【今月おすすめの本】青山美智子、田中達也『遊園地ぐるぐるめ』他3編

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石井絵里さん

ライター

向島にある『言問団子』へ。春になると必ず出かける甘味処。今年も、花より団子を満喫しました！

『遊園地ぐるぐるめ』
青山美智子　田中達也　￥1870／ポプラ社

アートな写真と小説のコラボ！　小さくて幸せな異世界を味わって

カトラリーや文房具など、身近にあるものを組み合わせて、小さな世界を表現している、ミニチュア写真家・見立て作家の田中達也さん。私・ライター石井も大好きで、Instagramにアップされる作品を眺めては、くすっと笑ったり、斬新なアイデアに感動をもらっています。今月の1冊は、田中さんのアート作品を見て、人気小説家の青山美智子さんがお話を執筆。そのストーリーにこたえて田中さんがさらにミニチュア作品を制作と、両者の世界観のコール＆レスポンスが楽しい、連作短編集。

最初の物語は、ハンバーガーにはさまっているレタスと肉の間に、ピクルスを刺したつまようじを立てて、メリーゴーランドに見立てた写真からスタート！  舞台は、地元で昔から愛されている「山中青田遊園地」。通称・ぐるぐるめ。大学生の健人は、バイト先の後輩で、片思いの相手・結乃をぐるぐるめに誘う。初めて２人だけで出かけることになったけど、結乃は自分をどう思っている？と健人の心は揺れ動く。メリーゴーランドに乗ることになった際に、彼の恋心はさらに深まっていき——。

ぎこちない初デートを繰り広げる2人に続き、次の章では、なんと卓上の塩＆計量スプーンが、ミニチュア写真の主役級アイテムとして登場。物語『回転マシン』は女友達が2人で、ぐるぐるめを訪れるストーリー。そういえば私も、気分転換をしたいときは女友達と一緒に、遊園地へ行くのが大好きでした！　異世界に身を浸し、思いっきり笑うとストレス解消になるんだよな〜、そういえば最近行ってないな、としみじみ。

各章に登場する人々は、お互いにかかわりはないけれども、さりげなく話の一部に登場。それも物語のよいスパイスに。田中さんのアート写真に、青山さんのハッピーな話が続き、なぜ遊園地が“ぐるぐるめ”と呼ばれるのかがわかる頃には、優しい気持ちを取り戻せる。写真を眺めても、文章を読んでも心潤う1冊。しばらく読書から遠ざかっていた人に贈っても喜ばれそう！

『はじめて・りょうり　ごはん』
文：いまい まみ　絵：かどかわ ようこ　￥1430／福音館書店

LEEでおなじみの料理家・今井真実さんの文章と、イラストレーター・門川洋子さんの色鉛筆画からなる食べ物絵本。みそごはん、バターライス、トマトリゾットなど手軽に作れる料理を、手順を追いながら学べます。「今日は何を作る？」と子どもと話しながら、一緒に作って食べる楽しさを分かち合えます。

『元・しくじりママが教える 不登校の子どもが本当にしてほしいこと』
鈴木理子　￥1650／すばる舎

娘が不登校になった著者。その実体験を交えながら綴る、親子の信頼関係を構築するための1冊。不登校による昼夜逆転生活、親への赤ちゃん返りや暴言、自分に対する脅迫行動など具体例を挙げ、裏にある子どもの心理と接し方を解説。また親自身の自己肯定感の高め方についても、示唆を与えてくれます。

『仕事終わりでもサッと作れて、じんわり美味しいレシピ 30days 　わたしが整う、ご自愛ごはん』
長谷川あかり　￥1650／集英社

今月号の「〝ほれ直し〞定番おかず」のテーマでも多くのレシピを教えてくれた長谷川さん。本著でも包丁は使わない、疲れていてもすぐ作れるなど、忙しい人にとって大助かりのメニューが充実。中でも食材から献立、作り方まで揃っている〝レシピカレンダー〞は便利。食材を余さず、栄養ある料理が作れます！