中村暁野さん
〈 文筆家・小商店主 〉
出産後に悩んだことがきっかけで、“家族”をテーマに取材・執筆を続ける中村暁野さん。中村さんが考える“家族”のあり方とは? また、最近一家で実践しているというエシカルな暮らしぶりには、育児中でも忙しくてもまねできるヒントがありました!
素敵な家族でも、いいことも大変なこともある。取材を通して、ダメでもいいんだと肯定できるように──中村暁野
● 中村暁野 Akino Nakamura
文筆家・小商店主。家族をテーマにさまざまな媒体で執筆を行う。また、エシカルな暮らしを実践し、エシカルグッズを扱うお店「家族と一年商店」も営んでいる。著書に家族との日々を綴った『家族カレンダー』(アノニマ・スタジオ)。11歳の女の子、5歳の男の子の母。
Instagram:non19841120
公式サイト:http://kazoku-magazine.com/
中村暁野さんの
使い心地も◎。脱プラのため始めた自然素材のたわし
「へちまたわしは、私は半分にカットして食器洗いに。乾いてしまった食材のこびりつきまで、きれいに取れます! しゅろのたわしは柄付きなのが便利で、この2種類以外にもいろいろな種類を揃え、鍋やフライパンを洗ったり、シンク磨き、お風呂掃除にも愛用。自然素材で柔らかいから、汚れが詰まっても洗いやすいのもいい」
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ある家族を1年かけて密着取材し、丸ごと1冊にまとめる雑誌『家族と一年誌「家族」』の取材、執筆を行う中村暁野さん。約5年前、自然いっぱいの里山に移住し、環境問題を見据えたエシカルな暮らしを実践しているそう。きっかけは、プラスチックのゴミで苦しむ動物の写真を見て娘さんが悲しんでいたこと。環境負荷を減らす生活を意識する中で、まず日々の家事の助けになったのが、自然素材でできた“たわし”です。
「3年半ほど前、へちまたわしを使い始めました。それまでは、プラスチック製の白いスポンジを使っていたのですが、汚れがすごく目立って。1カ月に1回は新しいものに買い替えていて、汚れることも、ゴミが出ることもストレスに。でも、へちまたわしは、カレーがついたお皿を洗っても、汚れが残らないんです。へちまをしっかり洗えば元通りになるので、ものすごく感動して!
最初は硬くて扱いづらさもあるのですが、だんだんと手になじんでくる。使い終えたら自然にかえるので、庭にポイッと置いても、コンポストに入れてもいい。最近は、自然素材でできた柄のついたたわしも、鍋やフライパンなどをしっかり洗いたいときに活用しています」
たわし以外のものも見直しを。
「歯ブラシ、ラップ、キッチンペーパーなどを、繰り返し使えるものに替えました。引っ越しのときに検討して、テレビ、掃除機などの家電をなくしたりも。昨年からは、近所のお米作りに参加したり、綿を種から育てることも始めました。減らすことばかりに意識が向きがちですが、子どもたちと一緒にできるサステナブルな取り組みは増やしていきたいなと思います」
当初、中村さんとは考え方が異なる夫と、意見がぶつかったことも。
「夫が自分と同じ方向を向いてくれないことに腹を立てていたのですが、よく考えたら違う人間なんだから、私とまったく同じようにして、というのは横暴かなと。彼を尊重するようになったら、私の大切なことにも耳を傾けてくれるように。私が家の中のティッシュペーパーをなくして古布で代用する“サヨナラティッシュペーパー運動”を始めたときも、夫は抵抗していたんです。でも、ティッシュを買ってくるのではなく、堆肥化できる竹からできたバンブーロールを提案されて。文句を言いながらですが(笑)、一緒に考えて、歩み寄ってくれるようになりましたね」
アイスが食べたいこともある。子どもたちには隙も見せて
著書『家族カレンダー』の執筆や「家族と一年商店」の運営など、“家族”をテーマに活動を続ける中村さん。一番身近でありながら、あらためて振り返ることが少ない“家族”に注目したのはなぜでしょうか?
「第1子の産後に家族や夫婦の関係性に悩んだんです。暴力を振るうでもない、ごく普通の夫なのに……。わかりあえないことがつらくて仕方なくて、納得できない自分がいました。それを素直に夫にぶつけたら、雑誌作りをすすめられて。私にとってコンプレックスである家族と向き合ってみようと。ひとつの家族を、泊まり込んで一緒に生活しながら取材してわかったことは、どんなに素敵な家族でも、いい面も悪い面もいろいろあるということ。
SNSなどではキラキラしたところしか見えなくて、私自身、完璧を求めすぎていたんだなと。雑誌作りを通して、ダメでもいいんだと自分を肯定できるようになったことが大きいです。最近も自分の家族について書いていますが、実験記録を残すように、あった出来事をできるだけ客観的に記すようにしています。感情的な愚痴にならないよう心がけて。今後もライフワークとして続けていきたいですね」
子どもたちに対しても、隙を見せられるようになったそう。
「エシカルな暮らしを実践できないときもあるし、『今日はコンビニのアイスが食べたい』と思うこともある。我慢はしすぎず、そんな姿も子どもたちに見せるようにしています。完璧な人間はいないし、どんな側面も隠さなくていい。それが家族なんだと、子どもたちには伝えていきたいですね」
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