いい眠りは健康の要。よく聞く言葉だし、体感ではわかるけど、それって実際はどういうこと?
そこで、今すぐできる「睡眠の質改善」のノウハウを、睡眠専門医の白濱 龍太郎さんに教えてもらいました!
枕や食事、ストレッチなど、今日からできる方法であなたも眠りの質を向上させて。
この記事は2021年5月7日発売LEE6月号の再掲載です。
ちょっとした意識で睡眠は改善!
"眠りの質"向上のための習慣Q&A
読者から寄せられた、リアルな睡眠の悩みに睡眠専門医がアンサー!どれもすぐ実践できることばかりなので、同様の悩みがある人はぜひ参考に。
教えてくれたのは・・・
睡眠専門医 白濱 龍太郎さん
睡眠、呼吸器内科、在宅医療の専門クリニック「RESM新横浜」院長。睡眠の重要性をわかりやすく説き、診療を中心にメディア出演や著作など、多方面で活躍。著書多数。
RESM新横浜:https://www.resm.info/
睡眠不足で日中眠いんです。"昼寝"を取り入れてもいいですか?
いい昼寝は睡眠不足や疲労解消に◎。30分以内、3時までを守って
「適切な昼寝には、集中力UPや疲労回復効果があります。夜の睡眠に影響しないように、時間帯は遅くとも午後3時までに、長さは30分以内にとどめて。
ちなみに、コーヒーの香りにはリラックス効果があるので、昼寝の前に1杯飲むとスムーズに入眠できます。カフェインの覚醒作用が効き始めるのは飲んでから30分後くらいなので、その時間を昼寝にあてるイメージで」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
帰宅が遅く夕飯はいつも23時。胃がもたれて寝つけません
早めの時間帯に一度夕飯をとり帰宅後は消化のいいものを
「体に食べ物が入ると、血糖値コントロールなどでさまざまなホルモンが働いて交感神経優位になるので、寝つきに悪影響。できれば夕方に早めの夕飯を食べ、帰宅後は汁物など消化のいいものだけを口に入れるようにしましょう。体への負担が軽くなり、寝つきもよくなるはず」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
食べ物や飲み物って睡眠の質に関係あるの?
大いにあり! 睡眠ホルモンの原料を含む食品がおすすめ
「大豆製品などに含まれるアミノ酸『トリプトファン』から、日中に『セロトニン』というホルモンが作り出され、それが夜になると睡眠ホルモン『メラトニン』に変化。セロトニンがメラトニンになるには鮭などに含まれるビタミンB₆が必要。和定食はその要素を満たしており、朝食におすすめです」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
授乳中で夜中、子どもに起こされます。補う方法、ありますか?
昼寝は30分以上してもOK!休めるときに体を休めて
「やはり昼寝で補うのが正解ですが、授乳や夜泣きなどで頻繁に起きるようならば、30分以内にしなくても大丈夫。ただし、午後3時までには起きるようにしましょう。もしくは、夜の寝かしつけの際に子どもと一緒に一度しっかり寝て、深睡眠をとるのも手です」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
朝起きると寝る前よりも体が凝って疲れが取れてないんです…
寝る前に筋肉の緊張をほぐすストレッチをやってみよう!
「PC作業やスマホの見すぎで肩や首が凝っていると、血流も悪くなって寝つきに影響します。筋肉をほぐして血流を上げ、同時に深部体温を下げてできるだけ早く深睡眠に到達できるようなストレッチがあるので、ぜひ毎晩の習慣にしてみてください」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
睡眠ストレッチ STEP1
シャワーを少しだけ熱めの温度にして首の後ろに当てる。シャワーを当てたまま、両手を組んで首の後ろに当て、親指で首の後ろのくぼみを上下にもむ。1分程度続ける。
睡眠ストレッチ STEP2
ひじを曲げ、わきを開いて腕を肩まで上げる。そのまま大きく後ろに回し、腕が前に来たら手を組んで前に伸ばす。続いて上にも伸ばす。またひじを曲げて後ろに大きく回す。一連の流れを1分間続ける。パジャマに着替え、部屋を暗くして行う。
睡眠ストレッチ STEP3
ふとんに横になり、鼻から息を吸いながら3秒かけて足首を手前に曲げる。口をすぼめてゆっくり息を吐きながら、3秒かけて足首を戻す。一連の動きを1分間続ける。
冷え性なので足を温めないと寝られない。靴下を履いてもいい?
足先から放熱されず入眠の妨げに!内側から温める方法が◎
「人の体は、手足の先から熱が放出されて深部体温(体の深い部分の体温)が下がることで眠りにつきます。靴下を履くと熱が放出されにくくなり入眠の妨げに。電気毛布や湯たんぽも同様です。温めるなら、足首をパタパタさせるなど血流を上げて内側から温めましょう」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
枕が合わない気がして何度も買い替えてします。いい枕のポイントは?
重たい頭をしっかり支え寝返りを打ちやすい硬さと幅が大事
「自分に合った枕は快眠に不可欠ですが、高いオーダー枕である必要はありません。肩にグッと入って重たい頭を支え、沈み込みが5~10mmの柔らかすぎないものが◎。寝返りを打てる十分な横幅も必要。この条件を満たせば、手持ちのマットにタオルを巻くのでも十分です」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
嫌なことや考え事があると夜中に何度も目が覚めてしまいます
寝る前の「何も考えない時間」で頭の中をリセットして
「気になることがあると交感神経が優位になりやすく、睡眠に影響します。寝る前30分でもいいので、何もせずぼーっとする時間を作って考え事を頭から追い出しましょう。もしくは、日記などを書くのもおすすめ。アウトプットは心を落ち着かせる作用がありますよ」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
早く寝ても朝早く起きられない。どうしたらいい?
起きる時間を優先させると体のリズムが整っていく
「『たくさん寝なきゃ』と考えると焦りが出て深く眠れないので、そんなときはとにかく起きる時間をしっかり決めて守る。寝る際は眠気が来るまでベッドにはいかない。これを繰り返すと自然に体のリズムが整ってきて、夜もスムーズに入眠できるようになるでしょう。
また、人間の覚醒スイッチを押すのは脳に入ってくる光なので、起床時間30分前から光を照らす目覚ましや、時間設定で自動的にカーテンを開けてくれる装置などを活用するのも手。それで脳を覚醒させていき、時間になったら目覚まし時計の音を鳴らす、というのが効果的です」(睡眠専門医 白濱 龍太郎さん)
イラストレーション/ツルモトマイ 取材・原文/遊佐信子
この記事は2021年5月7日発売LEE6月号『今こそ、免疫力の上がる「睡眠」』の再掲載です。
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