主演映画『身代わり忠臣蔵』が公開!
【ムロツヨシさんインタビュー】「頼られる機会も居場所も増え、そこにやりがいを感じます」
2024.02.12
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頼られる機会も居場所も増え、そこにやりがいを感じます
ムロツヨシさん
昨年は大河ドラマ『どうする家康』での怪演も話題となり、ほかにも主演ドラマが2作続くなど、八面六臂の活躍が目を引くムロツヨシさん。’24年は十八番とも言えるコメディで幕を開けます。主演映画『身代わり忠臣蔵』で演じるのは、嫌われ者の殿・吉良上野介と、瀕死となる彼の身代わりになり、仇討の標的とされる弟・孝証の、なんと1人2役!
「もともと僕は小劇場出身で、1人で何役も演じてきたので演じ分けに難しさは感じません。ただ仮にも“忠臣蔵で主役”と言われれば普通、大石内蔵助役だと思うじゃないですか。ところが蓋を開けてみたら、まさかの吉良側、しかも上野介でなく、メインは五男・孝証とは驚きました!」
ポンポンとリズミカルな口調で相手をノせながら、時折、深い洞察をスッと差し入れるムロさんの、さすがの話術に引き込まれます。
「どんな武士の良家に生まれようが、長男かそれ以外かでまったく生きる世界が違ってしまう時代。孝証を少しかわいそうに思いました。とはいえ彼は金の無心に兄貴のところへやってきて、何の努力もせず楽をしようとするダメ人間。そんな孝証が最初はお金のために、兄・上野介の身代わりを引き受けてしまうんです」
ところが人々の苦労を知る孝証が上に立つことで、吉良家内の雰囲気は格段に改善されていきます。それは現代の組織改革にも通じて、思わずワクワクさせられます。
「自分の未来には何もないと駄々っ子のようだった孝証が、上の立場に立って初めて誰かに必要とされる喜びを知り、自分にも何かできると変わっていく。それが生きがいになったんでしょうね。こんな人間でよければと自分の首を差し出そうとする。その即決に近い感情は、非常に人間的でドラマティックだと思いました」
さらに特筆すべきは、孝証と敵方の赤穂藩家老・大石内蔵助が、互いの正体を知らずに友情を育んでいく展開。演じるのは、永山瑛太さん。
「瑛太が看板を背負った『サマータイムマシン・ブルース』の共演以来約20年ぶり。役者・永山瑛太に思い入れが強いので、現場で顔を見たら余計に緊張して。孝証と大石が、どうにか両家を存続させようとする行動が友情につながっていく。その物語を、どんなさじ加減で俳優部が担うかなど、思いを共有してテイクを重ねていく中で、生死を賭けたヒリヒリ感が生まれていきました」
緊迫感にあふれる感動的なシーンへの満足感をのぞかせる一方で、少し照れくさそうに言葉を濁します。
「酒を飲んでくだらない話をして通じ合った孝証と大石に、瑛太と自分の歴史を重ねてしまって。昔よく飲みながら、“3年後にどんな俳優になっているか”なんて話したな、と。今回一度だけサシで飲んだのですが、照れくさくて会話がなかった(笑)。でも僕はまだ、何がおもしろくて何が正義かなど迷いながら生きているので、そんなことを、また2人でボソボソしゃべりたいな。いや、時代的に曲がったことが許されない今こそ、やっぱりふざけた話をしたいですね!」
年齢を重ねながら、ますます活躍の場も幅も広げ続けるムロさん。そんなスタミナのもとは何でしょう。
「もちろん昔より疲れやすい。でも孝証と同じで、頼られる機会も居場所も増えたことにやりがいも感じていて。そこについてくるプレッシャーも有意義だと感じることですね」
Profile
1976年1月23日、神奈川県出身。大学在学中より一人舞台で活動。映画『サマータイムマシン・ブルース』(’05年)で映像作品初出演。『マイ・ダディ』(’21年)で映画初主演。近年の出演作に『川っぺりムコリッタ』『神は見返りを求める』(ともに’22年)、大河ドラマ『どうする家康』、ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』(ともに’23年)など。
Instagram:murotsuyoshi0123
X:murotsuyoshi
公式サイト:https://murotsuyoshi.jp
『身代わり忠臣蔵』
嫌みな殿・吉良上野介(ムロツヨシ)が江戸城内で斬りつけられ、一命を取り留めるも瀕死の重体に。斬った赤穂藩主は即日切腹、吉良家もお家取り潰しの危機に迫られる。家老・斎藤(林遣都)は上野介に瓜二つの五男・孝証(ムロ)を代役に立て申し開きをさせる。かくして孝証は赤穂藩士による仇討の標的になる。監督は『総理の夫』の河合勇人。(2月9日より全国ロードショー)
『身代わり忠臣蔵』公式サイト
Staff Credit
撮影/木村 敦 ヘア&メイク/八色真希 スタイリスト/森川雅代 取材・文/折田千鶴子
こちらは2024年LEE3月号(2/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。
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