冷蔵庫は段や場所によって温度が異なり、役割も変わってきます。それぞれの食品ごとに適した場所に保存することで、おいしく長もち!
教えてくれたのは
食品ロス削減 アドバイザー・料理家
島本美由紀さん
身近な食材で手軽においしくできるレシピが得意。料理や家事の効率化をはじめ、食品ロス削減や防災クッキングなどにも詳しく、メディア出演や講演会など多方面で活躍。著書は80冊を超える。
食品ロスの多くは家庭から! 冷蔵庫の見直しから始めよう
最近はスーパーやコンビニ、飲食店でも食品ロス削減の取り組みが盛んですが、「実は食品ロスの全体量の約半分は、家庭から出ているんです」と、島本さん。
「家庭の食品ロスの3大要因は、①野菜の皮や種などの過剰除去、②食べ残し、③期限切れや腐敗による直接廃棄の3つ。特に②は、ここ最近の作り置きブームによって増えたと言われます。せっかく作り置きしたものの、保存がうまくできず傷ませてしまったり、味が落ちて食べたくなくなってしまった、ということが多いようです。
冷蔵庫の使い方を見直せば、野菜は新鮮なまま食べられる部分も増え、食品の迷子もなくなり、作り置きや未調理の食材もグッと長もち。そのためには冷蔵庫の中を『見える化』すること、食品ごとに適した保存方法を知ることがポイントです。
食品ロスが減ると、『捨てる』罪悪感から解放され、目的の食材や食品もすぐ見つかって家事効率もアップ。最後まで食べ切ることで家計の節約にもなる、といいことだらけ! できることから少しずつ、取り入れていきましょう」(島本美由紀さん)
食品ロス削減アドバイザーに聞く!
知ってるようで知らなかった
冷蔵庫の基本のキ
冷蔵室(上段)
長期保存可能なドリンク類など
下段より1~2℃温度が高く、奥まで手が届かず見えづらいので、頻繁に使う食品や生鮮ものはNG。長期保存できるものやドリンク類などを中心に。
冷蔵室(中・下段)
よく使うものや大きなものを
最も出し入れしやすい中段には、日常的によく使うものを。下段は一番温度が低いので、豆腐やもやしなど傷みが早いものを。鍋など大きなものの一時保管もここで。
ドアポケット
温度変化に強い調味料や飲料を
冷気が届きにくく、ドアの開閉による温度変化もあるため、冷蔵室全体と比べて温度が高め。調味料や飲み物など、温度変化に比較的強いものの保存に向いている。
チルド室
生鮮食品や発酵食品に最適
冷蔵庫より温度が低く扉で冷気も保たれるため、肉や魚などの生鮮食品に最適。低温のため熟成速度が遅くなるので、ヨーグルトやみそなど発酵食品の保管にも◎。
野菜室
野菜に適した温度で鮮度を保ちながら保管
上に重ねて入れると下の野菜がつぶれ、傷みを早めることに。特に葉もの野菜は立てておくとつぶれず、見えやすいため使い忘れも防止。満杯にせず7割収納を目安に。
冷凍室
新鮮なまま冷凍して保存期間を延ばす
冷凍食品や冷凍した食材のほか、塩分の強い調味料などの保管にも最適。上に重ねていくと下が見えず、使い忘れやすいので、立てて収納するのを基本にしたい。
冷蔵庫に入れる前からできる
食品ロス対策
日々の買い物から始まるロス対策! 上手な買い方のコツを覚えたい。
1.買い物前に中身を撮影
冷蔵庫の中に何があるか把握しておけば、ダブり買いの予防に。また、あるもので献立を考えるなど食材も有効活用できる。買い物に行く前に、スマホで冷蔵庫の中を撮影しておくとラク。
2.まとめ買いより週に2、3回
毎日スーパーに行くのはムダ買いのもと。一方で1週間分まとめ買いも、必要以上に買ってロスを出しがち。ベストな頻度は2~4日に1度、週2~3回程度。空腹時を避けての買い物も効果的。
3.お得サイズよりも使い切れるサイズで
割安、と大きなサイズの調味料を買うと、結局使い切れないことも。多少割高に感じても、小さなサイズにしたほうがおいしいうちに使い切ることができ、結果的にはお得になる可能性大!
column
数字でみる日本の食品ロス事情
例えば、横浜市の家庭の食品ロスは年間8万6千トン(令和3年調査)……これは1人当たり換算するとおにぎりが年間で約230個分に。お金に換算すると約1万8千円。食品ロスを減らすことは、環境にも家計にもいい影響が。
次回は、「冷蔵庫の見える化&保存術で食品をもう捨てない!」をお届けします。
撮影/名和真紀子 イラストレーション/朝倉千夏 取材・原文/遊佐信子
こちらは2023年LEE1・2月合併号(12/7発売)『食品ロスが減る「冷蔵庫」革命!』に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(2022年12/7発売LEE1・2月合併号現在)です。
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