『チケット・トゥ・パラダイス』
大スターが元夫婦役で競演のロマンティック・コメディ
華もあれば実力も一流。ともにオスカー俳優のハリウッドスター、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが元夫婦役で競演のロマコメと聞けば、それだけで興奮してしまう。2人が繰り広げる丁々発止とほのかなロマンスの香り、巣立ちゆく娘への愛情など、いろんなお楽しみと感動が詰まった、何ともゴキゲンな一作だ。
25年前に大恋愛の末に結婚し、娘を授かるも5年で離婚。娘への愛情を競うようにマウントを取り合うデヴィッドとジョージアは、今やすっかり犬猿の仲。とはいえ娘のリリーは愛情を一身に受けすくすく育ち、司法試験に合格。弁護士事務所への就職も決め、親友と卒業旅行のバリへ旅立つ。ところがしばらくして娘から、“バリの青年と恋に落ちた。結婚したい”と連絡が入る。大慌ての2人は“結婚反対”と珍しく意見が一致、結婚を阻止すべくバリへと向かう。
もはや百戦錬磨の職人技! 冒頭から元夫婦のテンポ抜群のディスり合いに何度も噴き出してしまう。機内で“頭ごなしに反対せず阻止”作戦を立てるも、バリに降り立ってみれば、そこは思わず心がゆるむほどの気持ちいい場所! しかも未来の婿・グデは優しくてハンサムで誠実そう。両親や親戚も礼儀正しく親切で、好きにならずにいられないのがまた憎い。グデに対して張り合うデヴィッドの男の沽券が、なんともおかしくて可愛い。とはいえ親からすれば、異文化の土地へと移住する超スピード婚にはやっぱり反対。それもわかる! ところが作戦がバレ、娘からの信頼を失いーー。
片や元妻を忘れ切れない感情に気づき、片や今カレより元夫との相性のよさを痛感するが、互いに大人かつ元夫婦という照れやとまどいがくすぐったい。一方、娘は独立した大人だと認める子離れの寂しさや痛み、幸せを願う愛情に涙が込み上がる。バリの美しくエキゾチックな魅力にも恋すること必至! 誰もが心から望む人生を送りたい。できれば本当に愛する人と。本作はすべての世代の背中を押す、晴れやかなエールに満ちている!
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『窓辺にて』
稲垣吾郎主演×『愛がなんだ』の今泉力哉監督
フリーライターの市川(稲垣)は、編集者の妻(中村ゆり)が新進作家と浮気していることを知っているが、言い出せないばかりか、嫉妬も怒りも感じない不可解さを飲み下せずにいた。そんな折、文学賞受賞の高校生作家(玉城ティナ)と知り合い、彼女の小説のモデルとなった人物に会うことになる。“感情や愛”という正解のないもの、そのどうしようもなさ、ままならなさをユーモラスに追究。どこか浮遊しつつ不思議なリアリティをもたらす、稲垣がいい。
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『パラレル・マザーズ』
スペインの鬼才、巨匠ペドロ・アルモドバル監督作
写真家のジャニス(ペネロペ・クルス)は産科病棟で17歳のアナと知り合い、同日に出産。娘に愛情を注ぎ育てるが恋人から自分の子とは思えないと言われ、鑑定の結果実子でないと判明する。アナの娘との取り違えを疑いつつ、すでに芽生えた娘への愛から結果を封印。しかし1年後、再会したアナから、突然死症候群で娘が亡くなったと聞かされ――。すべての瞬間“あなたならどうする!?”と突きつけられる、スリリングで強靭な“母性と愛”の物語。
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※公開につきましては、各作品の公式サイトをご参照ください。
取材・原文/折田千鶴子
こちらは2022年LEE12月号(11/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。
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