坂本さんが30代になってからの友達だというお三方が集うと、本当にいい雰囲気。出会いのきっかけや、大人になってから親しい友達関係を築くコツを聞きました。
おいしいものは分かち合って。今を一緒に生きていると実感
麻生要一郎さん(写真右)
料理家、文筆家。家庭的な味わいのケータリング弁当が好評。雑誌などへのレシピ提供や、食や暮らしまわりについての執筆活動を行う。著書に『僕の献立 本日もお疲れ様でした』『僕のいたわり飯』(ともに光文社)
Instagram:yoichiro_aso
Twitter:yoichiroaso
忙しいだろうなと思って、料理を作って待つことも(笑)
坂本美雨さん(写真中央)
ミュージシャン。音楽活動に加えて、執筆、ラジオパーソナリティとしても活躍。動物愛護活動をライフワークとし、愛猫がSNSなどで話題に。’15年に長女を出産。最新著書に『ただ、一緒に生きている』(光文社)
Instagram:miu_sakamoto
Twitter:miusakamoto
公式サイト:https://www.miuskmt.com/
好きなものを介して人生が見える。大人でも距離が縮まりやすい!
太田メグさん(写真左)
SUNDAY ISSUE代表。クリエイティブの力で猫の保護活動をサポートする「Cat’s ISSUE」ディレクター。フォロワー13万人超えのインスタグラムでは、猫のコムタンと8歳の息子の日常を発信
Instagram:megmilk5628
“猫”と“おいしいもの”が縁で親密なつながりに!
坂本 私とメグちゃんはもともと猫友達。メグちゃんのところにおもしろい猫がいると聞いて、興味を持って。
太田 うちの猫を“吸い”に来たんですよ!(笑) たくさんの大人がいる中で床に寝そべって、猫をなでまわしてギューッとして。こんなふうに愛情表現するんだ、と衝撃でした。美雨ちゃんを尊敬したし、とてもチャーミングですぐに大好きな人に。それが約10年前、お互いに30歳ぐらいの頃です。
坂本 当時は独身で、ひとり暮らしで猫を育てる不安もあって。同じような境遇の人たち5〜6人で“猫親戚”という集まりに。鍵を預け合って出張のときは猫のお世話をしたり、体調のことなど相談し合ってたんだよね。
太田 いつ家に入ってもらっても大丈夫と心のドアもオープンになるから、自然と部屋がぐちゃぐちゃでも気にしないほど、親密な付き合いに。
麻生 すごくいい関係だね。
坂本 最近も、メグちゃんが忙しそうなときは、留守中に家に上がって、料理をして待っていることも(笑)。冷蔵庫に買ってきた食材をわんさか入れて。
太田 帰ったら美雨ちゃんがいて、お味噌汁が作ってある。うそでしょ!?と(笑)。子育て中は孤独になりがち。私も隣近所まで身内みたいな昭和な家族で育ったから、ぐいぐい来てくれる美雨ちゃんの存在はありがたい。
坂本 要一郎さんとの出会いは、要一郎さんのパートナーと私が、もともと知り合いだったんだよね。紹介してもらったのが5〜6年前かな。
麻生 美雨ちゃんがごはんを食べに来てくれて、時間が合えばお茶したり、お裾分けをしたり。もっと昔から知っているような気もするね。
太田 私は美雨ちゃんの少し後、共通の友達と会うときに、要一郎さんがお弁当を持ってきてくれて。あまりのおいしさに感動。
麻生 3人で初めて会ったのはいつか忘れちゃったぐらい、自然と仲間内にいる、という感じだったよね。
坂本 時には、タッパーになみなみと入ったにんじんスープを持たせてくれたり。おいしいものをすぐに分かち合える距離感で仲よくできていて。
麻生 2人とも忙しいから心配で。数日でもラクできたらいいなと思って、いろいろあげたくなっちゃうんです。
太田 すごく助けてもらってます。ほかにも、家族の誕生日をお祝いし合ったり、仕事でイベントなどがあると顔を出したり。よく会ってる!
坂本 2人とも、私がインスタグラムなどでちょっとしたことをあげたときに「大丈夫?」とすぐに反応してくれる。異変に気づいてくれるんだよね。
太田 日々の生活を共有できているから、気軽に声をかけやすい。私は、親友はささいな悩みごとでもすぐ話せる心理的な近さにいると安心だし、心地いいなと思うんだよね。最近は離れていてもSNSでそれができる。
麻生 今を一緒に生きている感じがすごくするよね。僕は、2人のパワフルさを応援したいし、子どもたちの成長が僕にとっても大きな喜び。
坂本 もちろん、学生時代の同級生のように思い出を分かち合える友達も大切だし、ある意味“逃げ場所”にもなるから、いろいろなカテゴリーの友達がいていいと思う。ただ、今は家族やパートナーぐるみで付き合える友達関係が、私たちにとっては心地いいのかなと思います。でも考えてみると、親しくなったのは30歳を過ぎてからなんだね。
太田 やっぱり、好きなことが同じだと、大人になってからでも友達になりやすい。私たちは、“猫”と“おいしいもの”でつながったと思います。
坂本 確かに。“猫親戚”のメンバー同士で猫の病院に付き添ったり、猫が亡くなったときに気遣ったりする中で、その人の死生観や命に対する向き合い方がわかって。すごく深い付き合いになったんだよね。ただ好きなことが同じというだけでなく、好きなことを通して、その人の人生が見える。要一郎さんの猫は、最近まで同じ部屋に住んでいなかったんだよね。
麻生 人を癒してくれるケア上手な猫で、マンションの大家である老夫婦のところに出張していたんですよ。それ以前も、僕が宿を運営していた頃には、訪れるお客さんたちを見守って。
太田 猫のことを聞くと、要一郎さんのこれまでについても知ることができる。出会ってすぐ相手の人生を詮索するのは失礼かなと思うけど、好きなことを介してだと聞きやすいし、関係を築きやすいんじゃないかな。
麻生 好きなことが同じだと、年齢や境遇が全然違ったとしても、同じ言語で話せる感じはあるよね。
坂本 “推し活”はその代表例。私とメグちゃんはBTSが好きで、推し活グループが別にあって。今、要一郎さんを巻き込もうとしているところ(笑)。
活躍を心から応援し合う仲。時には愛あるアドバイスも!?
太田 みんな忙しいから3人で集まれないことも多いけど、美雨ちゃんと要一郎さんがランチした写真などをすぐに共有してくれるから「いいな〜おいしそう〜」と参加した気分になれる。
坂本 3人組で、2人が会うともう1人が疎外感を感じる……みたいなことは全然ないですね。
太田 職業も立場もバラバラだし、うらやましく思ったりもないよね。
麻生 むしろお互いの活躍が喜びでしかない! 美雨ちゃんのライブは必ず見に行きたいし、メグちゃんの作ったグッズが出たらすぐ欲しいし。
坂本 私はライブ中お客さんの顔を見ながら歌うので、2人を見つけると安心。率直な感想がすごく信頼できます。いいときはもちろん、メグちゃんは「これは美雨ちゃんには合わないと思う」みたいなアドバイスもくれる。
太田 偉そうなんだけどね(笑)。
坂本 私は好きなことや縁のある人にのめり込みがちなところがあって。私のよさってそこじゃないんじゃない?というところまで見て、タイミングをはかって言ってくれている気が。
太田 美雨ちゃんを通して、自分のことのように夢を見てるんですよね。ステージで素敵に歌っていると本当にうれしくて。美雨ちゃんがどうしたら無理なく幸せに歌えるか、勝手に妄想してるんです。
麻生 僕はヨシヨシ体質だから、2人が突っ走ってるなと思っても褒めたくなっちゃう。
太田 しんどいと美雨ちゃんも私も交互に要一郎さんのところに行って、ヨシヨシしてもらってるね(笑)。
坂本 例えばこれからいろいろなライフステージがあって、誰かが遠いところに引っ越すかもしれない。この2人となら、そういう変化を一緒に喜べたり、おもしろがれるんじゃないかなって。
太田 確かに、2人が活躍して、海外に行く機会などがあったら、私もついて行っちゃおうかなと(笑)。
麻生 お互いが本当に無理してないし、ダメな部分もさらけ出せる関係性だからそう思うのかもね。
坂本 友達って、自分の心に少しでも違和感があったら無理して付き合うことはないと思う。心が、魂が嫌だなと感じたら、休んだり離れたりしていい。会いたい人とだけ会って、好きな人と好きなことだけをしていると、本当に心を通わせられる友達に出会えるんじゃないかなと思います。
Memories
(上)忙しい中集まり、太田さんの誕生日をお祝い。坂本さんが“家族の団欒”と呼ぶほど、肩の力が抜けてリラックスできる時間だそう。ピザが評判のお店で、おいしいものも共有を。(下)坂本さんの著書の出版トークイベントに、太田さんと麻生さんが足を運んで合流。
坂本さんのSNSや著書でもおなじみの長女“なまこちゃん”は、太田さんの息子さんとは幼なじみ。麻生さんには夏休みの自由研究で料理を教わったりもするなど、坂本さんの友達の輪に自然にまざっているそう。
坂本さん&太田さん&麻生さんの
心地いい友達関係とは?
好きなことが同じだと、大人になってからでも親しく
家族ぐるみで付き合える、ほどよい距離感
マイナスな感情は一切なし! 励まし合える関係性
【特集】令和の心地よい「友達」概念アップデート!
撮影/大森忠明 ヘア&メイク/塩澤延之(mod’s hair)(坂本さん) 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2022年LEE11月号(10/6発売)「令和の心地よい「友達」概念アップデート!」に掲載の記事です。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。