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LIFE

藤原千秋

“いい母親”と麦茶の壁の話【沸かす?水出し?/簡単だった解決策】

  • 藤原千秋

2021.07.25

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水筒づくりの季節

夏休み突入。子育て風物詩、今年もまた水筒作りのハイシーズンが到来しました。

わが家ではかつて最盛期(?)、1日に6リットルの麦茶を作り、3人の娘たちの水筒に入れて毎朝持たせていました。

麦茶は沸かして、冷まして、冷蔵庫に入れて……それだけで毎日、大仕事。直飲みタイプの水筒の汚れのケアも容易ではなく、

麦茶の茶渋や、唾液由来の汚れがたまるため、夜な夜な隙間ブラシでヌメリを取っていたものでした。

しかし、それらの作業。わが家ではもう過去形です。

なぜ? 子どもが育って「麦茶入り水筒」を卒業する子が出てきたことも理由のひとつ。

もうひとつの大きな理由。それは、わが家ではもう水筒に麦茶を入れるのを辞めたからです。

水筒の中身は……? 水道の水です!

正確には、水道の水と氷。水筒の中身は氷水。子どもたち曰く、「ぜんぜん問題ない」そう。冷たいし美味しいしゴクゴク飲める。

毎朝の水筒作りも子ども自身がやります。冷凍庫の氷を入れて水道から水を注ぐだけだから簡単。

そのうえ、水道水で作った水筒って、ヌメリが出にくい! 洗うほうの手間もガクンと減りました。

なんでこんなにいいことが最近までできなかったんでしょう?

なんでこんなに簡単なことが最近までできなかったんでしょう?

 

「母たるもの、夏になったら麦茶を沸かすべき」?

さらにいえば、実のところ、「沸かした麦茶」から「水道水」までの間に、わが家では「ペットボトルのお茶」時代「水出し麦茶」時代が挟まっていました。

「ペットボトルのお茶」時代はお金がかかりすぎて長く続きませんでした。そして「水出し麦茶」時代は、水に「ミネラルウォーター」を使うという迷走期間も含まれています。

私には「水筒に入れるべきもの、麦茶でなくてはならない!」という確固たる信条があったわけではありません。たぶん。あと何かで決められていたわけでもないと思います。校則とか?

少なくともそういうこだわりがある自覚すらもありませんでしたが、いま振り返れば「謎の囚われ」が有ったことは確かだと思います。15年間くらいもの期間、その囚われの元で右往左往していました。「母たるもの、夏になったら麦茶を沸かすべき」。??? なんでしょうね、コレ。

 

子どもの成長は、家事のボリュームをも増していく摂理

1日に、1リットルやそこらの麦茶を沸かすのは別に大した手間ではありません。確かに。

けれども子どもたちはドンドン育って、ドンドン必要とする麦茶量を増やしていきます

2リットル……3リットル……4リットルを超えた頃、せまいわが家では「沸かしても冷めない」「冷ます場所がない」事態となり、水出し麦茶すら「冷蔵庫のどこに仕舞えばいいかわからない」ことになりました。

夏ですから冷蔵庫には他にもたくさんの食材が入っていて、生ぬるい麦茶とすら隣りあわせたくない生ものも多いのです。ドンドン育つ子どもたちは、肉、野菜だってモリモリ食べるわけです。

「いったいどうしたらいいんだ?!」という「初めて立ち向かう壁」が、子育てには往々にして発生します。発生というか、発現というか、爆誕というか。どどーん! ジャジャーン! そのひとつが、わが家……私にとっての「夏の麦茶」でした。

たかが麦茶でしょ、と侮るなかれ。

いや、私自身がどこか侮っていたんでしょうね。

「麦茶沸かして冷ますくらいわけないことでしょ」って。
「その程度のこと」ができない無力感。

 

麦茶の壁は蜃気楼

表現しがたい大いなる挫折感と共に、ついに「水道水で水出し麦茶を作り、そのボトルを冷蔵庫にズラズラ並べて冷やしていた」頃のこと。私が体調を崩して、そのだいぶ簡易化されたルーティーンすら行えない事態となりました。

すると、子どもは黙って朝、水道水を水筒に入れ、氷を入れて学校に行きました。

子どもたち曰く。どうしても学校の水道水だけは飲みたくないんだ。信じられないくらいまずいから。でも家の水道水は普通に飲める。味がなくても気にならない。冷たければそれでいい。「明日からも水でいいよ」

堅牢な麦茶の壁は蜃気楼のようにその瞬間に消えました。

 

・・・・・・・

 

こんな経験が何かしらの参考になればさいわいです。

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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