【米倉涼子さんインタビュー】『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』繊細で濃密な役作りに迫ります!
2023.03.07
プロフェッショナルな役柄に圧倒的な説得力と魂を吹き込む俳優、米倉涼子さん。待望の新作で演じるのは、異国で亡くなった人を母国に運び、遺族がお別れをする手伝いをする遺体搬送の専門家。米倉さんがどう準備し、演じたのか。その繊細で濃密な役作りに迫ります!
LEEweb連載『金原由佳さんのエンパワメント映画館』でも、米倉涼子さんのさらなる深掘りインタビューをお読みいただけます。アザーカットも多数!
Profile
よねくら・りょうこ●1975年8月1日生まれ。1993年よりモデルとして活動し、1999年に俳優へ転向。2004年、ドラマ『松本清張 黒革の手帖』での演技が話題に。2012年、ミュージカル『CHICAGO』でブロードウェイデビューを果たし、ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』も大ヒット。シリーズ化され高視聴率を記録。
Instagram:ryoko_yonekura_0801
公式サイト:https://desafio-net.jp/
丁寧なプロセスを積んでのお別れがいかに大切なのか、とてもよくわかりました
「プロフェッショナルな人を見るのも、演じるのも好き」
型破りなスペシャリスト。米倉涼子さんにはそういう役がなんと似合うことか。外科医、刑事、新聞記者など世間に知られる分野のみならず、米倉さんが演じたヒロインを通して、国税局査察官という特殊な仕事内容を初めて知ったという人も少なくないはず。
「自分が普段から見るドラマや映画でも、実際の出来事を基にした作品が多いですね。私、プロフェッショナルな人を見るのも、演じるのも好きです」
その米倉さんが3月17日より、世界配信されるAmazon Originalドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で演じた役も、知られざる専門職を題材にする。第10回開高健ノンフィクション賞を受賞した佐々涼子の『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)のドラマ化で、海外で亡くなったご遺体を母国に搬送し、生前の姿に限りなく近く修復した状態でご遺族のもとへと返す国際霊柩送還士という職業の女性を演じたのだ。
「実際にモデルになる方がいらして、撮影前に会わせていただいたんですけど、面倒見がよくて温かくて責任感の強い、まさに姉御という方でした。ご自身は離婚され、子ども二人を抱え、葬儀会社でアルバイトから始めたところ、ご遺族の気持ちを察知する能力に長けているところから最終的には、独立して社長にまでなった方。
私にも撮影中、『弁当ばかりじゃ野菜が足りないでしょう』と玉ねぎスープを作って持ってきてくださったり、暑い日はそうめんの差し入れを頂いたり。そういうお人柄を演技に取り入れました」
ちなみに第一話では、会社の創業記念パーティで米倉さん演じる那美が『極道の妻たち』の岩下志麻さんばりの迫力の着物姿を披露するが、あれは誇張ではないそう。
「本当の写真を見るともっと派手でした(笑)。あれでも随分と抑えているんですよ」
リサーチで感じたグリーフケアの重要性
ドラマでは松本穂香さん演じる新人社員の目を通し、那美率いるエンジェルハース(劇中の会社名)の社員たちの心のこもった“故人とご遺族”への対応が描かれていく。強面(こわもて)の共同経営者を演じるのは遠藤憲一さん。各話で不慮の事故や凶悪なテロなどさまざまなシチュエーションが描かれる中、悲しみに沈む遺族に寄り添う国際霊柩送還士の多岐にわたる仕事の濃密さに驚かされる構成となっている。
「国によって違う宗教の戒律や法律を知らなくてはご遺体の搬送に許可が下りないし、手続きも複雑で、単に海外からご遺体を日本に運ぶということだけじゃないんですよね。私がリサーチで感じたのは、グリーフケアの重要性でした。実際、国際霊柩送還士の方は亡くなられた方の意思や今まで生きてきた意味を、ものを言えなくなったご本人から引き継いで、ご遺族に伝え、彼らが新しいスタートを切れるようなお手伝いをされているんです。
演じる前は人の生死に向き合うことに不安を感じたこともあったんです。でも、撮影前に実際のお仕事の話を伺って、丁寧なプロセスを積んでのお別れがいかに大切なのか、とてもよくわかりました」
ところが、那美自身は、大切な人(向井理)と最後のお別れができていないという後悔を抱えている。回想シーンでは恋人役の向井さんに甘える場面があり、これまでの米倉さんとは違う弱い部分ややわらかい顔も見ることができる。もっとも、その話になると「私のああいう場面って大丈夫ですか? ラブシーンってほどじゃないけど本当に苦手! やっぱり私は体を張って、頑張っている姿を演じるほうが好きです」と大きな声を出して笑う。
今作の第一話ではフィリピンのスラム街で命を落とした若い日本人男性の話が展開する。撮影も現地で行われ、渡航前にはドキュメンタリー番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート』を見て、困難な状況下で生きる人の食事情についてリサーチし、考えさせられたともいう。
「私自身まだ気づいていないメッセージ性が多々あるドラマだと思います。人生というボトルに何の色を入れて生きるのか、この作品を通してものの見方が変わるのではないでしょうか」
Drama
Amazon Original
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』
国境を乗り越え、遺体とともに故人の想いを母国で待つ遺族のもとへ送り届けるプロフェッショナルたちの物語。女性社長の米倉涼子、新人社員の松本穂香をはじめ、個性豊かな登場人物の専門性に唸る内容。キャスト:米倉涼子、松本穂香ほか。脚本:古沢良太 香坂隆史
Book
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』
▼アザーカットも多数!金原由佳さんの「エンパワメント映画館」
米倉涼子さん「知られざるプロフェッショナルを演じて思う責務とプライド」【 ドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還』主演インタビュー】
撮影/菅原有希子 ヘア&メイク/奥原清一 スタイリスト/大沼こずえ ネイル/菅 実加子 取材・原文/金原由佳
こちらは2023年LEE4月号(3/7発売)「LEE SPECIAL INTERVIEW 米倉涼子さん「人生というボトルに何色を入れて生きるのか」」に掲載の記事です。
LIFEの新着記事
-
0.6斤の食べ切りサイズがいい! 驚くほど小さな「コンパクトベーカリー」が登場です
2024.09.20
-
大谷翔平選手の想いが込められた、子どもが楽しく野球体験できるニューバランスのイベント「New Balance Kids Ballpark」が期間限定開催! 【2024年9月21日(土)〜9月23日(月・祝) 都立明治公園】
2024.09.20
-
こんなの欲しかった!【エナシス U】私たちに”ちょうどいい“ 電動アシスト自転車
2024.09.20
-
「12closet」の紺ジレを購入!LEE10月号が暮らしやおしゃれの参考になります♪…【読者10人分・最新号レビューvol.2・2024】
2024.09.20
-
【菅野美穂さんインタビュー】40代になっておしゃれと美容法は変わりましたか?
2024.09.20
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。