連載
KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、寒い時季になると石井家に登場する、毛足の長いラグについて。
file
11.
[ラグ]Rug
Made in:Turkey, Morocco, Greece
Item:Long pile rugs
毛足の長いラグ
たった1枚敷くだけで冬らしいインテリアが完成
ご存じの方もいると思いますが、私は相当なラグ好き。敷ける床の面積は限られているにもかかわらず、心惹かれるものがあると、いまだに1枚、2枚とつい増やしてしまいます。春にもこちらの連載で、平織りの薄手のキリムを紹介しましたが、今回はこの時季にぴったりな毛足の長いラグに着目。
まず、ラグのいいところは気軽に部屋の雰囲気を変えられること。視界に占める面積が大きいですから、気軽な模様替えにうってつけです。わが家に毛足の長いラグが登場するのは、だいたい10月の終わり頃。肌寒さを感じ始める時季にふわふわした質感のラグが目に入ると、それだけで部屋全体が暖かな印象になります。
時々、「ラグってホコリが舞いそう」という相談を受けますが、私の実感としては、フローリングそのままのほうがホコリを目立たせる気がします。むしろ、ラグがある程度ホコリを吸着してくれるので、空間に舞うことが少ないように感じるのです。
毛足の長いラグを敷くことの一番のメリットは、なんといっても素材そのものの肌触りを楽しめること。通常のパイルラグのなめらかさも魅力的ですが、もっと動物そのものに触れているかのような、実に癒される感覚です。「冬場は厚い靴下やルームシューズを履いているから関係ない」なんて思うかもしれませんが……足の裏って、想像以上に敏感。上質なラグの感触は、たとえスリッパ越しでもしっかりと伝わり、冬の心地よさに大きく影響するのです。
日本でも人気のモロッコ製ラグ「ベニワレン」。石井さんは、めずらしい赤をザ・コンランショップで購入。白いラインがテーブル&チェアの色とリンク。「椅子に座ったとき、足元にこの感触があるだけで、くつろぎ度がよりアップします」(石井佳苗さん)
羊毛そのものの色を堪能できるギリシャ製のラグは約80×70㎝。「小さくても1枚敷くと、空間をゆるやかに区切れて、ワンルームの中にさまざまなコーナーを作れるんです。“家具の前の小さなラグ”から始めるのもおすすめ」(石井佳苗さん)
Item:
Long pile rugs
Turkey, Morocco, etc.
やわらかな動物に触れているような心地よさを足裏で感じます
上のラグはトルコ中部産の「ヤタック」。この名は寝具用に使われた厚手ラグの総称で、人ひとりが横になれるサイズ感が特徴。(約180×120㎝)。下のラグはトルコの寒冷地で織られ“長い毛足”という意味の名を持つ「チュル」。毛足がループ状になっていて保温性が抜群。「素材はアンゴラヤギ。肌触りのよさは、いわゆる“モヘア”ならでは」(石井佳苗さん)。(約178×128㎝)。2枚ともグランピエ(https://granpie.com)で購入。
Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2024年LEE1・2月合併号(12/7発売)『スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」』に掲載の記事です。
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