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不妊治療のリアル ~夫婦関係、お金、治療のやめどき~

不妊治療経験者のリアル事情

30代後半から不妊治療を開始【モデル 堀まゆみさん】検査で子宮内膜炎と、意外な結果が明らかに

2024.07.28

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Interview

治療内容、夫婦関係、お金のこと……

不妊治療経験者のリアル事情

実際に不妊治療をしたことがある30代・40代女性にインタビュー。

モデル

堀 まゆみさん

治療中は夫婦ゲンカも……! 夫ができることをしてくれて、求めすぎなければ気持ちがラクに

堀 まゆみさん

堀 まゆみさん

PROFILE

ほり・まゆみ●1981年11月2日、神奈川県生まれ。モデルとして女性誌、CMなどで活躍。最新情報は公式インスタグラムにて。2歳児の母で、現在第2子を妊娠中。
公式サイト:https://honest.family/artist/mayumihori/
Instagram:m112yu

堀 まゆみさんの不妊治療の流れ


10~20代

生理不順、生理痛がひどく倒れたことも

2019年 1月

37歳で初診。ブライダルチェックへ

4月

治療スタート。さまざまな検査を行う
顕微授精をすすめられる

10月

採卵。凍結胚まで至らず

12月

2回目の採卵。凍結胚が4個に

2020年 2月

移植。妊娠には至らず
原因があるかもしれないので、検査を4つ行う
子宮内膜炎がわかる

7月

2回目の移植。妊娠には至らず

8月

3回目の移植。第1子の妊娠が判明

2021年 5月

第1子を出産

2022年 5月

2人目の妊娠のために通院を再開
費用の保険適用ができるように

7月

3回目の採卵。凍結胚が3個に

9月

4回目の移植。妊娠には至らず

10月

5回目の移植。着床はしたが流産に

2023年 2月

4回目の採卵。凍結胚まで至らず

4月

5回目の採卵。凍結胚は1個に

5月

6回目の移植。妊娠には至らず
保険適用の範囲が終わり家族会議

7月

6回目の採卵。凍結胚は7個に

10月

7回目の移植。第2子の妊娠が判明


検査で子宮内膜炎と、意外な結果が明らかに

37歳から不妊治療を始めたという堀まゆみさん。医師の提案もあり、最初から顕微授精を選択。

「若い頃から生理不順で生理痛がひどくて、倒れて救急車で運ばれたことも何度かあったんです。そこでは子宮内膜症などの病気はないと言われ、詳しく調べないまま30代後半になっていました。夫と出会ってすぐに、周りにすすめられた不妊治療クリニックで“ブライダルチェック(血液検査、超音波検査など)”を受けることに。年齢や条件を考えて、先生から最も高度な顕微授精の提案がありました。ほかの病院だったら、タイミング法、人工授精と段階を踏むことを考えたかもしれないのですが、不妊専門の病院だったことと、私も早く子どもがほしいという気持ちが強く、決断しました」

その後も検査を続け「結果待ちなどひとつひとつに時間がかかり、早く進めたい私には焦ってしまうことが続きました」と堀さん。初診から約10カ月後に、初めての採卵を行います。

「最初の採卵では、10個の卵子が採れて受精卵が8個できたのですが……培養して凍結できた胚が、なんと0個。受精卵の半分ぐらいは残るんじゃないかと言われていたので衝撃で。すごく落ち込んだし、早々に不妊治療の壁にぶつかってしまいました。気を取り直して、2カ月後には2回目の採卵をして、11個の卵子が採れて受精卵が10個、凍結胚が4個に。さらに2カ月後に初めての移植をしましたが、妊娠には至らず。うまくいくんじゃないかという期待があったし、当時はすべて自費診療だったので採卵1回で60万円ほどかかって。結果が出ないと、お金をかけても何も残らないんだとむなしい気持ちになってしまいました」

次の移植を急ぐ気持ちがありつつも、何か原因があるなら知っておきたいと、このタイミングで追加の検査を受けることに。

「この検査で、子宮内膜炎が判明。子宮の外側はきれいで問題なかったのですが、子宮内が炎症を起こしていたということを、このとき初めて知りました。また、この検査は子宮内膜を削るのですが、これがものすごく痛くて! 私の場合、採卵は全身麻酔で痛くなかったので、治療中はこの検査がいちばん痛くて、つらく感じました」



「お医者さんじゃないから」、夫の言葉に腹が立った

イラスト 夫の言葉に腹が立った

追加の検査を受ける前には、夫との大ゲンカも……!

「夫は、採卵や移植など治療のスケジュールをきちんと把握しようとしたり、病院の日は『気をつけて行ってきてね』と声をかけてくれたりと、基本的にはやさしく協力的で。年下にもかかわらず、よくない結果にも動じることなく、頼りがいもあるんです。でも、次の移植をするか検査をするかを決めるときに、一緒に病院に来ていた夫にも相談したのですが明確な返事はなく、結局は私が検査を選んだんですね。

その後、あらためてどう思ったかを夫に聞くと『僕はお医者さんじゃないからわからない』と言ったんです。私だって医者でも専門家でもないのに、これまですべて自分で考えて、選択してきている。他人事のような夫の言葉に本当に腹が立ってしまって。落ち着いて確認したら、自分の発言の重さを感じて簡単に意見できなかったし、私の気持ちを尊重したかった、ということがわかったのですが……。治療中は、ちょっとした一言が誤解を生むし、夫婦がきちんと意思疎通するのは難しいんだなと痛感した出来事でした。

不妊治療は病院に行くのも薬を飲むのも当然女性で、ひとりで頑張っているような孤独を感じてしまうし、2人の子どもなんだから夫にもわかってほしいと強く思うんですよね。それは悪いことではないのですが、私は途中から、実際に体に変化が起きている自分と同じ熱量まで、夫を引っ張り上げるのは難しいのかなと感じるように。現状報告はきちんとしますが、求めすぎないほうが気持ちがラクになりました。夫は、治療の後においしいお店を予約してくれたり、私が食べたいと言ったものを覚えていて買ってきてくれたり。リフレッシュできるように積極的に動いてくれるようになり、これはうれしかったですね」

それからは、残っていた凍結胚で2回目の移植を行うも結果にはつながらず。さらに3回目の移植を行い、ついに妊娠が判明。

「この頃には私も時間があれば検索をして、たくさん情報収集していました。頭でっかちになってしまった部分もあるとは思うのですが、調べて知った方法を自分から先生に提案したり、納得がいかないことは、後悔しないようにきちんと先生に確認するようにしていました。何が正解なのかわからない中で、診察中の限られた時間内に次の方向性を決めなければならないことも多く、プレッシャーに感じたことも。まさに選択と葛藤の連続でたどり着いた、うれしい結果でした」

第2子は、保険適用での不妊治療、年齢と回数の制限には悩みました

堀 まゆみさん

堀 まゆみさん

保険適用内では妊娠に至らず、その後の採卵、移植で結果が

39歳で第1子を出産した堀さん。ちょうど不妊治療の保険適用が始まるタイミングと重なり、第2子を望んでいたために、治療をいつ再開するか悩んだと言います。

「保険適用には年齢の規定があり、40歳未満で治療を始めれば体外受精が6回まで適用されるのですが、40歳以上だと3回に減ってしまうんです(詳細はこちら)。私は産後すぐでまだ体が整っていなかったので、40歳になってから2人目の治療を始めることに。ただ、この違いは大きいので本当に悩みました。結局、3回の移植では妊娠に至らず、着床したものの流産してしまうというつらい経験も。

保険適用が終わった後も治療を続けるかどうかは、夫と話し合いました。お互い2人目がほしいという思いは一致していたものの、夫は上の子もいるので区切りは設けたいと。納得できるように、治療をやめるタイミングは私にゆだねてくれて、ここで再度採卵を行いました。これまでで最も多い7個の凍結胚ができ、移植をして、第2子を授かることができました。

保険適用での治療も経験して、適用の範囲が決められているのは酷だなと。私のように、仕事を頑張ってきて30代後半で結婚した人にとっては、40歳はあっという間にきてしまう。難しい問題ですが、年齢や回数の制限も、治療や薬の範囲もなく、保険診療が認められるといいなと思います」

堀さんの気づき

30代後半まできちんと調べず反省。検診はできるだけ早く受けて

夫がすべてを理解するのは難しい。夫なりの役割を担ってくれれば

40歳はあっという間! 制限のない保険適用が理想                         

Staff Credit

撮影/名和真紀子 ヘア&メイク/杉山えみ イラストレーション/pum 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE4月号(3/7発売)「不妊治療のリアル ~夫婦関係、お金、治療のやめどき~」に掲載の記事です。

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