通院のスケジュール調整、体への負担、授かるかどうかわからない不安。働きながら治療を行った読者の経験談には、当事者以外がなかなか気づけない苦労が。
お話を伺ったのは
LEEメンバー さえママさん
25歳で結婚。27歳から自己流でタイミング法。28歳で不妊専門クリニックを受診。’16年、体外受精で第1子を妊娠し出産。第2子も体外受精で’20年に出産。
嘘をついて休むことに限界が。体外受精で妊娠後の流産もあり、仕事を辞めました
タイミング法で夫婦仲が険悪に。結婚3年目で不妊治療を開始
約2年間、タイミング法で妊活をしていたというさえママさん。
「『今日お願いね』と義務的になり、プレッシャーで夫が最後までできないことも。夫婦仲がぎくしゃくしてしまったので、私から病院に行くことを提案。検査をすると、夫の精子の数が少ないことが判明し、不妊治療をステップアップすることをすすめられました」(さえママさん)
すぐに人工授精からトライし、半年間ほど続けて体外受精へ。
「採卵に向けていい卵子が採れるように薬を飲んでいたのですが、下腹部がパンパンになってものすごい違和感。麻酔をして採卵したのですが、麻酔が切れた後が激痛で。卵を育てて採卵するまでの、一連の流れがしんどかったですね。1回目の体外受精で妊娠したのですが、切迫早産があり流産。
2回目も妊娠成立したのに、9週ぐらいで流産に……。不育症を疑って検査も受けました。3回目の体外受精では、不育症に効く薬も処方してもらって妊娠が成立。無事に第1子を出産できました。また、第1子が2歳になった頃、凍結していた受精卵を移植。第2子の妊娠、出産に至りました」(さえママさん)
スケジュール管理がしにくい仕事を辞め、精神的にラクに
結婚後は、パートで受付の仕事をしていたというさえママさんですが、不妊治療のことは明かしていませんでした。
「年上の親世代の方が多く、地方で不妊治療専門のクリニックまで車で40分かかるほどだったので、治療があまり身近ではなくて。職場の人には一切言わずに仕事を続けていました。でも、だんだんと『ちょっと体調が悪くて』などと通院のために嘘をつきながら働き続けるのは厳しいなと思うように。
また、体外受精で妊娠成立後、入院を経ての流産だったのですが、入院で休む際にシフトリーダーに妊娠のことを話したら、職場に広まっていて。流産したのに『おめでとう』と声をかけられたことが、本当につらくて……。流産したことも、明確な理由はないと先生に言われたのですが、働きながらだと体に負担だったかなと悔やむことが。1回目の体外受精の後に、仕事は辞めることにしました。
治療に専念してからは、精神的にすごくラクに。働いていると、病院で次の予約を取るときに『仕事とかぶらないかな』といつも心配だったのですが、そのストレスがなくなり、心穏やかに過ごせたと思います。ただ今は、来年から第2子が幼稚園に通い出すので、仕事に復帰したい気持ちもあります。イチから仕事を探すのは大変そうなので、当時もし職場に休職の制度などがあれば、また選択が変わったのかな、とも思います」(さえママさん)
職場を含め、周りには治療のことをほとんど言っていなかったため夫が相談相手に。話すだけでは伝わりづらい治療の内容や辛さ、さえママさんの思いを、得意の4コマ漫画に託して伝えたことも。
まとめ「仕事と両立、私の場合」
- 治療が身近ではない職場には一切伝えず
- 嘘をつきながらの通院がしんどくなり退職
- 仕事を辞めたら穏やかに治療に取り組めた
【特集】働きながら“不妊治療”をするということ
詳しい内容は2022年LEE9月号(8/5発売)に掲載中です。
イラストレーション/きりふみこ 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
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