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LIFE

Sayaの「星がたり」

嫉妬注意報、発令中。「おかえりモネ」から学んだこと/Sayaの【読む星占い/星がたり】

  • Saya

2021.10.07

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さそり座×火星=「嫉妬注意報」!?

さそり座 Sayaの読む星占い「星がたり」

秋も深まりつつありますが、みなさまにはいかがお過ごしですか。

この秋の星まわり。今年の初めから私が気になっていたのは「嫉妬」の念が高まりそうなこと。9月11日に愛と美の星・金星がさそり座に入り、こちらは更新日である10月7日にいて座に去りますが、10月30日には行動や戦いの星・火星がさそり座に入ります。ひとつ前のてんびん座では人と人がある程度の距離を取りながら、社交するイメージです。でも、さそり座では距離はぐんと縮まる。とても近い関係なので、心に踏み込むこともあれば、身体でつながることもある。自他の区別がつかなくなるほどの相手への思い入れが起こってくるのです。

それがまだ金星であれば、相手への愛着くらいで済みます。たとえば、〝推し〟の存在などもそうですが、相手に憧れ、思い入れ、愛でる感じですね。でも、さそり座の火星になると、「奪う」ところが出てきます。相手の意思は関係なく、自分のものにしたくなるので、ストーキング的な行為も増えるかもしれません。また憧れの気持ちが高じて、その相手が羨ましくて、相手になり代わりたいといった種類の嫉妬に転じていくこともありそうな気がします。このパターンだと相手になれないとわかったとき、相手を自分のレベルまで貶める、そんな心理になる人もいそうです。しかも、年末にはトドメを刺すようにやぎ座での金星「逆行」も。社会的に認められていない気持ちをくすぶらせる人が大勢出そうで、天文暦を見てブルーになっていました。

「おかえりモネ」から見えた嫉妬の仕組み

そんな心境のとき、目にしたのがNHKの朝の連続テレビ小説、「おかえりモネ」の第15週から16週。テレビのお天気キャスターに抜擢され、医者の恋人といい感じになるなど、すべて順調に行っているように見える主人公の百音(=ももね、モネは愛称)。彼女に対する妹の未知の嫉妬砲が炸裂するというエピソード。さらに、未知の片想いの相手も姉のモネを好きだとわかるなど、妹の嫉妬にこれでもかと燃料が注がれる。まるで、この秋の星まわりを先取りしたかのような内容でした。アメリカの人気テレビドラマ、『THIS IS US』のように、トラウマをベースとして、過去と未来が交錯するストーリー。緻密な構成と美しい映像に感心して見ていた「おかえりモネ」ですが、モネがあまりにも言われっぱなしなので、この二週間だけは見ていてつらい気持ちになりました。

でも、このドラマを見ていて、嫉妬の仕組みがよく見えたのも事実。ヒロインのモネのように、同調圧力に屈することなく、自分の心に正直にわが道を行くタイプと、社会に同調し、社会全体の利益への貢献をよしとする妹の未知タイプとは価値観が相容れない。後者から見ると前者はワガママに見える。私はどちらかというとモネタイプ(百音の誕生日は9月17日とも言われ、私と同じおとめ座です)。私はモネとは違い、サンドバッグにされないように戦うのですが。

おかえりモネ Sayaの読む星占い

今回の打ち合わせで、嫉妬について書きたいと言うと、「嫉妬砲のかわし方ってありますか」と編集のHT子さん。でも、かわしようはないと思っています。同調圧力や期待に屈せず、わが道を行くにはそれなりの努力が必要ですから、そのうちにレジリエンス的な力がついてきます。自分の最適解を見つけるしかないので、自分にフィットした幸運も引き寄せられてきますが、日本という国では「人と違う」ことが摩擦の原因になりやすい。個人を生きることに憧れを持ってくれる人もいるけれど、嫉妬もハラスメントも束縛も、たくさんのネガティヴな念を引き寄せることがどうしてもある。

「運命の違い」を受け入れることで生き方が見えてくる

同時に、「あ」と思ったのは、モネの運のよさ、人生がうまく展開していくことへの反感も視聴者の一部にはあること。つまり他者の幸運を許せない、喜べない人たちがいるし、自分が傷つかないために相手を貶めたい人が一定数いる。嫉妬やマウンティングの根っこには「運の不平等」の感覚があるのかと、自分の生まれや運命への不満が世の中に渦巻いているのだと再確認することとなりました。

「平等」は、現在、現実化とルールの星・土星や拡大と保護の星・木星が滞在しているみずがめ座の意識でもあります。妹の未知が口にしていた「ずるい」という言葉が象徴的なのですが、平等意識が高まりすぎると、個人の運命の違いが許せなくなります。全員に同じだけのものが与えられないのはおかしい、というわけです。地球のあり方としては個体差があって当然で、みんなが金太郎飴のように均一な人生を生きていたら、気持ち悪いと私などは思います。でも、人工的な街で、自然と乖離して生きていたり、逆に狭い場所で全員が運命共同体なのが当たり前な環境しか知らなかったり。すると、そうした思考になるものかもしれません。

人間は生まれながらにして対等ですが、生まれの違いはたとえ姉妹でも厳然としてあり、平等とは言いがたい面もある。運命もそれぞれ違う。実は、モネにも個人を生きることを選ばざるを得なかったトラウマがあり、集団で生きられる妹を羨ましく思っているのかもしれない。分離してしまった自分を受け入れたからこそ、異なる選択ができたんですね。妹は妹で、集団のために生きざるを得ない、選択の余地などないトラウマがあるのですが、それが運命の違いです。でも、運命の違いを受け入れさえすれば、今の自分でどう生きるのか、この身体と頭でどう戦うのか、今いる場所をどう使うのか、あるいは場所を変わるのかが見えてくるものだと思います。

自分の中の嫉妬心から抜け出すには……

ドラマのストーリーに戻ると、この原稿の初稿を書いている段階では第18週なのですが、モネの同僚キャスターの莉子ちゃんが壁にぶつかり、そこで新しい視点を得るプロセスがていねいに描かれていました。テレビほどではないですが、ウェブメディアもここ数年は数字をひどく言われますから、そこもよくわかる。そして、ドラマ内でテーマになっていた「信頼性」はこの頃、私も打ち合わせなどで話していたこと。私の場合も長くファンが離れないという「習慣性」と、また大衆向けのウェブの星占いであっても、毎回思い当たることがあるという「信頼性」が自分の強みだなと考えていたところなので、これも深く共感するところでした。

嫉妬から抜け出るには比較をやめ、自分の強みを受け入れるしかない。そのためには画一的な生き方、型から抜け、個人を生きるしかない。集団に貢献するのは個人を思いきり生きて、力を身につけたあとでもできる。大切な人たちのためにそうしたいから、そうする。集団の中でも個人が自由でいられるように。そんな願いがドラマ全体から伝わってくるようでした。



「競争と嫉妬」を超えて。みずがめ座のポジティヴな一面

原稿にもう一度手を入れている20週ではモネが島に帰るという再生のステージに差しかかっています。嫉妬があるところには競争があるわけですが、「競争と嫉妬」を乗り越え、手を結ぶというのもみずがめ座のポジティヴな面だと感じます。トラウマには向き合うことでしか癒やされない。そして、最終的にはモネは、島だけでなく、たくさんのホームを手に入れ、登米でも東京でも「おかえり!」と言われる人になるのだろうと思います。そうやって縁の窓口ができると、島にも妹にもメリットがもたらされるはずです。つらい経験や悲しみがあると、私たちの心は閉じてしまい、時を止めてしまいますが、それを乗り越え、心の扉がひらかれたときにたくさんの恩恵がもたらされることも、きっとドラマが訴えたいメッセージなのでしょう。

たくさんの気づきをくれた「おかえりモネ」も10月末で終わり。コロナ禍の中、素敵なドラマを届けてくださったスタッフやキャストのみなさん、本当にお疲れさまでした。登場人物たちがどうかみんな幸せになるように! ドラマのことなのに、つい願ってしまいます。

(次回は、11月7日に更新)


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Saya Saya

アストロロジー・ライター

1971年生まれ。おとめ座。現在は、京都で夫とふたり暮らし。雑誌連載のほか、オンライン講座や、ホロスコープ・リーディングのセッションを行う。著書に「星を味方につける生き方、暮らし方」(集英社)など多数。

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