【男の子ママ「性教育」のお悩み相談室】避妊、ジェンダー、夫の意識との差…辻元舞さんが産婦人科医・高橋幸子さんに聞く

辻󠄀元舞

2023.03.19

７歳と４歳の男の子のママである辻元舞さん。息子さんたちの言動を見ていて性教育の必要性は感じつつも、何をどう伝えればいいのか、悩むことも多いと言います。そんな辻元さんが、専門家に直接質問！　異性だからこそ難しい、男の子への性教育について学びます。

産婦人科医・高橋幸子さんに辻元舞さんが聞きました！
母から息子へ伝えられる「性教育」とは？

自身も男の子のママである産婦人科医の高橋幸子さんに、辻元さんの悩みをぶつけ、母親ができることを教わりました。女の子ママにも勉強になる教訓がたくさん！

※対談内のエピソードは、お二人のご家族の許可を得て公開しています。

（右）モデル 辻元舞さん

モデル。1987年2月6日、京都府生まれ。本誌をはじめ、さまざまな女性誌で活躍。『プレバト!!』（TBS系）などテレビ出演も多数。公式インスタグラム（mai_tsujimoto）、公式YouTubeチャンネル『Mai Fam TV』随時更新中。

（左）性教育のエキスパートで17歳の息子のママ
産婦人科医 高橋幸子さん

埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター産婦人科医。年間120回以上、全国の小学校、中学校、高校にて性教育の講演を行う。著書に『サッコ先生と！からだこころ研究所』（リトルモア）。LEEweb「私のウェルネスを探して」と、Podcast「宋美玄さんの聴く婦人科診察室」（下記）の登場回も要チェック！

「産婦人科医・高橋幸子さんが子ども達に伝えたいこと」はこちら産婦人科医の宋美玄さんと高橋幸子さんが性教育を語り尽くします【聴く婦人科診察室＃23】はこちら！

辻元舞さんのお悩み
夫が“カンチョー”を息子に教えていた！
意識の低さに怒りが…

辻元　私の一番の悩みが、夫の意識の低さなんです。外出先で息子を一人でトイレに行かせてしまったり。この前なんて、ふざけて息子に“カンチョー”をして遊んでいて、衝撃。すぐに「そういう時代じゃないから！」と怒りました。

Mai︐s性教育悩み

性犯罪の怖さを知らない夫。「男なんだから」発言も

「デパートなどで息子がトイレに行きたいと言うと『男なんだから、一人で行ってこい！』と。男の子でも性犯罪にあう可能性があることを知らない夫。ちゃんとついていくように、何度も話しました」（辻元さん）

高橋　私が講演をした中学校では、足で友達の股間を押さえつける“金ドリル”をやっている男子がいたんです。「プライベートゾーンだし、遺伝情報がある部分を破壊したら大変なことになるよ！」と注意しました。男子の中では昔からやってたことだからと、父親が教えてしまうケースもありますね。夫婦で性教育への意見が合わないことは多いです。でも、息子からしたら同性の父親に相談しやすいかもしれないし、男性も学んでほしいですよね。

辻元　本当に！　どうすれば夫に伝わるのでしょうか？

高橋　手っ取り早いのは、妻が読んだ本を渡すこと。面倒くさがるかもしれませんが「息子に渡したいと思ってる本だから、このページだけでも読んでみて」と根気強くすすめてみてください。「男ならAVから学べばいい」という考え方の男性もまだまだ少なくないのですが、「女性に乱暴してもいい」などと誤った認識を持つ子どもが増え、性暴力や性犯罪の一因にもなっていると思います。夫にその認識を改めてもらうのはもちろん、息子がAVなどを見ていることに気づいたら「ああいった動画は見る側の妄想で、実際にはやらないことなんだよ」と教えるべきとき。とても重要なことなので「気まずい」とか「気持ち悪いと思われるかな？」とひるまず、母親からでも父親からでも、伝えたいですね。

避妊についてどう教える？具体的には伝えづらくても、相手を尊重できる子に

辻元　夫がそんな感じなので、息子が思春期になって、私から性の話がしづらくなったら、不安も。彼女ができたらどうするかとか……。

高橋　子どものタイプにもよりますが、思春期になったら、特に異性の親からそういった話は聞きたくない。思春期向けの性教育の本を活用して、例えば親の目を気にしないで読めるように“トイレ文庫”を用意してみるのはおすすめ。わが家では、息子が中1のときに、私が性教育についての番組を見ていたら息子と目が合ったので「そういえば、コンドームって触ったことあった？」と声をかけ、つけ方や「裏表を間違えたら、病原体がついているかもしれないからもう使えないよ」といった注意点まで教えました。子どもが興味を持てば、こういった具体的な性教育もアリだと思います。

「息子と目が合ったので、今がチャンス！とコンドームの使い方も教えました」（高橋幸子さん）

辻元　なるほど……。伝えられたらいいけれど、私にはハードルが高い気もします。

高橋　ここまでするのは難しい家庭が多いですよね。無理はしなくてもいいと思います。最初にお話したように、性教育は“人権教育”なので、幼少期からの積み重ねで、相手を尊重する気持ちがきちんと伝わっていることが大切。もし付き合っている彼女が妊娠するようなことがあったらいけないと考えて、慎重な行動を取れるのではないかと思います。少しずつタイミングを見ながら伝え続けていくことです。そういう意味では、“バウンダリー”の意識も、幼少期から育てたいですね。

辻元　“バウンダリー”とは？

高橋　自分と他者を区別する境界線のことです。親子関係において「私とあなたは別人格で、あなたの存在や考え方を大切に思っているよ」ということを親が伝えていく。自分は尊重されているという意識の積み重ねが、将来、パートナーにきちんと“性的同意”を取ることにつながります。わが子を“加害者”にしないためにも、大事なことだと思います。

ジェンダー教育も大切。まずは親がネガティブな価値観を植えつけない

辻元　もうひとつ気になることが。以前、息子がかわいいドレスなどを着たがる時期があり、あれ？と思ったことがあったんです。何度か好きなように着させたら、満足したみたいなのですが。

Mai︐s性教育悩み

女装やメイクが好きだった時期が

「長男はハロウィンなどでかわいいドレスを着たがり、スカートを着てリボンをつけて学校に通っていたことも。先生も友達も受け入れてくれて『かわいいね』とたくさん言ってもらい満足したのか、最近はなくなりました」（辻元さん）

高橋　本人がやりたいようにやらせてあげたのはすごくいいですね。こういった言動があったら、決して否定しないでください。否定されるともう親には相談できず、子どもが苦しむことに。年齢を重ねて必要ならば、学校の男女分けや制服について先生に相談したり、同じようにLGBTQに悩む子どもたちと出会える当事者グループのような場を探してあげてほしいですね。

辻元　ジェンダーやLGBTQについても、子どもにはぜひ伝えていきたいですよね。

高橋　そのとおりです。テレビなどで男性同士のカップルが出てきたときにネガティブな発言をしないなど、偏った価値観を植えつけないように親が意識したいですね。ジェンダーの多様性を受け入れることも性教育のひとつなので、親もしっかり学んでいきましょう。

辻元　今日は本当に勉強になりました！　息子とは異性だからと引かずに、本などにも頼りながら、まずは母親の私が少しずつ教えていけばいいんだと勇気が出ました。ありがとうございました！