凛とした佇まいは、まさに用の美
「中国茶器」空間に“景色”を生み出す存在感【石井佳苗さんのインテリア名品】
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石井佳苗
2026.05.03 更新日:2026.05.05
連載
KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねても、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、インテリアアイテムとしても成立する、中国茶の茶道具のお話。
file
34.
[器]Tableware

Item:Chinese tea utensils
中国茶器
道具ながら、空間に“景色”を生み出す存在感。凛とした佇まいは、まさに用の美
中国茶の道具は、そこにあるだけで凛と静かな空気を漂わせます。日本の急須や湯呑みが持つ“生活感”を、不思議と感じさせません。それはきっと、ふたまわりほど小さい絶妙なサイズの違い。茶壺と呼ばれる急須ひとつでも絵になるし、茶杯(カップ)や茶海(ピッチャー)まで揃うと、そこに自ずと“景色”が生まれ、雰囲気がやわらかく非日常に傾くんですね。
ここ5年ほど、仲のいい友人たちと集まって中国茶のレッスンを受けています。作法も覚え、手さばきもなめらかになった頃、「自分たちの気に入った茶道具が欲しい」というちょっとわがままな話になりました。そこで、知り合いの作家さんたちにお願いしてオリジナルの茶道具を作ってもらい(なんという贅沢!)、’23 年に茶道具展を開催することに。数々の茶器が並ぶ中、私が一目惚れしたのが、郡司製陶所によるセット(左ページ)。丸い陶器の茶箱の中にコンパクトに道具が収納できます。ふたを開けると、小さな道具がお行儀よく並んでいる様子は、まるで大人のままごと道具のよう!
そもそもお茶は嗜好品。その道具には、生活必需品とは一線を画す美しい意匠が凝らされているのも納得です。特に骨董の道具に関しては、美術品のような感覚で部屋に飾ることも。日本の茶道ほど作法に緊張せず、おおらかに向き合える中国茶。長く付き合える趣味になったのは、道具を飾れるインテリア的な楽しさも、大きく影響しているのです。

ガラスキャビネットに飾れば美術品の表情。急須をのせた木製の箱は茶盤と呼ばれる道具。「熱々を味わう茶葉を使うときは、この状態で急須の上からたっぷりお湯をかけて温めます。左は、骨董店で見つけたもの。日本の茶道の道具のようです」(石井佳苗さん)

右は内田鋼一さんによる茶壺、中央は骨董のお猪口、左はオランダの陶器ブランド「ロイヤル・デルフト」社製の古い茶葉入れ。「必ずしも専用の道具が必須ではありません。あえておおらかに“見立て”で楽しむことも」(石井佳苗さん)
Ceramist:
Gunji Pottery Studio
Mashiko, 2023
使わないときも出しておいて眺めたくなる、土の感触を楽しむ茶器セット

郡司庸久氏・慶子氏ご夫婦による益子焼の茶器セット。2003年に栃木・足尾町で窯元を始め、現在は益子町で作陶する。日常の器としての親しみやすさを持ちながら、美しさも兼ね備える作風にファンが多い。「道具として過不足なく、目にしていてうれしい。“ものとしての喜び”も感じさせてくれるのが郡司さんの作品」と石井さん。写真の茶器セットはすでに販売終了。https://gunji-pottery.com/

Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2026年LEE5月号(4/7発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。
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