出産費用の増加に伴い、一時金も増額
新年度になり、私たちの暮らしに関わる制度の新設や見直しが行われました。
その中には子育て世代が気になるニュースも。一つは出産一時金の引き上げです。
出産一時金とは、妊娠4ヵ月(85日)以上の人が出産したとき、その経済的負担を軽減するため支給されるお金。公的健康保険の被保険者あるいはその配偶者が対象となります。
一時金の金額は度々見直され、平成21年10月からは原則42万円に。
しかし、厚生労働省によると出産費用は年間平均1%程度で上昇しているといい、特に東京都の公的病院では55万円超えとも(令和2年度の平均)。全国平均でも47万円ほどに上がっているといいます。
これまでの一時金では不足するとの考えから、2023年度から50万円に引き上げられました。
2022年4月からは不妊治療が保険適用となり、経済的な負担の大きさから治療をあきらめていたカップルの後押しをすることにもなりました。
児童手当の拡充も議論に上がっているようで、少子化対策のためにできることをどんどんやろうという意気込みは感じます。
お金の支援も大事だが、見えない精神的負担も
しかし、子どもの数はなかなか増えていかないのが現状です。
経済的な理由だけでなく、そもそも出産可能な女性の人口が減っているため、今から劇的な回復は難しいとも言われます。
また、出産以前に結婚に至るカップルが増えていかないことには始まりません。国や自治体がわざわざお世話を焼いて婚活イベントを立ち上げるのは、わが町の子どもを増やしたいという思惑からなのですね。
しかし、独身の女性の立場では、結婚はしたいけど、仕事も家事も子育ても、将来は介護も全て背負うことになるのはちょっと…としり込みする気持ちもあるでしょう。
もちろん公的支援はありますが、まだまだ女性にかかる負担が大きいのは事実。お金の問題だけでもないのです。
かつて私が雑誌編集者だった頃に取材した主婦の皆さんは、料理にも家事にも手抜きをしない人ばかりに見えました。
でも、だんだん「実は料理が苦手で」「料理は好きだけど片付けが下手」という声も聞こえてきて、「主婦だって料理も家事も苦手という女性だっている。それは普通のことだ」と思うようになったのです。
とは言え、世間にはまだ「家庭のことをちゃんとやって当たり前」という幻想がありますよね。
そういう無言の重しを、私たち自身が少しずつでも取り外していくことも重要だと思っています。
【連載】 松崎のり子さんの「知らなきゃ損するお金の話」
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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