いつも女性の働き方と向き合っている、ライフスタイルプロデューサーの村上 萌さんにインタビュー。これからの働き方はどうなるのか、自分なりの道の選び方は? じっくりお話を聞きました。
“自分が選んでいる”実感を持ちながら働くことで、より仕事への満足感が得られる
ライフスタイルプロデューサー
村上 萌さん Moe Murakami
株式会社ガルテン代表。季節の楽しみと小さな工夫で理想の生活を叶えることがコンセプトのコミュニティメディア『NEXTWEEKEND』を運営。
10年前からリモート、やる気の維持には課題も
24歳で起業し、その後すぐに結婚。サッカー選手である夫の移籍に伴い、神戸、札幌、大阪と移り住み、約10年間すでにリモートワークを実践している村上さん。起業は自身が長く仕事を続けるための手段だったと言います。
「夫と結婚したら来年はこの場所にいないかもしれないので、住むところが変わることでリセットされる仕事はできないと思いました。それで就職はせず、起業を選択。これまでも、少なくともひと月の6割はリモートワークをしていましたが、やはり昨年は大きな転機に。
運営するNEXTWEEKENDでイベントを開催しているのですが、オンラインがリアルイベントのおまけではなく主流となり、大事な商談なども当たり前にオンラインでできる空気感に変わりました。これまで以上に地方にいても仕事がしやすくなったなと実感していますね」(村上 萌さん)
村上さんだけでなく、オフィス近くに住むスタッフもほぼリモートワークに。便利な反面、モチベーションの維持には課題が。
「出社すると、そのために身だしなみを整えたり、人と挨拶したり。実は業務以外のいろいろなところで達成感を感じられるんですよね。オンラインだとそれが難しく、会議や打ち合わせ以外のテーマのない会話ができない。仕事って人に確認することで自信が持てたり、存在意義を感じられると思うんです。
オンラインは余白がゼロなので、この部分は対面のメリットを感じます。できるだけスタッフのやる気を保つために、毎週金曜日に全社員にありがとうの手紙をエクセルのシートに書く時間を設けたり、1カ月に1回は働き方宣言をして『今月は子どもが入学するので仕事とのバランスを見つつ頑張ります』などとスケジュールをみんなで共有したり。
働くママも多いので、プライベートなことを理解し合えるとぐっと働きやすくなります。また、to doリストを作って終わったら線を引き、終礼のときにほかのスタッフに公開することも。できるだけリモートで仕事をしていても、孤独を感じないように工夫しています」(村上 萌さん)
“やらされている感”がある働き方はとてもしんどい
これまで「ちょうどいい働く女性のロールモデルがいなかったので、自分なりの働き方を模索し続けた」と話す村上さん。オンラインの普及で選択肢が増えた今こそ、自分がどうありたいか、本質に向き合うべきだと言います。
「大きな会社に就職すれば安泰といったような、従来の価値観が大きく揺らいだ1年だったと思います。これまでいいとされていた価値観や誰かの幸せを追い求めていた人は、世の中の条件がどんどん変わって今苦しいはず。特に今後は、表面的な部分を見て選ぶのではなく、自分にとってのベストはどんな形なのか、自分で道を見つけるしかないのかなと思います。
仕事って“やらされている感”が強いとすごくしんどい。今の自分に合った仕事を、自分自身で選んでいる実感が持てると、充実度が変わってくるはずです。出張や夜の会食をしづらいと感じていたライフステージの女性にも、オンラインが広まって平等に仕事を選ぶ機会が生まれている。自分の働き方と一度しっかり向き合って、心からやりがいを感じられる仕事を選択するチャンスでもあると思います」(村上 萌さん)
1. リモートワークはさらに進むはず。モチベーションの維持を工夫するとより快適に
2. これまでの価値観や誰かの幸せを追い求めるとだんだん苦しくなる
3. 選択肢が増えたからこそ自分にとってのベストな働き方を熟考してみて
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イラストレーション/itabamoe 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
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