男の子3人兄弟「性の話」【中村仁美さん】私も恥ずかしがらず、いつもどおりのトーンで返しています

性教育は必要だとわかっていても、親子で性の話はなかなかしにくいのが本音。親自身は教育を十分に受けてこなかった世代なので、どんなことをどう話せばいいのか戸惑う人も多いはず。そこで実践している人たちに、その術を教えてもらいました。

性のことにオープンな息子たち。私も恥ずかしがらず、いつもどおりのトーンで返しています

中村仁美さん

中村仁美さん

なかむら・ひとみ

アナウンサー

長男13歳、次男9歳、三男5歳
1979年、神奈川県出身。フジテレビアナウンサーとして活躍後、2018年からフリーアナウンサーに。数多くのバラエティ番組や女性誌などに登場。夫は「さまぁ～ず」の大竹一樹さん。3児の母として多忙な毎日を送る。

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女性の体のことを知ってほしい。生理の仕組みも話しています

13歳、9歳、5歳の3人の男の子の母である中村仁美さん。息子さんたちとは普段から会話が多く、性についてもオープンなのだそう。

「娘がいたらまた違ったのかもしれないのですが、私以外は男性ばかりなので、気になったことは何でも口に出してしまうんです。ストレートに性にまつわる質問をされることもあるし、成長期なので、息子自身が感じる体の変化について報告があることも。私もあまり構えずに、普通のテンションで質問に答えています。性のことって親が恥ずかしがったら、話せないと思うんですよね。内心びっくりすることもあるのですが、できるだけいつもどおりのトーンで対応することを心がけています。私がそんな感じなので、息子たちも意識しすぎず、性の話も何てことないと思っているのかも。ただ、特に小さい頃はふざけてズボンを下ろして遊んでいることがあったので、これは『外でやったら捕まるからね』と厳しく伝えていました。やってはいけないことほど真剣に話して、注意しなければいけないなと思っています」

ほかにも、性について息子さんたちと話していることはありますか？

「性教育は早くからしたほうがいいと周りから聞いていたので、私は息子でも関係なく、小さい頃から生理について話していました。生理中に一緒にお風呂に入ると『血が出てる！』と気にするので、『ママのおなかの中で赤ちゃんのベッドの代わりをしているんだけど、赤ちゃんが来ないと必要ないから体からはがれて、月に1回血が出るんだよね。これが生理っていうんだよ』などと説明を。息子たちは特に抵抗なく聞いているし、男の子でも女性の体のことは知っておいてほしいですよね。あとは、息子たちが通う学校で性教育の時間があって、プライベートゾーンのことや、妊娠中の女性の心身の変化などを教えてもらったようです。授業参観が性教育の授業だったこともあり『ぜひ家でも話してみてください』と先生に言われ、これはいいきっかけになってありがたかったなと。学校や地域によるとは思うのですが、少しずつこういった取り組みが増えているのかもしれませんね」

また、成長に伴ってこんな心配もあるのだと言います。

「息子たちを見ていると、女性の体に関心があるのかなと感じることがあります。周りで『タブレットで息子がエッチな言葉を検索していた』といった話も聞くので、もしもわが家でそういうことがあったらと思い夫に相談してみると『そういうのは親がギャーギャー騒がないほうがいいから』と。確かに、興味があるのは普通だし悪いことではないですよね。あまり言いすぎるのもよくないかなと思い、もし何かあっても『お母さんも履歴見てるからね』と伝えるぐらいにしておこうと、肝に銘じました。年齢が上がって思春期になってくると、どの程度親から話すべきか、どんどん難しくなってくるなと感じます。夫は、性のことは親が教えるものじゃないし、知識は友達などから自然に入ってくるから大丈夫だと思っているよう。でも今はネットから誤った情報を得てしまうことも多いし、私としては他人を傷つけてしまうことがないように伝えられることは伝えておきたい……。性教育に関しては、夫婦で考えが異なることも多いと思うのですが、すべて足並みを揃えることもないので、私からはこれからも必要なことは話していきたいなと。長男は中学2年生になるので、そろそろ避妊の仕方なども教えなければと心の準備をしているところです」

避妊について息子にどのように伝えるか、心の準備をしています

思春期の性教育については、海外に暮らす友人から影響を受けることも。

「ニューヨークに住む友人は、息子に『ドラッグと、女の子を妊娠させることだけはしちゃいけない』と話しているそう。もちろん、いろいろな誘惑があるからだとは思うのですが、こんなふうにストレートに伝えるのもいいのかなと。あと、私の友人が高校生のときに親からコンドームをプレゼントされた経験があるそうで。思春期になって面と向かって話しづらければ、物理的に手渡すのもアリなのかなと思い参考にしようと思っています」

女の子への幻想や偏見を感じて心配になることも……

今後も、三兄弟の成長を見ながら、必要なときに性の話をしていきたいとのこと。最近では、異性への複雑な思いを感じることもあるそうで……。

「長男と次男は男子校ということもあって、女性への思い込みがある気がしていて。女の子は誰もがやさしくておしとやかなもの、みたいな幻想を持っていそうで少し心配なんです。また、次男はかなり異性に壁があって『女なんて嫌い』などと発言することが。女性への偏見を持ったり、大切にできなかったりすると困るので、できるだけフラットに接することができるようにと思い、会話の中で話しています。5歳の三男は、たまに私と夫の手をわざとつながせて『ママ、疲れてるからパパにギュッてしてほしいでしょ』なんて言うことがあるんです。私が息子とよくスキンシップをとるからだと思うのですが、好きな人といると心が安らぐみたいなことを、なんとなくわかっているんですよね。そういった気持ちが、相手を大事にして、尊重することのベースになってくると思うので、会話やコミュニケーションの中で息子たちに伝わればいいなと思いますね」

中村仁美さんのおすすめ本

『マンガでわかる オトコの子の「性」 思春期男子へ13のレッスン』

村瀬幸浩（監修）　染矢明日香（著）　みすこそ（マンガ）　合同出版

思春期男子の性の悩みを、マンガとQ&Aでわかりやすく解説。勃起、包茎、マスターベーションなどへの疑問から、LGBT、リストカット、ネットトラブルなど最新のテーマにも着目。思春期の男子が自分でも読みやすい仕立てに。￥1540

息子たちがオープンなので、性のことを話しても過剰反応せず冷静に対応。思春期になったら、ほどよく距離をとりつつ、必要なことを簡潔に話しています。また、女性への思い込みや偏見がなくなるよう、会話の中で思いを伝えることも。