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LIFE

突然、子どもの“行き渋り”がやってきた!

【子どもが“行き渋り”から“不登校”になったとき】子どもの心の変化と相談先、親ができること

2023.09.12

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時系列で解説。“行き渋り”から“不登校”になったら?

親が知っておくべき流れと相談先

原因が根深ければ、継続的な不登校になることも。子どもの心の変化と相談先、親ができることを、あらかじめ知っておくと、いざというとき指針になります。

教えてくれたのは…

不登校支援スタッフ 池田隆史さん

認定NPO法人カタリバ 池田隆史さん

不登校支援スタッフ

中学校の教員から不登校支援スタッフへ。島根県雲南市の教育支援センター「おんせんキャンパス」では、学校に行けない子どもたちと交流。

NPOカタリバがみんなと作った 不登校—親子のための教科書

不登校支援に力を入れてきた認定NPO法人カタリバが作った、親子のためのガイドブック。『NPOカタリバがみんなと作った 不登校—親子のための教科書』(ダイヤモンド社)

不登校新聞代表理事・編集長 石井志昂さん

石井志昂さん

不登校新聞代表理事・編集長

自身も不登校経験者で、中学2年生から不登校に。19歳で全国不登校新聞社に就職。’06~’22年編集長、’20年から代表理事。これまでに不登校の子どもやその親など約400人を取材。

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること

学校へ行きたくないと言う子どもにどう対応するべきか、子育てのノウハウなど具体的なアドバイスが満載。『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)



初期

行き渋り→学校を休み始めたら

不登校になってからの、子どもの心の変化を知るだけでも親の安心に

不登校支援スタッフ 池田隆史さん

認定NPO法人カタリバ
池田隆史さん

イラスト 一日中寝ている子ども

下のグラフは、不登校の子どもとのかかわりの中でまとめた“子どもの心のエネルギーの変化”。不登校が始まってから、どういう流れで回復するかを記しています。あらかじめ流れがわかっているだけでも、親は少し安心できるはず。初期は、一日中寝ている子どももいますが、必要な休息なので休むことを優先して。(池田さん)

[子どもの心のエネルギーの変化]

[子どもの心のエネルギーの変化] 心のエネルギー 高←→低 登校ができるライン 時期 休み始め 初期 休養前期 休養後期 回復期 復帰期 子どもの様子 1 2 3

【子どもの様子①

  • 行き渋りがある
  • 腹痛、頭痛が増える
  • 寝る時間や起きる時間が不規則になる
  • 食欲が減る
  • 友達との付き合いが減る

子どもの様子②

  • 部屋に閉じこもる
  • 家族との関わりが減る
  • 家族への暴言、幼児返りがある
  • 昼夜逆転など、生活の乱れがある
  • 家庭訪問しても会えない

子どもの様子③】

  • 家の中で落ち着いてくる
  • 家族と出かけることができる
  • 趣味や遊びに興味がわく
  • 生活リズムが整ってくる
  • 運動や家事などができる
  • 家庭訪問で会って話ができる

一度傷ついてエネルギーが低下した子どもの心が回復するには、プロセスが必要。初期の段階で勉強などを無理に頑張らせると、暴力的になったり引きこもってしまうようなケースもあるので要注意。

『NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書』(ダイヤモンド社)P.61を参考に編集部で作成

不登校になったタイミングから、子どもの心の回復は始まります

不登校新聞代表理事・編集長 石井志昂さん

不登校新聞代表理事・編集長
石井志昂さん

不登校になり学校を休むようになると、その時点で心の回復は始まります。不登校は悪いことではなく、合わない子どもにとって学校はストレスなので、離れることで危機を脱したことに。ただ、無理をした分、眠れない、だるいといった身体症状が出る時期なのでよく休ませて。安心できる環境なら3カ月〜半年で身体症状はおさまるはず。(石井さん)

休養期

休んで回復を待つ時期。気持ちが不安定になることも

泣いたり、怒ったり、甘えたり…感情が噴出する時期

不登校新聞代表理事・編集長 石井志昂さん

不登校新聞代表理事・編集長
石井志昂さん

身体症状が落ち着いてくると、今度は感情を噴出させる時期に。子どもは泣いたり、怒ったり、甘えたり感情のコントロールができない状態になることが多いです。親は本当に大変ですが、子どもの感情に付き合って寄り添うと、だんだんと落ち着いてくるはず。まだ勉強や進路の話などはせず、見守るタイミングです。(石井さん)

家庭内だけで抱えるのは難しい。専門機関に相談して力を借りて

不登校支援スタッフ 池田隆史さん

認定NPO法人カタリバ
池田隆史さん

イラスト 暴言を吐いたり、幼児返りすることも

休養前期は子どもの心のエネルギーが底スレスレになっているときで、暴言を吐いたり、幼児返りすることも。親も振り回されてしんどいので、家庭内だけで抱えるのは難しくなります。記事の最後にあるような相談先や、カウンセラーなどの専門家の力を借りて。第三者が入ることで、家庭の殺伐とした空気が落ち着くことも。(池田さん)

回復期

気持ちが落ち着き、外の世界に興味が。親離れも進む

落ち着いた様子になり、進路について話すことも可能に

不登校支援スタッフ 池田隆史さん

認定NPO法人カタリバ
池田隆史さん

イラスト 今後について話す余裕も生まれる時期 ヒマ 行く?

混乱を抜けると、子どもの様子が変化。この頃には「家にいるのもつまらない」「何だか暇だ」などと言い出すこともあります。学校に戻るか戻らないか、ほかに居場所を見つけるかなど、今後について話す余裕も生まれる時期。あらかじめ親がフリースクールの情報などを収集しておいて、子どもに見せてみてもOK。(池田さん)

自分に起きたことを言語化するようになり、親離れができる

不登校新聞代表理事・編集長 石井志昂さん

不登校新聞代表理事・編集長
石井志昂さん

だんだんと自分に起きたことを言語化するように。不登校になって心が疲弊していると内にこもりがちになるので、脈絡のないことでも子どもが自分から話し始めたら回復の兆し。この時期が過ぎると、親離れをして友達と遊びたがったり、外に出たいと言い出します。回復するまでには個人差があり、数年かかることも。(石井さん)

学校以外の居場所とは


  • 不登校生の支援、自由な学びができる「フリースクール」
  • これまでの学校に代わる学校「オルタナティブスクール」
  • 通信制学校
  • 塾や習い事
  • NPO法人などが運営する「プレーパーク」
  • オンライン上のフリースクールや居場所
  • 海外留学 …など

“学校に代わる学校”として、多様性、オリジナリティを重視した教育を行う“オルタナティブスクール”が増加。図書館など街の中にも居場所が。


メタバース空間の学び場も

「room-K」

メタバース空間

カタリバが運営する、オンライン上の不登校支援。アバターとなってスタッフと面談をしたり、プログラムに参加したりも。現在、利用は連携自治体からのみ受け付けています。

行き渋りや不登校になったら、
第三者に助けを求めるのが大事

こんなにある! 相談先リスト

学校

  • 担任の先生
  • スクールカウンセラー
  • スクールソーシャルワーカー
  • 養護教諭 …など

自治体の相談機関

  • 教育委員会が設置する「教育支援センター」
  • カウンセラーなどの資格を持つ教育相談員がいる「教育相談センター」
  • 子ども家庭センター
  • 児童相談所や保健所の子育て相談窓口 …など

不登校の子どもの保護者会

  • 当事者が運営、情報交換をする「不登校の親の会」
  • NPOカタリバのLINE相談チャット、オンライン保護者会
  • 不登校の親専用オンラインコミュニティ「親コミュ」 …など

【小児科医】
【全国のフリースクールの相談窓口
【不登校生を受け入れている通信制学校

自治体の機関、民間のフリースクールなどに窓口が。「小学生なら通う予定の中学校、中学生なら不登校生を受け入れている高校など、進路の受け入れ態勢を聞いてみても」(石井さん)、「不登校生の親の会は、LINEのオープンチャットなどでもあるので気軽に悩みを相談しやすいはず」(今村さん)


Staff Credit

イラストレーション/今 じんこ 取材・原文/野々山 幸(TAPE)

こちらは2023年LEE10月号(9/7発売)「突然、子どもの“行き渋り”がやってきた!」に掲載の記事です。

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