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親友なんて安い!と語る2人に教わる、人付き合いとは。YOUさん藤井隆さんインタビュー【映画 きかんしゃトーマス めざせ! 夢のチャンピオンカップ】

2023.03.12

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これまでに作られたエピソードは500話以上、日本でも絵本になって45年以上、テレビ放送されてから30年以上の歴史を持つ大人気キャラクター、きかんしゃトーマスが映画になり公開されています。タイトルは、『映画 きかんしゃトーマス めざせ! 夢のチャンピオンカップ』

きかんしゃトーマスといえば、人形を使ったアニメーションの印象が強いと思いますが、3DCG(コンピュータグラフィックを使って立体的に描いたイラスト)を経て、12年ぶりにリニューアル。より滑らかで躍動感のあるアニメーションとキャラクターの豊かな表情、アクロバティックな動きが子どもたちを楽しませてくれる映画に仕上がっています。

本作に、声優として参加しているのがYOUさんと藤井隆さん。試写会後にインタビューを行い、本作に参加した思い、物語の魅力、「親友なんて安い!」という、お2人の関係性を語ってくれました。またLEE読者にお薦めしたい、人付き合いのアドバイスも。20年来の友人という、息の合った2人の掛け合いにも注目です。

左/藤井隆さん 大阪府出身。92年吉本新喜劇入団。同年初舞台。03年には『ナンダカンダ』で歌手デビューし、同年NHK紅白歌合戦に初出場するなど、芸人、タレント、俳優、歌手としてマルチな才能を発揮している。主な出演作は、『マイスモールランド』(22)、みをつくし料理帖』(20)、大河ドラマ『真田丸』(16・NHK)、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(16・TBS)など。22年4月からは『新婚さんいらっしゃい!』(ABC)の2代目司会者に就任。

右/YOUさん 東京都生まれ。1988年「FAIRCHILD」のボーカルとしてデビュー 。バンド解散後TVバラエティーを中心に活動 。『誰も知らない』(是枝裕和監督/04年)にて第78回キネマ旬報助演女優賞を受賞 。その後、主に『THE 有頂天ホテル』(三谷幸喜監督/06年)『歩いても歩いても』(是枝裕和監督/08年)『走れ!T校バスケット部』(古澤健監督/19年)などの映画に出演。最近のTVバラエティーでは読売テレビ系「土曜はダメよ!」(関西ローカル)、関西テレビ系「セブンルール」などにレギュラー出演している。「洋画」の吹き替えは初、「friends もののけ島のナキ」(11)以来12年ぶりにアニメ映画の声優を務める。

アニメーションだからこそ実現した双子の列車役。トーマスのライバル的存在

――本作では、トーマスシリーズ初登場の新キャラクターがたくさん出てきます。その中でも、スペインからやってきた双子の高速列車ファローナとフレデリコ役をYOUさんと藤井隆さんが担当しています。

藤井 「今回のお話は、トーマスが超特急カナとソドー島のレースに出るのですが、そのライバル役として登場するのがファローナとフレデリコです。トーマスたちをたきつける役ということで刺激的な言葉が多かったので、セリフを言うのが楽しかったです。収録は2人別だったのですが、映画の中でYOUさんと双子になれると想像したら、とてもワクワクしましたね」

YOU 「先に(藤井)隆の声が入った形で収録したので、安心して出来ました。ファローナはカナを威圧するような役なのですが、ふだんあまり人を威圧するようなことがないんですけど……あ、してましたね(笑)。ふだん通りにやれました」

藤井 「それは冗談ですけど(笑)これまで長く、いろいろな国で愛されてきた作品に呼んでいただけることが本当に光栄でした。しかもYOUさんと双子役は、実際の映像では絶対できないアニメのアテレコだからこそ実現できたこと。本当に嬉しかったです」

 

――別で収録したとは思えないほど、息の合ったコンビでした。新しいキャラクターということで、声で演じる上で気を付けていたことはありますか。ファローナはいい意味でYOUさんらしくもあり、しっとりした大人の女性の雰囲気も感じました。

YOU「声出しの時から、“かわいらしい”というより、少し高圧的なお姉さんっぽい雰囲気だとスタッフの方がおっしゃっていて。子どもの純粋な心に、しっとりした女の余韻を残してしまいましたね(笑)」

藤井「ファローナは骨格が美人ですもんね。トーマスたちはあくまで列車で、動物でも人間でもない。金属が人格を持っているというのを認識しながら話すということをスタッフの方から教わり、なるほどと思いました。あと、セリフのセンテンスの場所が本国と違っていて、そこにも気を付けながら進めました。スタッフの方はトーマスの制作に関わって何十年という方ばかり、優しくレクチャーしてくださったので楽しくアテレコできました」

仕事でもっと結果を残したい、喜ばれたい。ライバルは自分の中にある

――トーマスと超特急のカナは、ファローナとフレデリコというライバルの存在によって、レースに集中していきます。お2人は、人生にライバルの存在は必要だと思いますか。また、ライバルだと思っている相手はいますか。

藤井 「ライバルとはちょっと違うかもしれませんが、お笑いのコンビやトリオの方、音楽のバンドやグループの人もそうですが、一つの名前を何人かで担当している人たちへの憧れはずっとありますね。吉本新喜劇で劇団員としてやらせてもらっている時は居心地がいいんですけど、1人で仕事をする時も多い。すぐそばで支え合える存在がいるというのは羨ましいですよね。

ライバルという言葉をそのまま受け止めるとしたら、それは自分の中にいると思います。前の仕事より少しでもいい仕事をしよう、お世話になった方やスタッフの方に、この間よりいいねって言われたい。これはピンで仕事をしている人の定めだと思いますが、いつもそんな気持ちで仕事しています」

YOU「実際にライバルがいたとしたら、何かやり返す?」

藤井「その恐れがありますね(笑)。だから実際にいないのがいいですね」

YOU「私たちのお仕事は、おのおののカラーがあってお仕事する現場なんですよね。私は、若い音声さんが両手で重たいマイクをグッと持っている姿を見て“自分もちゃんとしなきゃ”と教わります。あと、お仕事をご一緒する先輩方からも素晴らしいところを全部盗もうと思っています」

藤井「2人とも同じような答えになってしまうのですが、映画に出てくるカナみたいな、負けないわ!って感じにはならないんですよね。だからライバルにならないと言うか。だけど、カナみたいな真っ直ぐさとか、素直さは羨ましいと思います」

YOU「そうですね、あえてライバルを言うとしたら、カイリー・ミノーグかな」

藤井「(笑)それでお願いします!」

初めて観た映画は子どもの心の中に刻まれる。だから◯◯に気をつけて

――本作が初めて観る映画になる親子やお子さんも多いと思います。ぜひ皆さんにメッセージをお願いします。

藤井「今日の試写会イベントでも“初めて映画を見る人は?”と聞くと、手を上げてくれる子がたくさんいて胸がいっぱいになりました。自分が初めて観た映画もやっぱり覚えているので、そういう映画に関われたことが本当に幸せでした」

YOU「ちなみに、最初に観た映画は?」

藤井「『春琴抄』です」

YOU「山口百恵さんと三浦友和さんの素晴らしい作品ですね」

藤井「YOUさんは?」

YOU「『小さな恋のメロディ』です。3回観に行きました、年長か小1の時ですね」

藤井「おっしゃれ~! それは自分で選んだのですか?」

YOU「そうです。だから初恋の相手がマーク・レスターだし、ライバルはトレーシー・ハイドですね」

藤井「質問に戻しますが(笑)最初に映画を観るお子さんたちにメッセージをお願いします」

YOU「そうでした(笑)。子どもが初めて観た映画って、一生忘れないんですよね。今26歳になる息子と初めて映画を見に行った時のことですが、いまだに息子から“あの時、寝てたよね?”って、言われるんです(笑)。親は忙しくてクタクタの中、土日にお子さんを映画に連れていくわけですから、どこかで“1時間半は寝られるかも”とか思うかもしれない。だけど子どもはずっと覚えていますから、そこをちょっと注意してほしいですね。そんな思いを込めて、私の体験談を伝えておきます」



多い時は月6回、家族よりも多く会う関係。話題は近況報告から答え合わせまで

――20年来の友人というYOUさんと藤井さんは、互いを「叔母」「おい」という存在だと認めてらっしゃるそうですが。

藤井 「僕は実の兄もいるんですが、兄弟は近い存在だからという甘えもあるのか、心にもない事を言ってしまったり、相手を傷つけて後悔してしまったこともある。だけど、叔母なら気を遣って言わないこともあるし、何でも相談しています」

YOU 「やっぱり近すぎると余計なことも言い過ぎちゃう。女同士でも男同士でもなく、他にはない関係だと思うので、“叔母”“おい”が一番しっくりきます」

――付き合いが長いと、疎遠になったりする時期もあると思いますが、そういった時期はありましたか。

藤井「それが本当に恵まれているんですけど、大阪での収録仕事が月に2回あり、それでお会いしてるんです。しかも23年間。親戚でもそんなに会えるってあまりないと思います。その番組が7年目に突入した時に、“小学校を超えたね”なんて驚いてたんですよ。振り返ってみると23年間も続いていることがすごいな、と。番組にも、皆さんにも感謝しかないです」

YOU 「そうなんですよ。私は20歳で家を出たので、正直父や母よりよく会っています。収録以外にも、ご飯に一緒に行ったり、ね」

藤井「別の番組でご一緒することもありますから月6回会ってることもあります。カラオケ、レジャーも一緒に行きますから」

――その頻度は多いですね! 普段はどんな会話で盛り上がっていますか。

YOU「隆は舞台の現場、役者の現場、バラエティーの現場もあるから、会う時は報告会ですね。こんなことあったんだけど、とか、これってこういうことかな? と答え合わせみたいな感じで。1週間2週間会わないと、結構ネタが溜まってきちゃう。ちなみに大阪の仕事では、楽屋が同じなんですよ。隆の部屋に私がいます」

藤井「東野(幸治)さんもびっくりしてましたね、“なんやこの楽屋!”って。YOUさんは、僕が参加したほとんどの舞台を観てくださっています。音楽のアルバムで詞を書いてくださったり、コーラスで歌ってくれたり。いつもお世話になってるんです。そんな方は、マネージャーでもプロデューサーでもいません。僕のやってきた仕事のほとんどを見てくれていて、かつプライベートも知ってくれています」

その日その時の人との距離感を大切に。自分が快適かどうかを最優先に

――ある意味、家族以上に密な関係に見えて、“親友”とも言えるんじゃないかと思いましたが。

藤井「いや、親友はちょっと違うと思うんですよ」

YOU「親友なんて安い!安い気がします」

――なるほど、2人の距離感・関係性は、親友という枠では収まりきらないものだと分かりました。LEE世代の30代40代になると、育児や仕事を経て友人関係に変化が出てきます。少し距離のできる相手もいれば、逆に距離の縮まる友人もいたり。20年以上良い関係を続けているお2人に、上手な人付き合いの方法、ルールがあれば教わりたいです。

藤井「大人になると、家庭の時間もあるけど、どうしても仕事が中心に来ることが多いので、仕事での人間関係が自分の性格や考え方に影響されると思っています。この3年で、仕事場も仕事のやり方も大きく変わり、改めて自分の得意なこと、好きなことをやる素直さが大事だと再確認しました。一方で、映画に出てくるカナみたいな“私はやるわよ!”みたいな強気な姿勢の人を疎ましく面倒に思う人もいるかもしれないけど、そういう人がいると何かが動き出す。そういう人が必要な時もあると、改めて気づかせてもらえました」

YOU「私は、このトーマスのキャラクターたちみたいに素直にぶつかり合うみたいなことをしたことがないんですが、その日その時の距離感は大事なのかなと思います。ずっとべったり近い距離がいいとも限らない。距離感の取り方が分かると物事がスムーズに進むと思います」

――その日その時によって変わる、適度な距離感ですね。

YOU「全人類の10代20代30代は、まだつかめていないんですよね。40代後半になると、人との距離感とか、この人とどう付き合おうとか、本当にどうでも良くなるんです。だからそれまで頑張ってください。あなたも絶対にどうでも良くなりますから(笑)」

藤井「YOUさんは、ご自身が快適かどうかをすごく大事にされる方なんですよね。若い頃にそれをYOUさんに教えてもらったのが本当に良かったと思っていて。自分が快適じゃないと人に優しくできない。僕は外面(そとづら)がいいので、つい無理してしまう節があり、“それはだめだよ”と教えてくれたのがYOUさんでした。まずは“内面(うちづら)”をよく、自分を快適に」

YOU「私も先輩から教わったことなんです。まずは自分の快適を心がけるようにしてくださいね」

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『映画 きかんしゃトーマス めざせ!夢のチャンピオンカップ』

原作:「汽車のえほん」ウィルバート・オードリー 

監督:ジェイソン・グロー & キャンベル・ブライア 

脚本:ピーター・ガフニー 

声の出演:

トーマス/田中美海、パーシー/越乃 奏、カナ/大久保瑠美、ニア/古賀英里奈、ディーゼル/山藤桃子

ケンジ/⻄山宏太朗、ヒロ/酒井敬幸、ゴードン/武内駿輔、サンディー/山下七海、カーリー/土師亜文

ゲスト声優:ファローナ/ YOU、フレデリコ/藤井隆

2023 年 3 月 10 日(金)全国ロードショー

© 2023 Gullane(Thomas)Limited.

『映画 きかんしゃトーマス めざせ!夢のチャンピオンカップ』公式サイト

取材・文/武田由紀子 撮影/藤澤由加

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