換えると、団信の保障内容を厚くできることもありますよ」(塩澤さん)
手元に残したお金はぜひ運用を
「頭金や繰り上げ返済にまわすつもりだったお金、変動金利で借りている場合、固定金利との金利差分浮くお金は、ぜひ投資信託の積み立てなどで運用を。例えば米国株のS&P500に連動する投資信託に投資すれば、短期的には値下がりすることもありますが、長期的なスパンでは過去の実績から年率5~6%ほどの利回りが期待できます」(塩澤さん)

家の買い方、住宅ローンの借り方・返し方まとめ
インフレ時代、家を買う決断は早めに。年齢が上がるとローン審査に影響も
まだまだ低金利。住宅ローンは変動金利が有利
頭金なし、繰り上げ返済なしで、低金利、団信のメリットを最大限生かして
金利が上がったら、借り換えもぜひ検討を

Staff Credit
撮影/柳 香穂 イラストレーション/とみながしんぺい 取材・文/西山美紀 ※特集の内容は2025年5月時点の情報に基づくものです。
こちらは2025年LEE7月号(6/6発売)「これからでも家買えますか?」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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