ジェンダー、女性差別、貧困、性教育、政治……と各分野に詳しい、文筆家の清田隆之さんがおすすめ作品をセレクト。ストーリー性が高く、楽しみながら考えさせられる作品ばかりです。
文筆家 清田隆之さん
恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。「恋愛とジェンダー」をテーマにコラムなどを執筆。著書に『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)など。
いわゆる“男性性”とその生きづらさを考察し、ジェンダーについて執筆を続ける清田隆之さんが、関心を寄せる作品とは?
「“男らしさ”の呪縛とその弊害を意識してキャラクターやストーリーを立ち上げている作品に興味をひかれます。タフ、強い、大黒柱、プレイボーイ、ストイック、支配的、勇敢といったイメージが付与されがちな“男らしさ”とどう向き合い、乗り越えていくかがポイント。また、ジェンダー的には男性はマジョリティ側に属しており『無自覚』という問題が常に横たわっている。そういう背景までしっかり描いている作品は見たいと思いますね」(清田隆之さん)
おすすめの映画『20センチュリー・ウーマン』ではこんな衝撃的なシーンが。
「母親が思春期の息子の教育を2人の若き知人女性に託すという物語なのですが、教育係の女性が、男の子たちに『menstruation(月経)!』と叫ばせるシーンが強烈。女性のことを1人の人間として見ない男性にビンタを食らわせるようなセリフで圧巻でした」(清田隆之さん)
映画 【20センチュリー・ウーマン】
母親が息子の教育を知人女性に託す。それがすぐれたジェンダー教育に!
「母親が息子の教育を2人の若き知人女性に託すという興味深いストーリー。それがすぐれたジェンダー教育になっているところが学びにもなり、なおかつとても感動的です。教育係を任された女性たちのキャラクターが個性的で最高だし、“母と息子”というあまり語られることのない関係性に焦点が当てられているのも、男性性について考えるうえで気になります」(清田隆之さん)
ドラマ 【ザ・ボーイズ】
ヒーローを描きながら男性中心社会をトレースしたような世界観が興味深い
「さまざまな超能力を持ち、人々を危機から救うスーパーヒーローたちが悪役として登場する物語。ヒーローたちは『ヴォート・インターナショナル』という企業に所属しており、どこかサラリーマン的。権力構造や苛烈な競争、能力主義や成果主義など、そのあり方が現実の男性中心社会をトレースしたような世界観になっていて、ジェンダー問題にも深く斬り込んでいます」(清田隆之さん)
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詳しい内容は2021年LEE7月号(6/7発売)に掲載中です。
取材・原文/野々山 幸(TAPE)
※商品価格は消費税込みの総額表示(2021年6/7発売LEE7月号現在)です。
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