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LIFE

LEE COVER INTERVIEW 綾瀬はるかさん 「旅と人生、ときどき休み」

“休み下手”を再確認した人生初の長期休暇

【綾瀬はるかさんインタビュー】はじめての長期休暇。作品と離れることで気づいた、本当の思い

2024.11.20

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LEE COVER INTERVIEW

綾瀬はるかさん
「旅と人生、ときどき休み」

ここ数年は次々と大きな作品に挑戦。「気づけば、ずっと走り続けてきた」と語る綾瀬はるかさん。そんな彼女が俳優人生で初めて経験した、長期休暇。作品と離れることで気づいた、本当の思い。39歳の今、綾瀬さんがリアルに感じている“自分らしい人生の歩み方”。

綾瀬はるかさん

Profile

あやせ・はるか●1985年3月24日生まれ。NHK大河ドラマ『八重の桜』や『義母と娘のブルース』等、出演作は多数。昨年は映画『リボルバー・リリー』が大きな話題に。今年は『原色 綾瀬はるか 2013-2024』や『ハルカノセカイ 05』と2冊の写真集も発売。

公式サイト:https://www.horipro.co.jp/ayaseharuka/

ずっと走り続けてきたからこそ一度、作品から離れて頭をからっぽにしてみたかった

Haruka

綾瀬はるかさん ニット¥203500・パンツ(ベルト付き)¥261800・リング¥96800・靴¥148500/ジルサンダージャパン(ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー) 中に着たTシャツ/スタイリスト私物
ニット¥203500・パンツ(ベルト付き)¥261800・リング¥96800・靴¥148500/ジルサンダージャパン(ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー) 中に着たTシャツ/スタイリスト私物

「少し前、ちょっと長めのお休みというか、作品と離れる時間を取らせていただいたんです」

ふわりと柔らかい微笑みを浮かべながらインタビューの席についた、綾瀬さんから飛び出したのが冒頭の言葉でした。作品の撮影から離れた期間は約1年弱。綾瀬さんにとってそれは“人生初の長期休暇”になったそうです。

「大河ドラマを撮り終えたときも、30歳になったときも、“ゆっくり休みたいな”と思うタイミングは今までも何度かあったんです。でも、ありがたいことに次々と作品のお話をいただいて……。気づいたら“あれ、私ずっと走り続けているな”って。20代や30代前半は自分も挑戦を求めていたから頑張れた。でも、ここにきてついに脳みそがパンクしてしまったんでしょうね(笑)。大きな作品が続いたときに“物覚えはいいはずなのに、セリフが頭に入ってこない!!”って。そこで私は思ったわけです。これは脳みそが“休みたい”と言っているぞって」

“休み下手”を再確認した人生初の長期休暇

「実は私、こう見えて休むのがあまり得意ではないんです。何もしないとサボっている気がしてしまうというか。このままでいいのか、何かしなくちゃって、気持ちが焦ってしまうから。“今まで頑張ってきたんだから、休んでいいんだよ”という周りの言葉に背中を押され、長期休暇に踏み出したものの、最初はソワソワしていましたからね。“私のしたいことはなんだ?”と自分に問いかけては見つからないことに焦り、“休みを無駄にしてはならぬ!”と、よくわからないプレッシャーを自分にかけてしまったりして(笑)」

その結果「友達とマルタ島を旅したりもしたんですけど……。家で海外ドラマを見たり、ゴロゴロしているうちに、あっという間に休みは終わってしまいました」と綾瀬さんは笑います。

「でも、そのゴロゴロが楽しかった。今までも作品と作品の合間にお休みはあったんですけど。やっぱり、そこでは次の作品のことを考えてしまうというか。あれもしなきゃ、これも覚えなきゃって、緊張感のようなものがずっと抜けなくて。でも、今回はそれを抜くことができたから。頭をからっぽにできただけで、“ああ、なんて贅沢な時間なんだ!”って」

お休み期間中には引っ越しや断捨離もしたそうです。

「引っ越しをするときって、自分の物の多さに驚きますよね。できれば“トランクケース3台あれば十分”みたいな生活をしたいとずっと思っているんですけど、なかなか物を捨てることができない。で、頑張って断捨離を始めたのに、うっかり昔の日記を見つけて、読み返しているうちに一日が終わってしまったりして(笑)」

過去の日記を開いて気づいたのが、“今日のうれしい”をたくさん書き留めていたこと。それを読み返すだけで心が温かくなったそう。

「その日にあったうれしいことだったり、人に言われてうれしかった言葉だったり……。忙しい日々を過ごしてきたからこそ、“忘れたくないこと”を、私は日記に書いていたのかもしれませんね」

走り疲れてついに歩調をゆるめた“旅人・綾瀬はるか”は気づくんです。「やっぱり忙しいのが好き」って(笑)

Haruka

綾瀬はるかさん ジャケット¥374000・パンツ¥185900・靴¥149600/ステラ マッカートニー カスタマーサービス(ステラ マッカートニー) Tシャツ/スタイリスト私物
ジャケット¥374000・パンツ¥185900・靴¥149600/ステラ マッカートニー カスタマーサービス(ステラ マッカートニー) Tシャツ/スタイリスト私物

10代の頃の自分に逆戻りしたような感覚になれた

作品から離れてお休みに入るとき、決めたことがひとつ。それは「次回は縁や運命を感じた作品に出演したい」ということ。そんな綾瀬さんの願いを叶えたのが、映画『ルート29』でした。

「まず、森井(勇佑)監督が私と同じ年だったんです。CMの現場などで同年代や若い監督とご一緒することはあっても、映画ではなかなか珍しくて。また、森井監督の作品『こちらあみ子』が私は大好きで。今作にはあみ子を演じていた大沢一菜ちゃんも出演すると聞いて“会いたい!”と。人に惹かれ、人の縁を感じて、今作の出演を決めた感じなんです」 

約1カ月、鳥取県を中心にオールロケで行われた撮影。「キャストもスタッフも少人数。現場はとてもアットホームな雰囲気で。まるで大家族の夏休みのようだった」と綾瀬さんは振り返ります。

「久々の撮影もすごく楽しくて。森井監督は現場で感じたものを大事にする方なのですが。驚いたのが、テストをせずに本番に入ること。それはまるでドキュメンタリーを撮っているようで。例えば、私が演じるのり子が一人で家にいるシーンでは、実際に私を部屋に一人きりにしてくれて、“感じたら始めてください”と言ってくれるんです。なんだろう、絵とか演技というよりも、その場の空気や心の動きを撮りたいという思いが伝わってきて……。ああ、この現場、すごく好きだなって」

それは、どこか懐かしい感覚でもあったそうです。

「10代の頃、ショートフィルムを撮ることがよくあったんですけど。作品の作り方も、現場の雰囲気も、あの頃の感じにどこか似ていて。それだけでなく慣れないお芝居に悩む、あの頃の私も蘇ってきたというか。というのも、今作では監督から“演じないでください”って言われたんです。それは、今まで身につけてきたものを全部削ぎ落とすような作業で、本当にとても難しくて。でも、すごく新鮮で楽しくもあったんです」

私の人生を例えるなら“線路脇を走り続ける旅”

綾瀬はるかさん

映画『ルート29』は他者と必要以上のコミュニケーションを取ることができないのり子(綾瀬さん)と風変わりな少女ハル(大沢一菜さん)、ひょんなことから始まった二人の旅を描くロードムービーです。

「人生と旅ってどこか似ていますよね。歩み続けるのも、一瞬として同じときがないのも同じで。歩めば歩むほど景色も感じ方もどんどん変わっていく。同じ仲間との関係性も5年前とは全然変わっていたりしてね。だからこそ、私はその道のりをちゃんと楽しみたいなって思うんです。究極、ゴールは関係ないというか。悩み迷うことも含め、人生も作品作りも、その過程をどれだけ楽しめるかがきっと大事なんだろうなって」

人生の過程である一日一日を大切にしたいからこそ、綾瀬さんは「今日が最後だ」と思い日々を過ごすことを心がけているそうです。

「そうなんです、心がけてはいるんです、でも、難しい、全然思えない(笑)。なので、いかに自分が楽しく、周りの人も楽しくいられるかを大事にすることにしました(笑)。シンプルだけどそれがすべてだなって思っています」

この日も、お茶目な発言で現場を明るく照らしてくれた綾瀬さん。「自分の人生を旅に例えると?」と質問したときも、返ってきたのは彼女らしい答えでした。

「なんだろう、列車に乗って旅するというより、線路脇をずっと走っている感じなのかな。もっと速く走らないと列車に抜かれる! やばい、頑張らなきゃ!って、謎の列車とずっと戦っている感じ(笑)。で、ついに疲れて歩調をゆるめはじめるんですけど……。そこで“旅人・綾瀬はるか”は気づいてしまうんですね。どうやら、私はやっぱり忙しいのが好きらしいと(笑)。映画『ルート29』の撮影も楽しかったけどやっぱり大変で。でも、その大変さや緊張感が私は好きなんだなって。だからね、これからも走り続けてしまうんだと思う。疲れたー休みたいーと思いながらも全力で、きっと(笑)」

Information

『ルート29』

©2024「ルート29」製作委員会
©2024「ルート29」製作委員会

清掃員ののり子(綾瀬)はある日、仕事で訪れた病院で、入院患者の理映子(市川実日子)から「姫路にいる娘のハルをここに連れてきてほしい」と頼まれる。そして始まったのり子とハル(大沢)の不思議な旅。さまざまな人と出会いながら二人は絆を深め、のり子の心も動き始める。優しくリリカルなロードムービー。11/8(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
『ルート29』公式サイト


Staff Credit

撮影/宮下昌生(hannah) ヘア/西村浩一(VOW-VOW) メイク/Asami Taguchi(Home Agency) スタイリスト/吉田 恵 取材・原文/石井美輪
こちらは2024年LEE12月号(11/7発売)「LEE COVER INTERVIEW 綾瀬はるかさん 「旅と人生、ときどき休み」」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。

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