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LIFE

ドラマ化で話題の心理学で迷い解消!

ドラマ化で話題『嫌われる勇気』から学ぶ、アドラー的ママ友・実親との付き合い方〔第4回〕

  • 津島千佳

2017.03.04

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TVドラマ化でも話題になった『嫌われる勇気』(フジテレビ系列・毎週木曜22時〜)。その原案となった書籍には今の日本の常識とは逆なアドラーの教えが描かれています。同書の共著者でアドラー心理学の研究者である岸見一郎先生に、アドラー的子育て術のインタビューをしてきたこのシリーズも今回で最終回。最後はママ友や実の親との付き合い方を学びます。

 マウンティングをしてくる人は劣等感を抱えている

津島 直接育児とは関係ありませんが、子供が生まれるとママ友との付き合いが生まれます。子供がいない時は気の合う友人とだけ付き合えばよかったけれど、ママ友になるとそうともいきません。特にマウンティングを仕掛けてくるママ友とはどう付き合っていいのか……。

岸見 関わらないのが一番です。ランチなどに誘われても嫌なら断っていいです。

津島 断ると、子供が仲間外れにされるのを心配する人もいます。

岸見 子供たちは親とは関係ない。保育園に行っていれば、保育士さんもいますし、保育園での交友関係にママ友との関係は影響を及ぼしません。

津島 そもそもマウンティングをしてくる人の心理が知りたいです。

岸見 劣等感です。自分は他者よりも上に立ちたいのに、努力をしてもこの人の上に立てないと思った時、相手の価値を下に置くことで、相対的に自分の価値を上に置こうとする行為です。対人関係は横の関係なので、マウンティングをする人は無視して構いません

津島 グループから仲間はずれにする人もいます。群れなくても平気なタイプでも、そういうことをされると気分は悪い。こんな時、どういう心持ちでいればいいですか?

岸見 気分は悪いですが、自分がしたくもないことをする必要はありません。時間とエネルギーを他の親に使うくらいなら子供と仲良くなることに全力を尽くしてください。

親との過去を忘れることが関係改善の第一歩

津島 自分が子供の立場での実の親との関わりについてもうかがいます。妊娠を機に働いていた都会から実家に戻った知人がいます。働いている時は普段会わなかったせいか、実母との関係もよかったそうです。彼女とお母さんは性格が似ているようで反発しやすいらしく、今は実家の隣に住んでいて距離が近いので、関係が悪いそうです。

岸見 近くに住んでいるメリットだってあるわけで、そこそこで付き合うしかないでしょう。わざわざケンカしなくてもいいのでは。

津島 彼女は「もう少し子育てに協力してくれるもの」と、お母さんにもっと期待していたみたいです。

岸見 期待どおりにお母さんが動かないのであれば、「もっと子育てを手伝ってくれたら助かる」と再交渉するしかないでしょうね。将来はお母さんの介護もあります「ここでいがみ合わない方がいい」という話し合いの場をもってはいかがでしょうか。

津島 娘さんが育児で大変な気持ちも、お母さんもやっと子育てから開放されて自分の時間をもちたい気持ちもわかります。子供を産んで、親って大変だったんだなと思います。

岸見 自分が親の立場で子供と接するよりも、自分が子供の立場で親と接する方が大変ですよ。特に実の親は大変です。

これからどうすればいいか、を考えれば、関係はよくすることができます。過去にしがみつく限り、関係は改善しない。親がどう思っていようと、親とどう関わっていくかだけを考えることです。もっと年齢を重ねたら親の方が過去を忘れますから。私の親も認知症になりまして「過去のことは忘れてしまったからしかたない」と言われました。「ああ、そういうものか」と思いました。

津島 親に厳しく育てられた人も過去のことは忘れた方がいいんですね。

岸見 それは親と仲よくしないために過去のいざこざを言い訳にしているのです。過去を忘れたら、笑い合える日が来ます。

津島 過去を忘れるのも大切ですが、言うことがコロコロ変わる親もいます。その場その場で対応していても振り回されますし、どうすればいいでしょうか?

岸見 親が前とは違ったことを言ったからと言って、そのことを指摘したり、攻めたりしないでください。『今』の発言について注目し、それが適切な発言であれば受け入れ、おかしいと思えば、『今』反論すればいいのです

津島 なるほど。『今』に注目するのですね。それにしても人間関係で一番大変なのは実親なんでしょうか?

岸見 そうですね。友達は嫌なら付き合わなければいいし、夫婦も別れることはできますが、親とは一生付き合わなければならないのですからね。

お話をうかがったのは、岸見一郎先生

哲学者、日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問

1956年京都府生まれ。高校生の頃から哲学を志し、京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学後、1989年よりアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆、講演活動、精神科医院などでのカウンセリングを行う。

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

岸見一郎、古賀史健/ダイヤモンド社 ¥1500

フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称されるアルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話」という物語形式で紹介。欧米で絶大な支持を誇るアドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な“答え”を提示します。

自分自身だけではなく、育児にも応用できる“答え”も数多く掲載。あなたが、あなたらしく生きるためのヒントを与えてくれます。

津島千佳 Tica Tsushima

ライター

1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。

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