駐妻ライター佐々木はる菜の 海外で見つけた「暮らしのヒント」Vol.20
本の街ブエノスアイレスで実感、日本の「読み聞かせ」文化3つの良さ!我が子に10年続けた結果もレポ
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佐々木はる菜
2024.04.24
9割が「読み聞かせ」を負担に感じている?!
最近「子どもへの読み聞かせを負担だと感じる人が9割」という日本の記事を読みました。
私はもともと本が好き。これまでも「読み聞かせを続けるコツ」や「絵本屋さん取材レポ」など、LEEでいろいろと記事を書かせていただきましたが、それでも特に子どもたちが幼い頃は、夕方から寝るまでにかけての嵐のような慌ただしさの中で、読み聞かせを負担に思ったことは数知れず…
その話を現地ママ友たちにしたところ、日本は本に親しむ機会が多いと感心され、逆に質問責めされる事態に!そこで、海外にいるからこそ見えた日本の読み聞かせ文化の良さを3つにまとめてみました。
そして12歳と9歳となった我が子との関わりの中で「やっぱり読み聞かせを続けてきて良かった」と感じている経験談、魅力溢れるブエノスアイレスの本屋さんやアルゼンチン発のおすすめ絵本などもご紹介したいと思います。
ブエノスアイレスは素敵な書店がいっぱい!「世界で2番目に美しい本屋さん」も
ブエノスアイレスには思わず写真を撮りたくなる素敵な書店が多く、例えば「世界で2番目に美しい本屋さん」として有名な「エル・アテネオ El Ateneo Grand Splendid」は、由緒ある劇場だった歴史的建造物を改装した素晴らしい場所です。
昔の日本のような個人経営の小さな書店もたくさんあり、カフェ併設のお店も多く、店構えから内装までこだわりを感じるところばかり。その本屋さんで過ごす時間そのものを楽しみに訪れる方が多くいます。
かつてイギリスの新聞 「The Guardian」紙で、ブエノスアイレスは住民ひとり当たりに対して本屋さんの数が世界一多いという記事が掲載されるなど、本が好きな街だと感じます。
海外ママたちも興味津々!「日本の本に親しむ文化」3つのすごさとは?
書店の子ども向けコーナーも充実しており、親子で一緒に本を選ぶ姿もよく見かけます。
日本と同様、夜寝る前に一緒に本を読む習慣は大切なものと考えられていますが、教育熱心な方が多い周りのママたちでも「毎日は読んでいない」と話す方がほとんどでした。
そんな彼女たちが日本に対して感心していたことが3つありました。
①保育/幼稚園・学校などで、読み聞かせの機会が多いこと
日本の保育園・幼稚園では、ほぼ毎日読み聞かせの時間があるところも多いと記憶しています。
また日本の小学校や去年まで通っていた日本人学校でも、毎月保護者による読み聞かせボランティアがありました。
アルゼンチンの幼稚園でも読み聞かせは週に何回か行われているそうですが、「もっと増やしてほしい」と話すママが多く、日本では小学校入学後も定期的に校内で読み聞かせ活動があることを褒められました。
②図書館・児童館や「音読」宿題など、本に親しむ取り組みが浸透
日本では、近所の図書館や児童館でも読み聞かせが行われ、長期休みには本にまつわる子ども向けのイベントなどもよく開催されていました。
今アルゼンチンで住んでいるエリアは子どもが多く学校はたくさんありますが、児童館のような場所はなく、図書館の利用者は大人が多い印象です。
またみんなが感心していたのが日本では馴染み深い「音読」の宿題。
特にプレゼンの講師業や語学教師をしている友人たちが「本や言葉に親しむためアルゼンチンでも採り入れてほしい」と熱く語ってくれました。
③赤ちゃん親子に絵本をプレゼント!
私は子どもたちが生まれてすぐ、当時住んでいた自治体から絵本をいただきました。
同様の経験がある方は多いのではないかと思いますが、そのエピソードについても素晴らしいと驚いていました。
今回改めて調べてみたところ、これは「0歳児健診などの機会に読み聞かせ体験と絵本をセットでプレゼントする」という英国で発祥した取り組みで、「ブックスタート」という活動なのだそうです。
運営するNPOブックスタートのHPによると、2024年2月末現在、全国1474もの自治体で「赤ちゃんへの絵本贈呈事業」が実施されているといいます。
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地域差はあるとはいえ日本で暮らしていると一般的なことが多いと思うのですが、海外のママたちと話したことで「日本は子育てをする中で自然と本に親しめる環境がある」と実感する良い機会になりました。
読み聞かせは、子どもとの「おしゃべりの時間」だったのかも
現在、我が家の子どもたちは長男12歳、長女9歳。
これまで10年以上読み聞かせを続けてきた今、一番良かったと感じているのは「寝る前の親子で向き合う時間が自然と続いていること」です。
兄妹ともに小学生になった頃からは、絵本だけでなく少し長い物語を一章ずつ読み聞かせることが増えました。
自分自身で読書するのとはまた違った魅力があるようで「続きはまた明日~」と言うと「もっと読んで!」とせがまれることも多く、今でも時間がある時は一緒にお話を楽しんでいます。
本は読まず雑談するだけの日もあり、同じベッドの上で本を読んだりおしゃべりしたりするのは寝る前のささやかだけど大切な時間です。
本や物語を好きになってくれたことだけでなく、大きくなってきて日常では時に反抗されることなども増えているからこそ、読み聞かせの習慣が良いコミュニケーションの時間に繋がったことを嬉しく思っています。
そして、まだ言葉がおぼつかない幼い時代の読み聞かせは、親子の「おしゃべり」を拡げてくれる時間だったのかな?と振り返っています。
「読み聞かせが負担」と思った経験があるからこそ伝えたいこと
そもそも、読み聞かせは絶対しなければいけないことではありません。
「忙しい中で読み聞かせをするのが大変だと感じる親は、きっとどの国でもいると思う。でもそれぞれが負担なく、楽しめる範囲でやればいいんじゃない?」
これは冒頭の記事の話を聞いた、アルゼンチン人の友人の言葉ですが、確かに今考えると自分が楽しめる余裕がある時だけにしても良かったな~とも思います。
子育て中の夕方から夜はバタバタで、特にお子さんが小さいほど「早く寝かせなきゃ」という焦りなどもあり、その中でも読み聞かせの時間を工夫して作っているという方も多いのではないでしょうか。
日本はおうち以外でも、本に親しむ機会が身近にたくさんあります。
もし今「読み聞かせ」を大変だと感じている方がいるとしたら、かつて私自身もちょっと負担に感じていたからこそ「あまり気負わず、目の前のお子さんとの時間を楽しんでほしいな」なんて思うのは、少し年を取った証拠かもしれません(笑)
アルゼンチン発!オススメ絵本「エンリケタ、えほんをつくる」
最後に1冊、アルゼンチンの作家さんによるおすすめの絵本をご紹介します。
アルゼンチンの国民的人気漫画家による絵本
「Escrito Y Dibujado Por Enriqueta」
邦題「エンリケタ、えほんをつくる」
著者:リカルド・シリ=リニエルス(Ricardo Liniers)
翻訳:宇野和美
出版社:ほるぷ出版
世界的に活躍するアーティストも多いアルゼンチン。その中で日本でも発売され人気となったのが国民的人気漫画家リニエルスの絵本で、アメリカやヨーロッパで賞を取るなど高い評価を受けています。
長年アルゼンチンの新聞にひとコマ漫画を連載しており、そのキャラクターであるエンリケタという女の子が絵本を作るという内容です。漫画的な要素もあるので、小学生など少し大きくなったお子さんとも楽しめると思います!
※残念ながら現在は絶版となっています。
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佐々木はる菜 Halna Sasaki
ライター
1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。
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