テイストの変遷や引っ越しを重ねても、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月一点ずつ紹介します。今回はフラワーベース。やはり定番には、納得の魅力があるのです。
石井佳苗さん/Kanae Ishii
「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。
Instagram:kanaeishii_lc
公式サイト:https://www.kanaeishii-stylist.com/
file 06.[花器](Flower vase)
Brand: イッタラ(Iittala)
Item: アルヴァ・アアルト コレクション ベース(Alvar Aalto collection vase)
草花を生けたときはもちろん、曲線的な存在そのものが美しい逸品
手に入れた時期は、もはや曖昧。それほどわが家になじみきったアイテムでもありますね。
言わずと知れた北欧デザインの巨匠、アルヴァ・アアルトによる「イッタラ」の定番品ですが、私が購入したホワイトは20年以上前に作られたもの。裏の刻印が現行品とは違っていたり、白の風合いにどこか味があるのがヴィンテージならでは。同型の現行品もあり、同じデザイン性の高さでスタイリングに重宝しています。
植物というのは、たとえ花一輪でも、空間にほかにない風を吹かせて、その時季ならではの味つけをしてくれるもの。だからぜひお部屋に取り入れたいのだけれど、「花を生けるのが苦手」という人も多いですよね。そんな人に真っ先にすすめたいのがこのフラワーベース。なぜなら、どんな生け方をしてもちゃんとさまになるから。
それは、「さすが、アアルト」としか言いようがないのですが、このフォルムの力。たっぷりのブーケを生ければ、それぞれが心地よく広がるように曲線の縁に引っかかる。花一輪を生ければ、計算したかのようにゆったりした表情を見せる。テクニックがなくても、草花を美しく見せる懐の深さがあるのです。
内側が見えない白には、上部から顔をのぞかせるようにこんもりと。クリアなタイプは、すっきり立ち上がる茎まで見せて。そして何より感心するのは、たとえ草花を生けなくても、それひとつでオブジェとして成立する存在感。その風格はやはり、「さすが、アアルト!」なのです。
曲線で形作られるフォルムは、ただ棚に置くだけでもオブジェのように映える。「高さ16㎝のタイプは重さがあるので、ブックエンド代わりにも。置く向きによって表情が少しずつ変わるのも楽しさ」(石井佳苗さん)
ミニサイズはデスクでも活躍。ペンやメガネを立てて。「美しいだけでなく、縁にちょうど引っかかってモノが取り出しやすいんです」(石井佳苗さん)
アルヴァ・アアルト コレクション ベース(小サイズ)をLEEマルシェでチェック!Designer: Alvar Aalto
Finland,1936
不透明な白、軽やかなクリア。それぞれの生け方を楽しんで
フィンランドを代表する建築家およびデザイナー、アアルトによるデザイン。流れるような有機的なフォルムは、湖の形とも、白樺の根元の断面形状とも言われ、諸説ある。写真左は石井さんの私物でヴィンテージのもの。
アルヴァ・アアルト コレクション ベース(大サイズ)をLEEマルシェでチェック! アルヴァ・アアルト コレクション ベース(中サイズ)をLEEマルシェでチェック!撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美 デザイン/サイトヲヒデユキ
こちらは2023年LEE7月号(6/7発売)「スタイリスト石井佳苗の「インテリア名品」」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。