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知っておいて損はなし!離婚とお金

離婚したいと思ったら…チェックすべきお金の知識【弁護士に聞く】財産分与、ローン、養育費、慰謝料…

  • LEE編集部

2024.09.11

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3組に1組は離婚を選択する昨今。決して人ごとではなく「私も離婚がしたい」と考えたことがある人も多いのでは?

もし本当に離婚をしなかったとしても、いざというときのために、正確な知識や情報を持つことは大切。離婚で最も問題となる「お金」について、一緒に学びましょう!

この記事は2020年7月7日発売LEE8月号の再掲載です。アンケート実施:2020年3月11~18日まで。LEEweb会員455人が回答

Index
  1. 離婚を多く手がける弁護士がレクチャー
    【弁護士に聞く離婚とお金】慰謝料、養育費、費用や準備は?知識がないと損をする!
  2. 読者455人にアンケート
    夫と離婚をしたいと思ったことはありますか?
  3. 今後離婚をするとしたら、不安なことは何ですか?
  4. 「離婚の経済学」を知るための5つのキーワード
  5. 離婚のお金キーワード 1
    離婚費用
  6. 離婚のお金キーワード 2
    婚姻費用
  7. 離婚のお金キーワード 3
    財産分与
  8. 離婚のお金キーワード 4
    養育費
  9. 離婚のお金キーワード 5
    慰謝料
  10. 日本は協議離婚が9割。知識がなく損をしている人も
  11. 【離婚とお金Q&A 弁護士が回答】
    住宅ローン、財産分与、養育費はいつまで請求可?
  12. 離婚でシングルマザーになったら?知っておきたい「お金の落とし穴・相談窓口」
  13. しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さんインタビュー
    離婚後の蓄えは?シングルマザー、お金の落とし穴
  14. 悩んだときはどうすれば?シングルマザーの相談先リスト
  15. 【専業主婦の離婚】時短でできる?費用、支援制度、保険は?現役FPが解説
  16. 現役ファイナンシャルプランナーに聞く
    離婚を考えたら確認すべきお金のこと
  17. 【離婚経験者のリアルな声】貯金なし子連れ、シングルマザーの仕事

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離婚を多く手がける弁護士がレクチャー
【弁護士に聞く離婚とお金】慰謝料、養育費、費用や準備は?知識がないと損をする!

養育費や慰謝料など言葉は聞いたことがあっても、意外にその本質はわからないもの。離婚とお金にまつわるさまざまな疑問を、弁護士 太田啓子さんに教えてもらいました。

profile

太田啓子さん

KEIKO OTA

弁護士

弁護士。セクシャルハラスメント案件、相続案件のほか、財産分与、養育費、親権等が問題になる離婚の案件を多く取り扱う。共著に『憲法カフェへようこそ』(かもがわ出版)『これでわかった! 超訳 特定秘密保護法』(岩波書店)。

読者455人にアンケート
夫と離婚をしたいと思ったことはありますか?

離婚したいと思ったことがある人は約6割!
浮気や暴力などの明確な理由だけでなく「出産後、夫の育児への関心の低さに失望」「言葉のモラハラがひどい」「家計や教育のことなど大事なことをきちんと話し合えない」なども多いよう。

今後離婚をするとしたら、不安なことは何ですか?

お金の問題がダントツ!
夫の収入のほうが多く、出産後は育児と両立できる範囲で仕事をしている人が大半。また、家計の管理も夫に任せている人が意外に多く、離婚してやっていけるかが不安要素に。



「離婚の経済学」を知るための5つのキーワード

離婚のお金を考える際に、必ず知っておきたい基礎知識。
5つのキーワードについて、弁護士 太田啓子さんがわかりやすく解説します。

離婚のお金キーワード 1
離婚費用

調停で家裁を利用するのみなら数千円弁護士費用は個別に相談を

自分で調停をする費用は家裁利用料のみで数千円。弁護士を依頼する場合は事務所ごとに異なるが、着手金約20万~40万、離婚報酬金約30万~60万、財産分与報酬別途など100万円以上かかることも。

●調停離婚
家裁での話し合いで成立する離婚。弁護士を依頼する人も。依頼しなければ数千円程度。

●裁判離婚
家裁での裁判で成立する離婚。弁護士費用は個別に相談を。

離婚のお金キーワード 2
婚姻費用

別居中でも婚姻関係にあれば夫に生活費を請求できる

食費、医療費、子どもにかかるお金など、結婚生活で必要となる生活費のこと。婚姻関係が継続している間は、婚姻費用を夫婦で分担する義務があり、離婚後の養育費と異なり配偶者の生活費も請求できます。
金額は、婚姻費用算定表があり、夫と妻のそれぞれの収入をグラフで突き合わせて決定。2019年12月に15年ぶりに金額の見直しが。

離婚のお金キーワード 3
財産分与

貯金は別居日などを基準日にしてその日までの金額で分け合う

夫婦でともに築いた財産を分け合うこと。名義にかかわらず、「定期預金」「積立型の保険」「会社の財形貯蓄」「株式」「家」「車」など、すべての財産が対象に。
貯金は日々増減するので、別居日などに基準日を定め、その日までの金額で分与をします。夫の財形貯蓄など、妻が知らない財産もあるので普段から確認を。

離婚のお金キーワード 4
養育費

子どもの年齢でも条件が変わる。支払いが滞れば強制執行も

子どもを育て、教育するために必要な費用。養育費の取り決めは養育費算定表に応じ、夫と妻の収入、子どもの人数で決定。
また、子どもが14歳以下と15歳以上で表が分かれています。もし公正証書、調停証書、判決などの書類があるのに支払われない場合は、相手の財産から強制的に取ることができる強制執行も可能です。

離婚のお金キーワード 5
慰謝料

不倫や暴力などがある場合のみ事例によるが200万〜300万円ほど

離婚したら常に請求できるわけではなく、不倫、暴力など相手に違法性のある行為があった場合に請求します。
事案により金額は異なるものの、通常は200万〜300万円ほど。金額の決定に相手の収入は関係なく、また、期待するほど高額にならないことも多いので、慰謝料で離婚後の生活を成り立たせることはできません。
不倫の場合、不倫相手への請求も可能です。

日本は協議離婚が9割。知識がなく損をしている人も

日本では、離婚時に女性側がお金の取り決めについて、納得していないケースも多いと言います。

「日本は、夫婦が離婚を了解して役所に届けを出すだけで離婚できますが、これは世界的には珍しいです。

この裁判所がかかわらない“協議離婚”が全離婚の約9割。一定期間の別居なども条件にならず、養育費などを決めなくても離婚できるという意味では“離婚しやすい”制度ですが、決めたほうがいいことを決めないままでも離婚できてしまうという難点も。
養育費など本当は決めたいことがあるのに夫に強く言えず、不満な離婚に応じる女性がかなりいる背景はこれです。

財産分与も養育費も受け取る権利があるのに、すごくもったいないことをしている可能性も。
そもそも財産がないからと諦める人もいますが、100万円でも家庭の貯金があれば、名義にかかわらず50万円はもらう権利があるんです。

離婚についての話し合いで納得ができないなら、諦めず家庭裁判所利用の検討を。調停では養育費や財産分与などの話し合いができます。
相手が調停に応じない場合でも、裁判を起こせば最後は判決で養育費等離婚条件についての判断もされます。

また、例えば、夫が不倫をしていたなど“有責配偶者”である場合、夫からの離婚請求は判決では原則認められませんので、理不尽な離婚要求に応じる必要はありません。

相手に収入があるなら家庭裁判所で手続きをとれば、養育費は必ず決められます。法律上の権利があるのに初めから諦めてしまっている方も多いのですが、我慢せず家庭裁判所を利用する選択肢を考えてほしいです」(弁護士 太田啓子さん)

また“婚姻費用”をきちんと受け取ることも重要。

「考え始めてすぐに離婚が合意することもありますが、一般的には別居期間を経て、離婚の条件を話し合っていくことがほとんど。別居していても婚姻関係があれば、子どものほか配偶者を扶養する義務があるので、別居中の生活費を夫に請求できます。

多くの人は離婚後のことは気にするものの、離婚までの生活は見落としがち。
もし相手に婚姻費用の支払いを拒否された、そもそも離婚に応じないなどで調停、裁判を起こす場合は、別居中の婚姻費用の支払い請求と離婚請求の2本を同時に起こすことは定番です。

こういった情報も得られるので、離婚を考えたら一度は弁護士の法律相談に行くことをおすすめします。
法律相談の費用は通常1時間で1万円ほど。その後に依頼をしなくても問題ないですし、法律相談でのアドバイスをもとに自分で協議離婚、調停離婚をする方もいます。

自治体でも無料の法律相談や離婚にまつわるセミナーなどを行うところも。何も知らないと損をしてしまうかもしれないので、ぜひ正しい情報を得てほしいですね」(弁護士 太田啓子さん)

【離婚とお金Q&A 弁護士が回答】
住宅ローン、財産分与、養育費はいつまで請求可?

「出産後、夫の育児への関心の低さに失望」「家計や教育のことなど大事なことをきちんと話し合えない」など、離婚を考えたことがあるという人も多い昨今。

弁護士 太田啓子さんによると、日本では、離婚時に女性側がお金の取り決めについて納得していないケースも多いそう。実際に離婚へ踏み切らなかったとしても、離婚とお金にまつわるあれこれを知っておいて損はなし! 読者アンケートで多く挙がった質問に、太田さんが回答します。

1

弁護士に聞く!離婚とお金の疑問
離婚までに、いくらぐらいの蓄えが必要?

1

収支を具体的に計算して別居中から約1年間の生活費+αがあると安心

離婚後の家計を試算して、別居中から約1年間の費用が用意できると安心。
例えば、支出が家賃6万円に子ども2人との生活費や教育費で約25万円、収入はパート収入が10万円、夫からの婚姻費用が12万円で22万円だとします。
月々3万円足りないので赤字の補填に年間36万円必要。プラスで離婚や弁護士費用などを考えると、150万円ほど持って別居したいところ。
貯金等の共有財産は財産分与対象なので、別居時に一部持ち出しても。2分の1を超えると別居後に財産分与で清算をすることが通常です。蓄えがなくても、同居に耐えられなければ市役所に相談して生活保護も検討を。

2

弁護士に聞く!離婚とお金の疑問
家のローンが残っている場合は、どうなる?

2

売ってお金が残れば分与。ローンが残りそうな場合は売るか悩ましい

売ってローンを返済してお金が残れば分け合えばいいのですが、問題はローンが残る「オーバーローン」。どちらかが住み続けてローンを支払うか、売却するなら残ったローンはローンを組んだ人に支払い義務が残り、この残ローン支払いが離婚後の家計を圧迫することも。
購入時の頭金や繰り上げ返済額をどちらかの独身時代の貯金や親の贈与で払うなどしていると2分の1ずつの分与にはなりません。複雑なことは弁護士に相談を。

3

弁護士に聞く!離婚とお金の疑問
離婚したら、子どもの将来の教育費が心配……

3

大学費用などは特別支出として請求できるものの、実際は難しい?

日本は特に大学の学費が高いので、子どもの大学入学時に「特別支出」という形で、離婚後でも請求することもできます。
ただ、離婚後は元夫と連絡を取りたくないと、協議をすること自体が難しいケースも多く、また相手からきちんと支払われるかどうかも不明なのが難しいところ。
相手への請求を諦める必要はありませんが、離婚していなくても親が負担しきれないこともあるのでためらわず、ひとり親家庭への大学費用無償などの支援を考えてみて。

4

弁護士に聞く!離婚とお金の疑問
再婚すると元夫から養育費はもらえなくなる?

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現夫と子どもが養子縁組をしたら養父の扶養義務が優先される

再婚して、現夫と妻の子どもが養子縁組をするかどうかで異なります。
再婚と養子縁組はイコールではなく、養子縁組をした場合は、離婚した実父よりも、現夫である養父のほうが子どもの扶養義務の優先順位が上がります。
元夫が現夫との養子縁組を知って、養育費の減額請求をされたら、応じざるを得ないこともあります。

5

弁護士に聞く!離婚とお金の疑問
お金がない。でも弁護士を依頼したいときはどうすれば?

5

法テラスを利用すれば分割での弁護士費用支払いが可能に

日本司法支援センター 法テラスでは、民事法律扶助という制度が。経済的に余裕のない方への無料法律相談と、弁護士・司法書士費用等を立て替える制度です。
弁護士に依頼した場合の費用は、法テラスが本人に代わって弁護士に支払い、本人からは、法テラスに月々分割(無利子)で返済するので利用しやすいと思います。
経済的に余裕のない人に当たるかどうかは、収入や預貯金額などで決まります。お金がないからと諦めずに問い合わせてみましょう。

6

弁護士に聞く!離婚とお金の疑問
自分のへそくりや、独身時代からの貯金は離婚時に持ち出せる?

6

結婚までの貯金は持ち出せるものの結婚後は自分の収入でも分与の対象に

独身時代の貯金はそのまま持ち出せます。ただし、自分の口座に結婚当時に300万円あり、結婚後に500万円に増えた場合、200万円は共有財産とみなされます。
共働きで夫婦で財布を別にしていて、妻が自分の収入から貯めた貯金だったとしても、残念ながら離婚時には分与の対象に。
また、親から相続した財産などは特有財産として、分与の対象にはなりません。

7

弁護士に聞く!離婚とお金の疑問
養育費、慰謝料は離婚後でも請求できる?

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分与は2年、慰謝料は3年以内養育費はいつでも請求可能

離婚後でも請求は可能。ただし財産分与、年金分割は離婚後2年以内と期限があります。離婚慰謝料は離婚から3 年で時効となります。養育費は、扶養する子どもがいる場合は時間がたってからでも請求できます。ただ離婚をすると相手の情報を取りづらくなるので、婚姻期間中に決めるほうがやりやすいことも。

離婚でシングルマザーになったら?知っておきたい「お金の落とし穴・相談窓口」

シングルマザーの貧困問題が深刻化する昨今。

離婚でひとり親になった女性の相談窓口を運営する赤石千衣子さんに、シングルマザーの現状や問題点を教えてもらいました。

んぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さんインタビュー
離婚後の蓄えは?シングルマザー、お金の落とし穴

profile

赤石千衣子さん

CHIEKO AKAISHI

しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長

1980年に発足し、シングルマザー親子のサポートを行う団体「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の理事長。社会福祉士、キャリアコンサルタントの資格を持ち、シングルマザーの就業相談や支援を行う。著書に『ひとり親家庭』(岩波新書)など。

読者に聞く「離婚とお金」
今現在、離婚をしたらひとりで生活していけると思いますか?

正規雇用、パートなど含めて7割は仕事を持つLEE読者。それでも半数以上はひとりで生計を立てるのは難しいと判断。

専業主婦は「結婚後は一度も働いておらず、30代で資格もない。正規雇用の仕事は見つかりにくいと思う」という声が圧倒的。

共働きでも「子ども3人を育てるには将来の教育費が心配」「ひとり親だと残業もしにくく働きづらい」「最低限の生活だけでなく子どもに希望する教育を受けさせたい」との声も。

パート就労の月収は約10万円。生活費・教育費をどうまかなう?

長年、シングルマザーの支援を行ってきた赤石千衣子さん。相談件数は年々増えていると言います。

「シングルマザーの約8割が離婚でひとり親になっています。主婦の約60%が結婚、出産で仕事を辞めてしまうので、いざ離婚をするとなると経済的に立ち行かなくなる。
子どもがいる30〜40代は、時間の制約、仕事へのブランクでパート就労が多いので、都市部でも月収は10万円ほど。地方では10万円に届かない人も多く、パート就労の平均年収は133万円。

これでは、教育費も出せないし、いろいろな面で困ります。なんとかして正規雇用などで就労収入を上げることが急務。子どもが小さいと両立も大変ですが、1年待つだけで仕事を探しやすくなることも」

「また、今の日本社会は男女の賃金格差が大きいので、児童扶養手当などの公的支援の充実も必要だと考えます」(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 赤石千衣子さん)

資格の取得など、ひとり親家庭への支援も

「高等職業訓練促進給付金制度は、看護師、保育士、介護福祉士などの資格を学校に通って取得する場合、その間の生活費を援助。

住民税の非課税世帯だと、月約10万円、住民税課税世帯だと約7万円と十分ではないものの、3年間通えばかなりの金額に。
自治体で、母子・父子自立支援員さんに相談すると詳細を聞けるので、人ごとと思わずに検討してみてほしいですね。

また、簿記、医療事務、パソコンの講習など、教育訓練給付金の指定講座を受けると、受講料の約6割が戻る制度もあります」(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 赤石千衣子さん)

シングルマザーの貧困問題では、養育費の受け取り率の低さが大きな問題に

●養育費の受け取り率

取り決め率も全離婚の約半数ながら、受け取り率はさらに約半分の24.3%。これまでは取り立てることも難しく厳しい現実が明らかに。
<平成28年国民生活基礎調査、平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果より>

「離婚をしたら養育費が当たり前にもらえると思う方も多いのですが、取り決め率が42・9%、受け取り率は24・3%とかなり低い数字です。

取り立てしようにも、そもそも離婚時に、調停証書、公正証書、判決など“債務名義”と呼ばれる書面にしていることが少ない。
書面がないと強制執行ができず、また書面があっても、相手の住所や勤務先がわからなくなると差し押さえができないんです」

「ただこちらは、2020年4月から改正民事執行法が施行されて、養育費を支払うべき元夫の預金口座の情報開示を、金融機関に義務づけることができるように。年金機構や市町村が、健康保険や年金の情報から勤務先を開示できることも。

どれぐらい実現が可能かはまだわからないのですが、制度も少しずつ、シングルマザーを守るものに変わってきています」(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 赤石千衣子さん)

情報を手に入れつつ、周りにも頼って

シングルマザーとして生計を立てていくためには、こういった新しい情報も取り入れながら、恥ずかしがらずに周りに頼ることだと赤石さんは言います。

「ひとりで抱え込もうとするほど、どんどん大変な状況に陥ってしまう気がします。誰にも相談できず、ネット検索で不安要素を見つけては一喜一憂して、私たちに連絡してくるケースも。できれば同じような立場の方と出会える場所に顔を出してみて。

私たちもシンママカフェをオンラインも含め提供していますが、自分と同じような体験談や、つらい状況を抜け出して少し先を行く先輩の話が参考になると思います」(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 赤石千衣子さん)

悩んだときはどうすれば?シングルマザーの相談先リスト

NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ

https://www.single-mama.com/
☎︎ 03・3239・6582
相談の受付はもちろん、食糧支援、学習支援、ママ同士の交流会などさまざまな支援活動を行う。

東京都 ひとり親家庭支援センター はあと

http://www.haat.or.jp/
☎︎ 03・5261・8687(生活)
☎︎ 03・3263・3451(就労)
生活相談、養育費相談、離婚前後の法律相談、面会交流支援などを行う。就労支援は、ひとり親家庭支援センター はあと飯田橋まで。

日本司法支援センター 法テラス

https://www.houterasu.or.jp/
☎︎ 0570・078374
法テラスの利用方法や法的トラブルの解決に役立つ情報を電話やメールで問い合わせできる。経済的に余裕のない方には無料法律相談や、弁護士・司法書士に依頼する費用の立替(分割払い)制度も。

【専業主婦の離婚】時短でできる?費用、支援制度、保険は?現役FPが解説

もし本当に離婚をするとしたら、どんな準備が必要?専業主婦でも離婚できるもの?

実際に離婚に至らなくても、知っていると安心な情報も。

離婚相談にも応じる現役のファイナンシャルプランナー加藤葉子さんが、離婚する際の重要ワード解説とともに、不安の声にこたえます!

現役ファイナンシャルプランナーに聞く
離婚を考えたら確認すべきお金のこと

profile

加藤葉子さん

YOKO KATO

女性とシングルマザーのお金の専門家®

(株)マイライフエフピー代表。自身も離婚を経験しており、主に離婚や家計・働き方や起業などの相談を受ける。執筆監修、講師業・FPの育成などでも活動中。詳細はこちら。https://mylifefp.com/

専業主婦ママ&時短で働くママが実際に離婚をするとしたら……?

・子ども9歳、7歳
・第1子の妊娠中に前職の事務職を退職
・育児中心の専業主婦で、最近パートを始めたばかり
・節約してコツコツと約200万円貯金

・子ども7歳、4歳
・新卒で入社した会社で営業事務職
・産後は時短勤務中でほぼワンオペ
・夫婦の財布は別々で、自分の収入から約500万円貯金

※1 【学資保険や貯蓄型の保険】は、財産分与の対象になるので要確認!

学資保険は、夫が契約者で離婚後に妻が子どもを養育するとしたら、契約者の変更をしなければ満期金などを受け取れません。
支払いも元夫が続けるのは難しいので、養育費で保険料分ももらえるようにきっちり取り決めを。ほか、自分の医療保険は何に入っているか、いま一度確認しましょう。

※2 収入は【源泉徴収票】などを確認

専業主婦で夫が家計を管理している、または、共働きのため夫婦でお互いの収入を知らないケースも。
養育費の取り決めはそれぞれの収入などによって決まるので、できれば夫の源泉徴収票や確定申告書類をコピーなどして手元に置いておいて。
自分の源泉徴収票も、離婚後のひとり親家庭への手当に関係するので保管しておきましょう。

※3 査定額と【ローン】の残りを比較

まずは、現在の住宅ローンの残金を確認して。不動産会社で家の査定が可能なので、今の家の価値も参考にチェックをしてみましょう。

※4 知っておきたい【年金分割】

年金分割とは、厚生年金、共済年金のみ、婚姻時の年金保険料の納付実績に基づき分割する制度。
今後のために年金をいくらもらえそうか調べたい場合には、ねんきん定期便などに記載されているアクセスキーや、基礎年金番号などでねんきんネットを活用。

自分がこれまで支払った年金保険料に応じた年金額と、今後、仕事を始めて正社員になったら、また今の会社を辞めたらなどのシミュレーションもできるので一度確認を。

※5 住まい、生活費、養育費・・・【離婚後の家計】

住まいは大切なので、実家のサポートを受けられるのか、賃貸住宅(公営・民間)に住むのか、離婚前から見立てを。
生活費は、基本の食費などのほかに、意外にかさむ子どもの携帯電話代なども忘れないように。教育費は、学費や塾代はもちろん、習い事やスポーツをしていればユニフォームや遠征費などがかさむことも。
子どもとの生活を守るために、現状をしっかり把握して、離婚後を計算することが大切です。

※6【社会保険】に加入できるか確認を

専業主婦、パートだと夫の扶養内で生活する人は多いものの、離婚すると扶養から抜けることに。自分で国民年金・国民健康保険に入らなければいけないので、できれば社会保険に加入できる会社を探して。
社会保険がある会社なら非正規でも加入できるので、ハローワークなどで確認がマスト。

※7 所得制限あり!【児童扶養手当】

子ども1人の場合だと満額月4万3160円もらえる。所得制限があり正社員など、収入が高いとまったくもらえないことも。養育費の8割も所得に含まれることに注意。

※本表は、平成30年分の所得額より児童扶養手当法施行令に定める額を控除した後の額です。また、本表の適用期間は令和元年10月〜令和2年9月30日までの請求によるものです。

※8【ひとり親家庭への支援制度】

ひとり親家庭への住宅費助成、ひとり親家庭の医療費助成制度、水道料金・下水道料金の減免などが。自治体によっても異なりますので、どんな支援が受けられるか役所の窓口で確認を。
また、2020年4月より「高等教育の修学支援新制度」がスタート。低所得者向けの給付型奨学金制度です。

【離婚経験者のリアルな声】貯金なし子連れ、シングルマザーの仕事

共働きから仕事を継続しても、専業主婦から仕事を探しても、大変なシングルマザーの暮らし。

実際に離婚を経験した読者に、どんな問題にぶつかったのか、お金や仕事、現在の生活など、リアルな話を聞きました。

離婚経験者のリアルな声
離婚をする前にお金は貯めましたか?

回答者の6人に1人は、実際に離婚を経験していた今回のアンケート。半数以上は、十分な貯金なしで離婚。
「夫の不倫がわかり、すぐに家を出て1カ月以内で離婚」など、一刻も早く離婚したいケースも多く、やはり常日頃からの準備は必要なのかも。

離婚するにあたって、いくらぐらいお金を貯めましたか?

「共働きの夫婦別の財布で、自分の収入をコツコツと貯めていた」という人は500万円以上の貯金。一方で、50万円未満も多く、貯金できる人とできない人は二極化の傾向に。
自身の仕事や働き方、子どもがいる人はこれからの教育費や影響など、気になる点は山積み。反対に、「離婚はお金と子どもの問題がクリアできれば難なくできる」との声も。

シングルマザーとなって 01
自治体の無料法律相談で離婚のアドバイスを。安定した職も支えに

LEEメンバー りんかんさん
●36歳 ●子ども3歳 ●会社員

りんかんさんは、夫と価値観や金銭感覚が合わず離婚を決意。離婚を考えてすぐに、情報収集を始めたそう。

「離婚について書かれている本を買って勉強した後に、自治体で無料の法律相談があると知り、会社の有給を使って足を運び相談。財産分与についてのことを中心に、本で学んだことを自分に置き換えた場合に、発生する不利な点などについてアドバイスをもらいました。

離婚費用の節約にもなるので、本と法律相談で得た知識をもとに、元夫と話し合いを。養育費などは、裁判所が出している養育費算定表に基づいてそれぞれの年収から割り出し、離婚協議書を作成して約束しました。

お互いある程度は納得できる形での協議離婚。正しい情報や知識を持つことは大事だなと感じています」

結婚、出産を経ても正社員としてメーカーに勤務していたこともあり、経済的な不安も少なかったと言います。

「会社はテレワークや有休も取得しやすく、希望すれば時短も。仕事を辞めようと思ったことはないのですが、離婚を考えたときに、やはり続けていてよかったと痛感。

家計も、婚姻時も夫から生活費だけを受け取っていたので、今は養育費になっただけで変わらずに生活ができています。

唯一、心配だったのは子どもの将来の費用。共働きに比べると教育費などにかけられるお金が減るかなと危惧したのですが、元夫は計画性がなく、婚姻時も子どもの学資保険や子どものための貯蓄は主に私の収入からしていました。

そう考えると、これからも先を見据えて備えることで乗り越えられるかなと思っています」

シングルマザーとなって 02
専業主婦からの離婚。8年間のブランクは大きく、なかなか職が決まらず

LEEメンバー 和さん
●42歳 ●子ども8歳、5歳 ●社労士事務所勤務

約1年前、夫のギャンブル依存と借金が発覚し、離婚をしたという和さん。
第1子妊娠中に仕事を辞めてから、約8年間専業主婦だったということで、離婚を考え始めてからパートで社会復帰の準備を。

「独身時代は派遣で働き、職に困ったことはなかったのですぐに仕事が見つかるかと思いきや、ブランクがあること、保育園に預ける子どもがいることでなかなか決まりませんでした。

この時期は精神的に参り、子どもに当たってしまったことも……。派遣と並行してハローワークで相談したところ、母子家庭担当の女性がとても熱心に相談に乗ってくれました。

週末を子どもと過ごすために、土日休みの事務職を希望していましたが、40歳を過ぎて事務職の募集が少ない中、たまたま今の職場の求人を見つけて応募。資格は取らず、未経験ですが正社員で採用してもらえました。

何も知らず派遣で探していましたが、ハローワークを通じて母子家庭の母親を採用するとその会社に助成金が出ることもあり、そのためかハローワークにはシングルマザーの求人も多いのだそうです。

パートから正社員に移行できる会社を教えてもらったりと、ハローワークにはとても助けられました」

現在は子どもと3人で、実家近くの県営住宅で生活しているそう。

「収入は手取りで13万円と少ないのですが、児童扶養手当、離婚後に支払いが決まった養育費、母子家庭の医療助成、就学奨励金などがあり生活には困りません。

ただ、今後給与が増えることで児童扶養手当が減る可能性や、私が働けなくなってしまったらどうするのかなど不安は尽きないのが現状です」

●シングルマザーの相談先はこちらのページでも紹介中!
離婚でシングルマザーになったら?知っておきたい【お金の落とし穴・相談窓口】


イラストレーション/朝倉千夏 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2020年5月7日発売LEE6・7月合併号『知っておいて損はなし!離婚の経済学』の再掲載です。

おしゃれも暮らしも自分らしく!

LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
ファッション、ビューティ、インテリア、料理、そして読者の本音や時代を切り取る読み物……。
今読者が求めている情報に寄り添い、LEE、LEEweb、通販のLEEマルシェが一体となって、毎日をポジティブな気分で過ごせる企画をお届けします!

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