交通事故の中で、自転車事故は約2割
改正道路交通法の施行により、2023年4月1日から自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化されます。
現状の道路交通法では「保護者は、13歳未満の子供にヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない」となっていますが、4月からは大人も着用対象になります。東京都の条例では、自転車を利用する高齢者に対して家族がヘルメット着用を助言するよう努めなければならない、ともされています。
今回の道路交通法改正の背景にあるのは、やはり自転車事故の増加でしょう。
日本損害保険協会によると、ここ数年の交通事故件数に占める自転車事故件数の割合は約2割程度と高い水準のまま。
自転車事故による死傷者数は、未成年者と高齢者とで過半数を占めており、今後は高齢者の被害がさらに増えていくのではないでしょうか。
警視庁によれば、自転車事故で死亡した人の約7割が頭部に致命傷を負っており、ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用している場合と比べ約2.3倍も高くなっているとか。
被害を深刻にしないためにも、自転車乗車中はヘルメットを着用し、頭部を守ることが欠かせないのですね。「ちょっと近所に行くだけだから」という意識を変える必要がありそうです。
相手にケガをさせて、加害者になってしまうことも
自転車の事故は自分が被害を受けるだけではありません。自転車に乗っていた子供が相手に重いケガを負わせてしまうこともあり得ます。
自転車事故を起こして相手に命に係わる重傷を負わせた場合、約一億円近い賠償金の判決が出た事例もあります。
私自身も走ってきた自転車に追突されかけた経験がありますが、向こうはかなりスピードを出しており、かすっただけでもケガしかねないと実感しました。
このように、自分がケガを負った時だけでなく相手にケガをさせたときの損害賠償責任を保障するため、多くの自治体が自転車保険の加入を義務化しています。
単独の自転車保険に加入する以外にも、自動車保険や火災保険に家族も対象となる「個人賠償責任補償特約」が付与されている場合があるので、保険内容を確認しましょう。できれば補償額が無制限、示談交渉特約がついていると安心です。
ただし、車を手放して自動車保険も解約してしまうと、この補償もなくなってしまうことに。
新生活シーズンは暮らしの環境が変わるため保険を見直すタイミングでもありますが、見直し後も必要な補償が確保されているか注意しましょう。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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