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【どうなる?“マイナ保険証”】2024年12月、紙の保険証が廃止に。継続使用するには?
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松崎のり子
2024.11.12
紙の保険証の発行は廃止に
DX化を目指す政府は、様々なデータをマイナンバーカードに紐づけ、集約する方針です。
中でも私たちに大きな影響があるのはマイナ保険証でしょう。2024年12月2日には、いよいよ紙の保険証の発行が廃止へ。
総理大臣やデジタル大臣の顔触れが変わっても、この方針に変更はないもよう。では、12月からはマイナカード(マイナ保険証)がないと病院を受診しても保険適用外になってしまうのでしょうか。
気になるのはそこですが、そんなことはありません。
マイナカードがなくても、2025年12月1日まで(有効期限がその前に来るものは期限まで)は現在の保険証を継続して使用できます。
それ以降マイナカードを持っていない人には、本人の被保険者資格の情報などを記載した「資格確認書」が交付される予定とのこと。資格確認書を病院などの窓口で提示すれば、従来通り保険適用で診療が受けられます。
なお、保険証として使うには、マイナカードを持っているだけでは不十分。健康保険証としての利用登録をする必要があります。病院では本人確認として暗証番号の入力を求められることもあり、複数回間違えるとロックされてしまうというのは厄介ですよね。
問題が山積み、疑問も尽きないままスタートか
政府はマイナ保険証に変更するメリットについて、医療データが一元化できてより良い医療が受けられるとか、手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除されるとか(高額な医療費を自己負担しなくて済むということ)、マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできるとか、そんな説明がされていますが、他にも第三者が保険証の持ち主に「なりすまし」て医療を不正に受けることを防ぐ狙いがあるようです。
マイナカードなら顔写真もついているし、本人しか知らないはずの暗証番号が必要なので、不正利用が防げるというのでしょう。
とはいえ、すでにマイナカードが偽造される事件が起きており、不正は今後も起きると思われ、ますますセキュリティが厳しくなって利用者が使いにくくなるだろうと想像できます。セキュリティを上げるほど利便性が損なわれるのはクレジットカードなどの決済でも起きている現象で、やむを得ないのですが…。
他にも、暗証番号の管理ができない高齢者のケースや、扶養である子どもが病院を受診するときは子どものカードや暗証も必要とか、「こんな時はどうなるの?」という疑問は尽きませんが、果たして1年ですべて解決できるのでしょうか。
なお、いずれ運転免許証もマイナカードで利用できるようになるそうですが、ある区のHPを見ると、暗証番号をロックしてしまった際の本人確認書類として、「住民基本台帳カード(写真付)、運転免許証、運転経歴証明書、パスポート…」等が必要になるとあり、どうも一本化せずに従来のまま持っていた方がよさそうですね。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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