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LIFE

秋こそ対策!夏に酷使した 風呂場のカビ掃除と予防策【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】

  • 藤原千秋

2021.09.24

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暑かった時期にはあまり長居できなかったお風呂に、やっとゆっくり浸かりたくなる季節がやってきました。

でも、一息つきながら天井を見上げ、壁を見渡すと、目に入ってくる、黒くて怪しい……

「カビ!?」

そう、夏のあいだ活躍しきりだったお風呂場ほど、カビリスクにさらされがち

今回は、来たる冬の大掃除を必ずやラクにしてくれる、秋のお風呂場、カビ対策のTipsをご紹介します。

お風呂場の夏汚れ、残っていませんか?

お出かけはなかなかできなくても、汗はかく! 頻回なシャワーや入浴で、夏場のお風呂場は乾く暇もなかったかもしれませんし、ゲリラ豪雨を避けての浴室乾燥フル回転だったお宅もあるでしょう。

使えば使うほど、石けんやボディーシャンプー、シャンプーやリンスの飛び散り。身体から出る垢、皮脂、繊維クズ、泥砂。抜け毛、フケ、それから水道水に含まれるミネラル……などなど……によって、どんどん汚れていくのがお風呂場という場所のさだめです。

浴槽などは洗えているかも知れませんが、なかなか毎日は手をつけにくい壁、棚、天井、排水口などには、このような夏の複合汚れが溜まり、残ってしまいやすいもの。そうして知らず知らずのうちにカビの温床になってしまいがちなのです。

カビは湿度、温度、栄養の三条件が揃えばいつでもどこでも繁殖します。まずは、汚れ=栄養の除去を取り行っていきましょう。

今どきのカビは通年営業。だから秋の対策が「効く!」

メディアの注意喚起が梅雨に集中している影響もあり、カビは梅雨の風物詩だと思われがちですが、さにあらず。

基本的に私たちが快適だと感じる気温、そして若干湿気ってるなと感じる程度の湿度でも十分カビは活動、成長、増殖します。ですから水分の多いお風呂場では冬であっても安心はできません。

お風呂場の空気中に漂うカビの胞子をできるだけ少なくして、増殖の機会を減らすくふうを講じる必要があるのです。

でもすでに黒い点々やシミっぽい汚れのようなかたちでカビが「目に見える」状態というのは、もうかなり飛び、育ち、増えてしまった後のこと。そしてそこにカビがあるということは、空気中を飛んでいる胞子、育ってもまだ目に見えないサイズのカビは、今わかるところ以外にもたくさん存在している、と考えられるということ。

つまり現況カビっぽくない汚れであっても、それを減らすことでのちのカビ発生予防につながるのだということです。もちろん今、生えているカビを落とすことも最優先です。効果的なカビ複合汚れの落とし順をぜひ試してみてください。

「カビ取り」→「洗剤洗い」→「予防消毒」のサイクルで対処!



1:まずは「カビ取り」

タイルの目地や、排水口、天井、換気扇フィルターなどにすでに生えているカビは、まずできるだけ取り(殺してしまい)ましょう。

基本的に目よりも低い位置には、カビ取り剤を使います。水で濡らしたりせず、カビに直接スプレー、ないしは塗布して10分程度置いてシャワーで濯ぎましょう。

次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした市販のカビ取り剤、吹き付けた後ブラシでゴシゴシしたりしないでくださいね。目に入ってしまったりしては大変ですし、服に飛んでしまうと色が抜けてしまいます。

目よりも高い位置のカビ、天井などに生えたカビは、「消毒用エタノール」で拭き取る作戦で対処します。主成分が消毒用エタノールであればキッチン用でも、ハンドサニタイザーのジェルでも構いません。

使い捨てられるキッチンペーパーなどに浸してゴシゴシ拭き取ります。拭いたペーパーは二次利用せずすぐに捨てましょう。

2:たっぷりの洗剤で洗う

カビ取りと同じ日でなくて構いません。少し時間のあるタイミングを見計らって、壁面、天井、シャンプー棚、風呂椅子、洗面器、風呂蓋、など部位を分け、たっぷりめの浴室用洗剤とできれば下ろしたての浴室掃除用スポンジを使って、皮脂や石けんカスのような汚れをしっかり溶かし落とすようにします。洗剤の液性は中性か、皮脂汚れに強い弱アルカリ性が良いでしょう。

お風呂場の複合汚れは実は層になっています。

例えば、本来なにもなかった壁なのにカビが生えてしまったような場合、

⒈壁にシャワーなどの水滴がなんども当たるうちに、水道水に含まれるカルシウムなどのミネラルが、酸素などと結びついて堆積

⒉その堆積汚れ(水垢)に、飛び散ったシャンプーや石鹸などの泡、皮脂が蓄積

⒊その蓄積汚れ部分に、空気中を漂うカビ胞子が引っかかって、水分や栄養(石鹸などの成分)を得て成長

というようなミルフィーユ状になっていると考えられます。厄介ですが、しっかり落とすためには3から逆の順にリーチしていかなければなりません。

水垢(ミネラル)は、通常中性洗剤では落としにくいと言われていますが、皮脂などと相まって付着している分は浴室用洗剤の界面活性剤でだいぶん浮き上がらせて落とすことができます。洗剤量をけちらないのが一つのコツなので、ぜひ試してみてほしいと思います。

3:予防消毒を試みる

洗剤を駆使して汚れを取る。基本的にはお風呂掃除はここまでなのですが、せっかくたっぷりの洗剤を使った後ですから、できるだけその効果を長持ちさせたいものですよね。

そこで、駄目押しでカビを殺しつつ、今後もなるべくカビの生えにくい環境に整えるための予防消毒プロセスをここで試してみてほしいと思います。

用意するのは、消毒用エタノール、二酸化塩素、塩化ベンザルコニウム、水酸化カルシウムなど、手に入れやすいお好みの除菌剤です。

これを使い捨てシートなど使って壁面や天井に塗布するような気持ちで「拭き掃除」していきます。

いずれも次亜塩素酸ナトリウムよりは扱いやすく安全性も高い素材ですが、無害ではありませんので注意書きをよく守って使用してください。

いろいろ難しく感じる場合は消毒用エタノールを主成分としたウエットシートなど使うのが手軽で無難です。この予防消毒の一手間を加えると、有意にカビの生え方が遅くなるので、実験気分でぜひ試してみてください。

お風呂場に限らずですが、住まいのカビ対策の一丁目一番地は、できる限りの換気や送風による「乾燥」。そして「エサ」をできるだけ断つ意味での、複合汚れの効果的な「掃除」。実際この二つが私たちにできるカビ対策のほとんどと言って良いでしょう。できる限り「24時間換気扇」は回したままにし、お風呂場に湿気をいたずらに溜めないこと。排水口などのゴミはこまめに除去すること。浴槽掃除は使用の都度行うこと

ただ目に見えるところのカビをどんなに除去しても、ユニットバスなどのエプロン(浴槽カバー)裏部分などにカビがたくさん生えている場合には、掃除の効果が持続しないことがあります。

専門業者の外注清掃も秋の間は比較的予約しやすいので、暮れになる前の今のタイミングに依頼してしまうのも一手ですよ。


先取りで安心! おそうじ歳時記

LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住生活ジャーナリスト、ライター

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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