今注目の「水平リサイクル」とは?
「SDGs」の考え方が浸透してきた昨今。
私たちに最も身近なテーマのひとつが、目標12「つくる責任 つかう責任」に該当するリサイクル。分別や資源回収など、すでに取り組んでいるよ!というご家庭も多いですよね。
わが家でも、缶・ビン・ペットボトルを地域の分別ルールに従って出すなど、微力ながらも行動を続けています。
そんな中、飲料メーカー・サントリーさんから、近年注目されているという「水平リサイクル」について教わる機会が。私は初耳だったこの言葉、皆さまはご存じでしょうか?
子どもと一緒にリサイクル工場のオンライン見学も体験し、楽しく学んだ内容をシェアさせていただきます。
長期休みの自由研究ネタにもぴったりなので、ぜひ今後の参考にしてみてください!
資源を何度もリサイクルできる最新技術
「水平リサイクル」とは、使用済みの製品が再び同じものに生まれ変わるリサイクルのこと。
従来のリサイクルでは、例えばペットボトルは卵パック・衣類などに姿を変え、最終的には熱エネルギーとなって再利用は終了。
しかし水平リサイクルは、ずっと同じものにリサイクルし続けるため、理論上、資源を何度も循環利用することが可能。新たな資源の投入を抑えたり、二酸化炭素の排出を大幅に減らしたりすることが叶います。
これに多くの企業が注目し、例えばユニクロは、国内で回収したダウン商品を再生・再利用したリサイクルダウンジャケットを発売。
サントリーは使用済みペットボトルを新しいペットボトルに再生、ユニ・チャームは使用済みの紙おむつを回収し、新たなおむつに再生する取り組みをスタートさせるなど、さまざまな業界で活発化しているそう。
今回はペットボトルの水平リサイクルについて学ぶため、サントリーグループのリサイクル工場見学に、4歳の息子と一緒にオンラインで参加しました!
ペットボトルが「水平リサイクル」されるまでを見てみよう!
見学したのは、埼玉県さいたま市にある「リサイクル・プラザJB」。
サントリーグループが管理する自動販売機の横に置かれているリサイクルボックスで回収された缶・ビン・ペットボトルを、再利用可能な資源へと生まれ変わらせる施設です。
回収した空き容器(1日約20トン!)は、まず「破袋機(はたいき)」とよばれる機械でビニール袋から出し、「異物除去ライン」へ運ばれます。
ここでは、異物を取り除く作業が人の手で行われています。この日は、中にゴミを詰めた空き容器や、マスク、カイロ、ドリンクの紙カップ、ブランケットまでが紛れていました…。異物はなんと全体の30%をも占めるそうで、かなりの負担。“本来のモノ以外は捨てない” ことが大前提ですね。
異物を除いた缶・ビン・ペットボトルは、2階に運ばれ、機械でそれぞれ選別。
缶は磁石を使ってスチールとアルミに。ビン・ペットボトルは「フライトスクリーン」とよばれる機械で、風の力を利用して分別されます。
風で飛ばされたペットボトルは「ペットボトル専用ライン」へ。ここでも、紛れた異物を人の手で除けていきます。最後まで続く異物との戦い…。
一方、重くて飛ばなかったものは「手選別ライン」へ。本来はビンが流れてきて色別に分けるための場所ですが、飲み残しのあるペットボトルも、重いためこちらに流れてきてしまいます。これもペットボトルへのリサイクルができないので、“中身は必ず飲み切る” ことも大切ですね。
自販機横のボックスに入れたペットボトル、キャップとラベルはどうなる?
そして次が、ペットボトルの最後の工程。「ペットボトル減容機」で押しつぶされ、ベール品とよばれる固まりに。この状態で次のリサイクル工場へと運ばれていき、新しいペットボトルに生まれ変わります。
ちなみに、こちらは自動販売機横のリサイクルボックスから運ばれてくる工場なので、キャップとラベルは付いたままの状態。次の工場で取り除かれるというのですが…そう、これは私がしばしば疑問に思っていたこと。
「街の回収ボックスに入れる時、キャップとラベルは付けたままだけれど大丈夫なのかな?どうやって取るんだろう」と気になっていたんです。
その仕組みは、機械でペットボトルを細かくカットし水の中で振ると、キャップとラベルだけが浮かび、ペットボトル本体が沈むというもの。
ここからペットボトルを取り出し、乾燥・溶かす・殺菌するなどの工程を経て、再びペットボトルとして私たちの元へやってきます。
しかし、水で分別する工程にもたくさんのエネルギーと水が必要。また、キャップがついていると容器を潰せなくなり、一度に多くを運べないので余分な運搬エネルギーも必要になります。そのため自宅ではもちろん、外出先でリサイクルボックスに入れる時も、可能な範囲でキャップとラベルを取ってもらえるととても助かる、とのお話でした。
こちらの工場では、現在ペットボトルは100%ペットボトルへの水平リサイクルを目指しているとのこと。資源を何度も循環できる画期的な技術、今後ますます普及していってほしいですね。
小学生の自由研究にぴったり!4歳でも楽しめました
オンライン見学は約1時間で終了。小学生対象のため、4歳の息子にはまだ早いよな~と思いながらの参加でしたが、大きくて珍しい機械に興味をもったり、途中で出てくるクイズに答えたりしながら、意外にも楽しめていたようです。
飲み残しをしないよう教わった時には「パパにも言っておく!」と語り、夜帰宅したパパに「ペットボトルの中身は最後まで飲むんだよ!!」と熱弁していました(笑)
見学はもちろん無料で、予約はHPの専用フォームから。夏休み時期は特に人気で、昨年は256名の参加があったそう。他にもクラス単位で申し込み、授業で見るというケースも多いそうですよ。
コロナ禍以降はオンラインのみの実施ですが、今夏は現地見学の再開も検討中とのことなので、詳細は時期が近付いたらHPをチェックしてみてください。(ちなみに現地見学だと、アルミ缶2個を持参することになっています。ユニークな入場料ですよね!)
手軽で便利なペットボトル。正しく扱って地球の資源を守ろう
普段、何気なく扱っている空き容器の再生工程を目にする貴重な機会となった今回。「水平リサイクル」について知れただけでなく、子どもと一緒にリサイクル意識を高める良いきっかけにもなりました。
工場の方からは「今はマイボトルを愛用する人も多いと思いますが、ペットボトルを使うことも、飲み残しをせず分別してリサイクルに回せば何の問題もありません。飲み終わったら回収ボックスに入れれば、容器を持ち歩かなくていいなどのメリットもありますし、上手く使い分けてほしいですね」とのお話もありました。
どこでも手に入れられて、気軽に飲めるペットボトル。その便利さをうまく享受しながら、正しく付き合っていきたいものです。
最後に改めて、私たちがペットボトルをリサイクルする際に気を付けること。
・異物を混ぜず、正しく分別する
・飲み残しをしない
・ラベル、キャップをはずす
当たり前のことを守るだけで、リサイクルがスムーズに進み、地球の大切な資源を守ることに繋がります。
一人ひとりの小さなアクションも、みんなで続ければ大きな成果に。ぜひ改めて意識してもらえたら嬉しいです!
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福島綾香 Ayaka Fukushima
ライター
宮城県仙台市出身。夫、息子(2018年9月生まれ)と3人暮らし。これまでフリーペーパー、旅行情報誌などの編集を経験。趣味は食べること、旅行、読書、Jリーグ観戦。