鏡に映ったり、スマホで撮った自分の姿を見て、首の短さや背中の丸さにギョッとしたことがある人は、首こりが進んでいる可能性大! 老け見えだけではなく、疲れも誘因しているかも? 大事な部位だからこそ丁寧な首ケア習慣を学びます。
教えてくれたのは
脳神経外科専門医 松井孝嘉さん
東京脳神経センター理事長。松井病院理事長。45年以上にわたり首の研究を続け、延べ10万人以上の患者を診察。首と副交感神経の関係を突き止め、自律神経失調症の治療を確立する。
東京脳神経センター:https://tokyo-neurological-center.com/
公式サイト:https://neck-academy.com/dr-matsui/
姿勢の悪さはすべての老け見えの根源!
ふと目にする、自分の想像とは全然違う老けた姿。短く埋もれた首、丸くたくましい背中、ゆるんだフェイスライン……。実はそれ、ほぼすべてが姿勢の悪さからきているのです。コロナ禍でおうち時間が長くなって、スマホやPC時間が増え、姿勢が悪い人も増加傾向。埋もれ首はもはや現代病かも?
首が短い!
前に突き出た首、その根元に盛り上がった背肉。背肉から首が出ているさまはまるでカメさん……。
首とあごが一体化!?
首が埋もれて顔が常に前に出ていることであご下が重力に負けてボヨ~ン……。
首が回らない!
首の筋肉が凝り固まって可動域をせばめ、首をスムーズに回すことが難しく……。
後ろ姿が老けて見える!
突き出た首に引っ張られて肩甲骨が上がりそこに背肉がかぶさって、もっさり大きな背中に……。
姿勢の悪さは見た目の問題だけでなく、めまいやイライラ、慢性疲労、ひどい場合はうつにもつながる恐れも。「たかが埋もれ首」と放置は禁物です。
硬くなった首の筋肉が自律神経を圧迫する!
「人の頭は非常に重く、それを支える首には常に負担がかかっています。女性は男性に比べて筋肉が少ないため負担が大きくなりがちですが、料理や掃除など前かがみで行う日常動作が多く、それに加えてスマホやPCの操作で首が前に落ちた状態で長時間過ごす。こうした『うつむき姿勢』の積み重ねで、現代人は首への負担がどんどん大きくなっているのです。
首の筋肉に過剰に負担がかり、負担が一定値を超えると筋肉が変性して硬くなってしまいます。すると首のすぐそばにある自律神経を圧迫し、常に交感神経が副交感神経より優位な状態になり、慢性疲労、めまい、不眠などの症状や、それらからくるうつ症状にまで発展することも。そうした状態を『首こり病』といいますが、埋もれ首になっている人はすでに首こり病の可能性も。首こりの予防はとにかく首を“休ませること”。今日からできることを始めましょう」(松井孝嘉さん)
首こり病は首の筋肉硬化により起こっていた
約6㎏もの頭を支えるのは首の骨(頚椎〈けいつい〉)と首の筋肉。首の筋肉は「僧帽筋(そうぼうきん)」「頭板状筋(とうばんじょうきん)」「頭半棘筋(とうばんきょくきん)」「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」の大きな4つの筋肉のほか、たくさんの小さな筋肉があり、これらが硬直してしまうとそばを通っている自律神経を圧迫。
慢性疲労・うつにも…
自律神経が圧迫されると働きが乱れ、常に交感神経優位の状態に。体が休まることができず、慢性的な疲労、イライラ、不眠など自律神経失調症の症状が出て、ひどくなるとうつ症状が出る場合も。首こりはうつの原因の95%を占めるともいわれるデータもあり、病院での診察が必要なケースもあります。
30代・40代が首こり病になりやすい要因は?
ステイホームによるスマホ、PC時間の増加
首を前に突き出した姿勢でスマホやPCを長時間続けることで、首の筋肉が硬直。特にここ2年で首こり病の人が増えているそう。
家事や育児でうつむき姿勢が多いから
手元の作業がほとんどの家事や子どもの世話。その間中ずっとうつむいた姿勢を続けているために、首への負担が大きい。
筋肉が少ないことで首への負担がかってる!
頭の重さは男女で差はないけれど、全般的に男性よりも筋肉量が少ない女性は、首への負担がかかりやすい。首が細く長い人はなおさら。
ちょっとした工夫で首こり病は予防できます!
重要! 首はむやみにもまない
首にはたくさんの筋肉があり、複雑でデリケート。自分で強くもんだり、ほかの人にマッサージしてもらうとかえって首の筋肉を傷つけてしまうこともあるので、避けて。
首をよく温めると◎
首が冷えると血流が悪化し、筋肉がますます硬くなるので、首こり予防には温めることが大事。入浴時は首の後ろまでしっかり湯につかり、入浴後もぬれた髪で首を冷やさないよう、できるだけ早くドライヤーで乾かして。
15分に1回首を後ろに!
首に最もよくないのは、うつむき姿勢を長く続けること。15分に1度は首を後ろに倒して休ませて。両手を頭の後ろで組み30秒ほどキープするのがコツ。特に仕事など集中しているときは、15分タイマーをかけるなど工夫を。
枕は高すぎないものを選んで!
首の筋肉をしっかり休ませるには、首に負担をかけない寝姿勢が大事。枕は高すぎないものが◎。低すぎても合わない場合もあるので、きちんとフィッティングして選びたい。
詳しい内容は2022年LEE2月号(1/7発売)に掲載中です。
イラストレーション/松元まり子 取材・原文/遊佐信子
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。