愛らしい絵、心温まるストーリー…
プロが選ぶ【今、読みたい新世代の絵本作家7人】ヒグチユウコさん、井上奈菜さん…
2024.01.17
絵本の目利きが激推し!
今、読みたい新世代の絵本作家7人
絵本専門誌の編集部員、子どもの本のセレクター、絵本のセレクトショップの店主が選ぶ、〝押さえておきたい作家&作品〞はコレ!
絵本の目利きの皆さん
Recommend
01
愛らしさと毒のある猫の絵で人気沸騰中!
ヒグチユウコさん
’14年に『ふたりのねこ』で絵本作家デビュー。
’23年には大規模な展覧会や、作品の舞台化も行われました。
ヒグチさんは猫を題材にした絵本で知られていますが、植物やぬいぐるみの描き方も見逃せません。
キャラクターたちは個性豊かで、命が宿っているよう。登場する誰もが主人公なのだと感じさせる、優しいまなざしの物語が多い作家です。
MOE編集部 位頭久美子さん
01.『せかいいちのねこ』 白泉社 ¥1650
持ち主の男の子に愛されるために、本物の猫になろうとするぬいぐるみ・ニャンコの冒険。今年の夏には舞台化も。
魅力的な猫たちと、感情豊かなニャンコとのふれあいが優しく、読むたびに心が揺さぶられてしまいます
MOE編集部 位頭久美子さん
02.『ギュスターヴくん』 白泉社 ¥1540
猫でもタコでもない、不思議な生き物・ギュスターヴくんが主人公。
架空の本から生き物を引き出して、いたずらを繰り広げます。ギュスターヴくんから、子どもも大人もパワーをもらえるはず!
MOE編集部 位頭久美子さん
Recommend
02
豊かな色彩感覚に感性を刺激される
井上奈奈さん
16歳でアメリカへ留学し、アートを学んだという井上さん。
’14年に『さいごのぞう』で絵本作家デビュー。私に、絵本は子どもだけのものじゃない、と気づかせてくれた作家です。
色使いが印象的で、世界の見え方を問われているような気持ちになります。
言葉のはこび方も美しいですね。物語ではあるけれど詩のような響きが心地いい。思わず口ずさみたくなります。
絵本の店omamori」 店主 まるのさきさん
01.『ウラオモテヤマネコ』 KISSA BOOKS ¥2200
裏と表の世界を旅するウラオモテヤマネコと少女との物語。
別世界のストーリーのようでいて、私たちが生きる場所のようにも聞こえる話。装丁も好みで、自宅のお気に入りの棚に、この作品を飾っています
絵本の店omamori」 店主 まるのさきさん
02.『せかいねこのひ』 新日本出版社 ¥1760
もしも人が言葉を忘れて「ニャー」と、猫のようにしか鳴けなくなったら?
猫をお手本に、ゆるやかで気ままに生活をする世界中の人々。その姿から、生きるうえで大切な何かを、思い出すことができます
絵本の店omamori」 店主 まるのさきさん
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03
世界と人間へのあふれる希望が詰まっている!
阿部 結さん
イラストレーターなどを経て、’20年に『あいたいな』で絵本作家デビュー。
作品から一貫して感じられるのは、この世界や人への希望。ご自身が見聞きしたことを感じさせるような、きらめきいっぱいの物語の中に、誰もが共感できる普遍性があるのも魅力。
まだデビューされて3年ほどですが、一作ごとに新たな才能を見せてくれるので、今後も追いかけたい絵本作家として、注目しています!
代官山 蔦屋書店 キッズコンシェルジュ 瀬野尾真紀さん
01.『おやつどろぼう』 福音館書店 ¥440
母さんが夜中におやつパーティをしていたのを見たアカーキー。ケーキの隠し場所には、しましまの服を着たおやつどろぼうが。
未知の時間に起こる不思議な出来事。ファンタジーあふれる世界がたまりません
代官山 蔦屋書店 キッズコンシェルジュ 瀬野尾真紀さん
02.『なみのいちにち』 ほるぷ出版 ¥1980
宮城県の気仙沼市で育った阿部さんが描き出す、海のある街の何気ない日常。
連綿と受け継がれている人々の暮らしと、愛着ある場所への思い。シンプルながらも芯の強さを感じる絵本です。長く愛される一冊になりそう
代官山 蔦屋書店 キッズコンシェルジュ 瀬野尾真紀さん
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04
ページをめくればたちまち絵の世界に引き込まれる
junaidaさん
広告などのイラストを手がけたのち、’18年に、文字のない絵本『Michi』で、鮮烈なデビューを飾った作家。
ページを開くと、たちまち絵の世界に入っていけるような、没入感が魅力。絵の隅っこにいる動物や小さな人まで生命が宿っていて、存在感があります。
どの作品も、シンプルなデザインが多いのも特徴的。読み手が空想する余地を大切にしているのが伝わります。
MOE編集部 森下訓子さん
01.『怪物園』 福音館書店 ¥1980
怪物たちを乗せて旅をしている怪物園。ある夜、怪物園が眠った隙に、怪物たちが飛び出す。
少し怖くてわくわくする語りに、ユーモラスな怪物たち。怪奇と美しさが混じり合った造本もすばらしい
MOE編集部 森下訓子さん
02.『EDNE』 白泉社 ¥2750
ミヒャエル・エンデ『鏡のなかの鏡』に捧げる30篇のオマージュ。
合わせ鏡に合わせ鏡になった絵と言葉が現れ、読み手の空想の扉を開き、絵の迷宮を歩く感覚に。読むたびに気づきがあり、同時に謎も深まります
MOE編集部 森下訓子さん
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05
刺繍が織りなすキュートな世界に注目
junoさん
もともとは刺繍作家。’23年に『どこ どこ? ねどこ』『やぎさんのさんぽ』の2冊でデビュー。
手作業の温かみはもちろん、細かく糸を替えた刺繍が目を惹きます。動物たちはかわいらしく縫われていて、奇をてらうことなく真摯に作られていることが伝わります。
絵本以外の作品では野性味を感じる刺繍もあるので、今後の表現の振り幅の大きさに期待できる作家です!
代官山 蔦屋書店 キッズコンシェルジュ 瀬野尾真紀さん
01.『どこ どこ? ねどこ』 福音館書店 ¥880
繰り返しの言葉遊びが楽しい一冊。
決まったリズムが繰り返される心地よさは、絵本の大切な要素のひとつ。小さめの本のサイズが、絵のかわいらしさをさらに引き立てます。幼い手にも優しいデザイン、装丁も考え抜かれています
代官山 蔦屋書店 キッズコンシェルジュ 瀬野尾真紀さん
02.『やぎさんのさんぽ』 福音館書店 ¥880
やぎさんのマイペースぶりが楽しい一冊。
いろんなものを飛び越えては、喜ぶやぎさん。小さな子どもの成長もこんなふうに育まれたら素晴らしい。『三びきのやぎのがらがらどん』がオマージュになっている、絵本の王道作品です
代官山 蔦屋書店 キッズコンシェルジュ 瀬野尾真紀さん
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06
動物たちのリアルな絵と心温まる話になごむ
しもかわらゆみさん
イラストレーションや動物細密画を学んだのち、’14年『ほしをさがしに』で絵本作家デビュー。
しもかわらさんが描く生き物は、デフォルメされすぎていない、動物が持つそのままの愛らしさが特徴です。
登場するキャラクターのまなざしや、毛の一本といった細かい部分まで、表現されているなと感じてしまいます。
小さな子はもちろんですが、大人も手元に置いて、何度も眺めたくなる作品ばかりです!
「絵本の店omamori」 店主 まるのさきさん
01.『おんなじ だあれ?』 あかね書房 ¥1430
小さく切り取られた穴から、動物の共通点を探し出すしかけ絵本。
自分と相手との違いにばかり目がいき、心が波立ってしまうときなどにおすすめ。実は誰にでも似通った部分はたくさんあるのだと気づかせてくれます
「絵本の店omamori」 店主 まるのさきさん
02.『ほしをさがしに』 講談社 ¥1540
ねずみは、仲よしのもぐらに会いたいと思った矢先に、流れ星の足跡らしきものを見つける。
誰かに会いたいと思うのは、寂しさではなく、明るくまっすぐな気持ちからわき上がるもの。そんな感情を思い出す物語です
「絵本の店omamori」 店主 まるのさきさん
Recommend
07
「見立て」の世界にビックリさせられる!
田中達也さん
身近なものを、思いもよらないものに変身させる「見立て」という作品を、12年以上毎日SNSにアップし続け、海外でも大人気のミニチュア写真家。’22年『くみたて』で絵本作家デビュー。
発想の飛躍と磨きぬかれた技を、絵本の世界でも発揮中。もとは大人向けのアート活動からスタートされましたが、絵本では、子どもにもわかる見立てを大切にしているのもすばらしい。
MOE編集部 森下訓子さん
01.『おすしが ふくを かいにきた』 白泉社 ¥1430
おすしが、ネタのエビやタマゴの服を買いにいく!
この冒頭の設定から、心をつかまれてしまうはず。おすしが暮らしている町、鉛筆が通う美容室、シュウマイのサウナなど細部までおもしろく、いつまでも見てしまいます
MOE編集部 森下訓子さん
02.『くみたて』 福音館書店 ¥1540
身近なグッズをいろんな視点から眺める絵本。
せんたくばさみがブランコに、めがねがプールに大変身。さまざまなものにくみたてられた姿は、想像を超えていくおもしろさが!
親子でワクワクと盛り上がれます
MOE編集部 森下訓子さん
Staff Credit
撮影/柳 香穂 取材・文/石井絵里
こちらは2023年LEE10月号(9/7発売)「大人が読んでもじわっとくる ひたってみませんか? 『新世代作家』の絵本の世界」に掲載の記事です。
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