連載
KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を毎月1点ずつ紹介します。今回は、時計。実はあのブランド、デザイン秀逸な名作時計の宝庫です。
file
25.
[時計]Clock

Brand: ALESSI
アレッシ
Item: Clock
時計
時計はデザインにこだわって選ぶと実用を兼ねたアートピースに
時計は時間を見るための実用品ではあるけれど、私にとってはデザインを楽しむオブジェの一つ。
気づけば、長く愛用しているのは「アレッシ」のアイテムです。現在もインテリアショップなどで商品は手に入りますが、かつて東京・青山に小さなかわいい直営店があったのを覚えていらっしゃるでしょうか。残念ながら2018年に閉店となりましたが、実は、その店舗の立ち上げにかかわっていたこともあり、個人的な思い入れもあるのです。
もともとはステンレスメーカーとして創業した「アレッシ」ですが、知る人ぞ知る名作時計が豊富。例えば、掛け時計「フィレンツェ」(右写真1)は、クラシカルなローマ数字を使ったミニマルなデザインと、樹脂という素材のコンビが新鮮でモダンな印象。画鋲1個で掛けられるほど軽量なのも魅力で、掛ける壁を選びません。

置き時計なら、ころんとしたフォルムの「クロノタイム」がお気に入り。シンプルでいて愛嬌があるそのさまは、「さすがピオ・マンズーのデザイン!」とうれしくなる存在感。さらには、内田繁氏が手がけた「ディア・ヴェラ」のデザインの美しさも特筆もので、“実用品でありながらアート”を体現しています。
「クロノタイム」に関しては、このたび「アレッシ」から復刻版が登場。この勢いで、ジョエ・コロンボが手がけた「オプティック」や、個性的なデザインがかわいかった腕時計もまとめて復刻を! なんて、ファンの一人として熱望しています。
名作照明などでも知られるカスティリオーニ兄弟デザインの掛け時計「フィレンツェ」。「文字盤のカラーが白、グレー、黒と3種類あるので、インテリアに合わせて選べます」(石井佳苗さん)

「ディア・ヴェラ」は内田繁氏が福岡の「ホテル イル・パラッツォ」のためにデザインした卓上時計。「アレッシからは廃番になって残念。動かなくなってしまったけれど、オブジェとして大切に飾っています」(石井佳苗さん)
Designer:
Pio Manzu
Italy, 1988
「クロノタイム」の好きなところは、そこに“いる”かのようなユニークな存在感

カーデザイナーとしても知られたピオ・マンズーが、自動車メーカー「フィアット社」のノベルティとしてデザイン。文字盤を含む上部を、見やすい角度に回転させられる仕様が秀逸。

Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2025年LEE6月号(5/7発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。

この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。