Special Interview with Kazunari Ninomiya
二宮和也さん
かろやかに、走り続けられる理由
ステージでのパフォーマンス力に、素顔でのトーク力、そして映画やドラマで見せる、圧倒的な演技力。いくつものスペシャルな魅力でみんなを惹きつけてきた、読者と同世代のスター・二宮和也さんが、LEE単独初登場! 仕事観や幸福論から、主演最新作への思いまで。さらりとした口調で語ってくれた深い言葉の中に、二宮さんが第一線で活躍し続けている理由がありました。
Kazunari Ninomiya
にのみや・かずなり●1983年6月17日、東京都生まれ。1999年、嵐のメンバーとしてデビュー。以降、音楽、演技、バラエティと多方面で活躍。2021年、YouTubeチャンネル『ジャにのちゃんねる』を開設。10月スタートの月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)に出演。
私たちと同世代の、ニノに聞きたい!
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トップランナーとして長い間、走り続けられる秘訣は? 不安を感じたらどう乗り越えれば?
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「不安になるのは、動機が曖昧だからかも。どうすれば見る人に喜んでもらえるか。僕は、その原点にいつも立ち返っています」
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日常で幸せを感じるのはどんなとき? 年齢やライフステージの変化を経て暮らしの楽しみも変わってきましたか?
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「小さくても日々の生活に楽しみがあるなら幸せなことだと思います。ただ、僕自身は自分の生活にあまり興味はないかな(笑)」
“40歳の壁”を感じて、変わりたいなら人生の目的をはっきりさせてみたら?
by NINO
自分の生活より、エンタメがおもしろくなる方法を考えたい
LEE読者にとって、まさに“同世代スター”の二宮和也さん。その活躍に、元気や感動をもらいながら時を重ねてきた人も多いはず。最前線で輝き続けられる理由が知りたくて、まずは聞いてみました。経験やキャリアを積みながら、このままでいいのか漠然と不安になる——いわゆる“40歳の壁”を感じたこと、二宮さんはないですか?
「ないない(笑)! 僕は、むしろ変わらないことを求められているタイプだろうから。かといって、変わらないぞ、とも思っていません。何も気にせず笑っています」
返ってきた答えは、さらりとかろやか。続いて、思わずハッとしてしまう、核心をついた意見も。
「漠然と不安になるのは、動機が曖昧だからじゃないかな? なんとなく『お金持ちになりたい』と思っていたって、何をもとにどうやって利益を上げていくかが明確にならないと、動き出せない。同じ場所で立ち止まったままになってしまって……苦しいですよね」
一方で、“日常の幸せ”についても、ユニークな視点が光ります。
「例えば、誰かのために料理をしたり、新しい家電を取り入れたりと、小さくても日々の生活に楽しみがあるなら、それは幸せなことだと思います。僕自身は、自分の生活にあまり興味はないけど(笑)」
二宮さんの演技や発言がたくさんの人の心に響くのは、きっと意図が明確だから。そして、視点が常に外へ、他者へ、と向けられているからなのかもしれません。
「基本的に、僕は主観で生きていないんです。仕事も、自分のためではなく、誰かのためにやってきた。大切なのは、どうすれば見る人に喜んでもらえるか。グループ活動中からの原点に、いつも立ち返るんですよね。プライベートでも、こうしたら自分が気持ちいいとか、かっこよくなれるとか、考えたことがない(笑)。それより、エンターテインメントがおもしろくなる方法を考えることに力を注ぎたい。ずっとそんなふうに思いながら、やってきた感じです」
“デジタル”な人間の僕からすると、“アナログ”な二人のやりとりは特殊に見える。同時に、すごく贅沢だな、とも感じます
縁遠かった恋愛作品で、新しい経験ができました
二宮さん主演の最新映画は、ビートたけしさんの小説を実写化した『アナログ』。大人の恋愛模様を丁寧に描いた今作で、また新たな魅力を見せてくれています。
「僕自身も新鮮でした。これまでは、男性が多い現場がほとんどだったから(笑)。もともとラブストーリーとは縁遠かったんですが、タカハタ(秀太)監督から、『あなたは自分で思っているよりいい男だから、それを世の中に伝えてもいいと思う』と口説かれて(笑)。こうして引っ張り出してもらえたおかげで、新しい経験ができました。とても感謝しています」
演じたのは、手作りや手描きにこだわるデザイナー・悟。あるとき、携帯電話を持たない謎めいた女性・みゆきと知り合い、連絡先を交換しないまま、週に一度、喫茶店で会う約束をするのですが——。
「悟とみゆきは“アナログ”な価値観を持っているけれど、僕は“デジタル”な人間。現金も持ち歩かないし、時計もデジタル表示だし。なるべく合理的に動きたいタイプだから、二人のやりとりも特殊に見えました。ただ、それだけ時間をかけられるのは贅沢だな、とも。現代の物語ながら、ある種の哀愁みたいなものが香ってくるところは、ビートたけしさん原作ならではの魅力。僕もすごく好きですね」
監督やヒロインを演じた波瑠さんら、スタッフ・キャストとのチームワークも充実していた様子。
「現場では、テストなしで本番に臨んだり、長時間アドリブで話し続けたり。みんなで自由に作り上げていくのが楽しかったです。これまで、撮影といえば郊外まで遠出することが多かったんですが、今回はほぼ都心でロケができたのも画期的だと思う! 原作に忠実に、広尾で舞台を整えてくれた制作陣に拍手したいですね。今後、映画やドラマを撮影するうえでの可能性も、相当広がりそうだから」
悟という役とは、どのように向き合っていったのでしょうか。
「僕は、この作品の主人公はみゆきだと思っていたんです。いろいろな体験をするのはみゆきで、そこに同じ温度で寄り添い続けるのが悟。だから、悟というより、みゆきが抱える事情の映り方を意識していましたね。あとは、いい年齢の悟がどこまでドギマギするのか、とか(笑)。監督が、大人の落ち着きの中にあるときめきみたいなものを大事に撮られていたので、何度も確認しながら進めました」
完成作は、好きな人に会える喜びが伝わる、温かな仕上がりに!
「さりげなくて遊び心もある、美しい一本にまとめていただいていました。携帯電話のない頃を知っている人には懐かしく感じられるだろうし、そうでない若い人にも共感できる部分はあるんじゃないかな、って。いつの時代も、大切な人を思う気持ちの本質はシンプルで変わらないものだと、気づかせてくれる作品だと思います」
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映画 『アナログ』
ビートたけし氏による初の恋愛小説を映画化。今作で初共演となる、主演・二宮さんとヒロイン役・波瑠さんをはじめ、桐谷健太さん、浜野謙太さん、藤原丈一郎さんら、豪華キャストが顔をそろえる。上質な作品を多数手がけてきたタカハタ秀太監督による、温かく美しい世界観も見どころ。いつの時代も変わらない“好きな人にただ会える喜び”を描いた、感動のラブストーリー。現在、好評公開中。公式サイト(https://analog-movie.com/)
原作はこちら
『アナログ』 ビートたけし・著 (¥770/集英社文庫)
デザイナーの水島悟はある日、自らが内装を手がけた喫茶店「ピアノ」で謎めいた女性、みゆきと出会う。似たような価値観を持つ彼女に徐々に惹かれていく悟。意を決して連絡先を聞くも「お互いに会いたい気持ちがあれば会えますよ」と言われ、毎週木曜日にピアノで会う約束を交わす。多忙な日々の中、ゆっくり関係を深めていく二人。しかし突然、彼女はピアノに現れなくなり……。珠玉の恋愛小説。
Staff Credit
取材・文/藤本幸授美
こちらは2023年LEE11月号(10/6発売)『Special interview 二宮和也さん かろやかに、走り続けられる理由』に掲載の記事です。
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