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本当に疲れがとれる「休養学」

きちんと知っておきたい疲労と休養の基本知識

あなたは本当に休めていますか?「疲労」の正体&理想の休み方を専門家がレクチャー

2025.01.05

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休んでいるはずなのに、なんだかだるいあなたへ

本当に疲れがとれる「休養学」

本当に疲れがとれる「休養学」 To be more energetic

家事、育児、仕事に追われて大忙しの30代・40代。週末や長期休暇など“休日”はあっても疲れがとれないと感じている人も多いのでは。そこで参考にしたいのが、今話題の「休養学」。ただ寝たりゴロゴロしたりするだけではない、より効果的な“休み方”があるんです!

“休み方”の本がブームに!
\みんな休み方を知りたがっています/

“休み方”の本がブームに! みんな休み方を知りたがっています
撮影/メグミ

“休み方”の本がこんなにも! 多くの人がオンとオフを切り替えて、しっかり休むことを望んでいると言えそう。

30代・40代女性はこんなに疲れている!

どのぐらい疲れている?

※LEE100人隊67名が回答

疲れていない(おおむね元気)2% それほど疲れていない(わりと元気)20% とても 疲れている22% けっこう疲れている56%

なんと読者の約8割が「疲れている」と回答! 多くは「いつも眠い」「肩こりがひどく体がだるい」といった症状を抱えているようで、慢性的な疲れがたまって、すっきりしない人がほとんど。

週末になるとうれしさの反面、疲れがドッと出てぼーっとしてしまう日も。

LEE100人隊TB アユミさん

十分に寝ているはずなのに、ほぼ毎朝疲れていて、体が重いです…

LEE100人隊No.001 icocoさん

1日の中でも夕方になるにつれて、体がだるくなる。少しでも時間があれば、横になってしまいます。

LEE100人隊No.054 さきさん

ゆっくりするだけじゃない!

これも“休養”になるんです

デスクの整理整頓
推し活

Readers data

アンケート

LEE読者の「休み方」意識調査

疲れを感じている30代・40代女性

大半が疲れを感じている30代・40代女性。日常的に休めているのか、どんな休養の方法をとっているのかといった実情をアンケートで聞きました。

どんなことをすると「自分は休めている」と感じる?

睡眠をしっかりとる 自然に触れる おいしいごはんを食べる 入浴する 友達と会って会話する 読書や映画鑑賞 趣味を楽しむ 体を動かす

睡眠がダントツで「予定がない休日は、目覚まし時計をかけずにゆっくり寝る」(LEE100人隊TB ちひろさん)との声。ほかに「近場の公園でもいいから外に出て自然の空気を感じる」(LEE100人隊No.036 ちゅーこさん)など。

もっと効果的に休みたいと思う?

思わない4% どちらとも言えない11% 思う85%

「思う」は約9割で「ひとりの時間が欲しい」(LEE100人隊No.061 たきゆさん)といった切実な声が。また「疲れのとれる休日の過ごし方を見つけたいと常々思っている」(LEE100人隊No.002 みなっこさん)という本音も。

自分はしっかり休めていると思う?

思う11% どちらとも言えない40% 思わない49%

約半数が「休めていると思わない」と回答。「どちらとも言えない」も約4割で、ほとんどの人が休めている実感が持てていない様子。フルタイム勤務、ワンオペ家事・育児など、さまざまな“休めない”状況が。

休めていないと思う理由は?

体力的なしんどさはもちろん、「疲れているのに眠れない」(LEE100人隊TB MOGIさん)、「やることが多く、頭の中がガチャガチャして整理がつかない」(LEE100人隊No.072 かねさん)など交感神経優位も要因のよう。



Explanation

解説編

「疲労」の正体と、理想の休み方

まずは、きちんと知っておきたい疲労と休養の基本知識を解説。著書が重版を重ね、話題を集めている専門家がレクチャーします。

片野秀樹さん

教えてくれたのは

片野秀樹さん

日本リカバリー協会 代表理事

博士(医学)。日本リカバリー協会代表理事、(株)ベネクス役員。休養リテラシー向上を目指し啓蒙活動を行う。著書に『あなたを疲れから救う 休養学』(東洋経済新報社)。

あなたを疲れから救う 休養学

寝るだけで疲れはとれない。“攻めの休養”にシフトして

「休養学」を学問として体系化した片野さん。健康づくりの三大要素は「栄養・運動・休養」であるのに、栄養学や運動生理学などはあっても、休養だけが学問として確立されず軽視されていることに着目し、約20年研究を続けてきたと言います。その片野さんが効果的に休むためにまず正しく知ってほしいというのが「疲労」の正体。

「疲労とは、端的に言うと、体や頭を使うことで、本来の活動能力が低下している状態のこと。例えば、100m走を10回走れば、1回目よりも10回目のほうが、疲労が原因でタイムが悪くなります。

一方で、疲れたときに感じる不快な感覚のことを“疲労感”と言います。疲労感は体からの危険信号で、それ以上無理をすると体に何らかの障害が起きたり、病気につながるかもしれないという“合図”なんです。この疲労感は、コーヒーや栄養ドリンクなどで人間は一時的にマスキングできて(覆い隠せて)しまうことが厄介。マスキングをすると、本来のパフォーマンスが出せず非効率的になるのに、疲れた状態でずるずる作業できてしまいます。

この悪循環を続けると体への負担が相当に大きく、引きこもりやうつ病、最終的には燃え尽き症候群(バーンアウト)になってしまうなどのリスクがあるので、注意が必要です」

そうならないよう、効果的に休むためにはどうすれば?

「休養というと“とにかく寝る”という方も多いのではないでしょうか。もちろん睡眠は休養に不可欠でとても大事ですが、寝ればすぐに元気になるというのは子どもの頃まで。大人は、加齢に伴い代謝が落ち、細胞も劣化しているので、寝たり、ゴロゴロしたりするだけではダメ。これまでのようなステレオタイプな休養をとっても、実は5割ほどしか気力、体力は回復しないんです。

多くの人が行っている『活動→疲労→休養』というサイクルに、疲労の対義語である“活力”を生む行動を加えてみてください。あえて能動的に動き軽い負荷をかけるなどで活力が高まり、体が回復、パフォーマンスをより上げることが可能に。これを“攻めの休養”と呼びます。

活力とは、軽い運動で血液循環をアップしたり、推し活のような趣味の活動でリフレッシュしたり。部屋の片付けや模様替えも、実は休養です。『活動→疲労→休養→活力』という四角形のサイクルにすることで、エネルギーの充電がほぼ満タンになり、驚くほど休養の効果がアップするのです」

「疲労」とは?

過剰な肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と、休養の願望を伴う活動能力が低下している状態

▶︎ これを回復させて、 活動能力を取り戻すのが “攻めの休養”

「疲労感」とは?

疲労が存在することを自覚する感覚。「これ以上活動を続けると危険ですよ」という、身体からのアラートでもある

▶︎「疲労感」は覆い隠せてしまう

「疲労」を回復せずに、「疲労感」をまぎらわしているだけの人が多い!

矢印

コーヒーや栄養ドリンクで乗り切る

コーヒーや栄養ドリンクで乗り切る

コーヒーや栄養ドリンクに含まれるカフェインが疲労感をマスキング。カフェインをとると、体内で覚醒作用のあるヒスタミンという成分の放出を抑制できず、疲れていても「眠い」という信号が出なくなります。

甘いもので疲れをとる

疲れると甘いものが食べたくなるのも、ストレスを抑えようとする体の防御反応。血糖値をコントロールするコルチゾールという成分が、交感神経を上げて戦闘態勢に。夜に食べすぎると興奮して眠れないことも。

使命感や責任感で頑張る

使命感や責任感で頑張る

疲労感を無視して、気合いで頑張り続けることもマスキングのひとつ。一時的に頑張らなければいけないときがあったとしても、続けるとストレスがかかり、自律神経が乱れたり、内分泌系の病気につながる可能性が。

矢印

\続けると/
燃え尽き症候群(バーンアウト)に

これが理想的な休み方のサイクルです!

三角形のサイクルから抜け出すことが必要

活動→疲労→休養 三角形のサイクルが、従来の休み方

「仕事や家事、育児などの活動をする→活動を経て疲れる→睡眠を中心とした休養をとる」という三角形のサイクルが、従来の休み方。実はこれでは十分な休養がとれているとは言えず、エネルギーを充電に例えると、50%しか回復していない状態なのです。

“活力”を加えた四角形で、休養の効率アップ

活動→疲労→休養→活力 四角形のサイクルが理想的な休み方

右の三角形に“活力”を加えた、四角形のサイクルが理想的な休み方。例えるなら筋トレと同じ理論で、あえて軽い負荷を自分にかけることで回復度が高まり、バッテリーが満タンまで回復します。仕事などすべきこと以外で、自分が楽しめる負荷をかけることを“攻めの休養”と呼び、より積極的、主体的に休むというアプローチに。


Staff Credit

イラストレーション/John Danon 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE12月号(11/7発売)「本当に疲れがとれる「休養学」」に掲載の記事です。

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