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カビや虫を防ぐ「衣替えのタンス&クローゼット掃除&はずせないケア」【藤原千秋さんの”おそうじ歳時記”】

  • 藤原千秋

2021.03.19

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毎年「春って、何を着たら良いの?」とボヤいている気がします。関東圏でも南部に暮らしている私ですが、前日までダウンを着込んでいたのに今日は半袖でないと暑くて目が回るような日があったり、桜の花の上に降り積もる雪を横目にシンシン冷えこむ体育館で入学式、なんて日もあったり。

とはいえ、そろそろ厚くてかさ張る「ホントの真冬に着る服」にはご退場いただき、気温の日内変動に対応できる、柔軟なワードローブへと移行しておきたいものですよね。そんな今回の暮らしのTipsは、やや先取りで意識したい、衣更えからの、たんす・クローゼット掃除ポイント指南。やっておくと、きっといいことありますよ。

たんす、クローゼットに起こりがちなトラブル

【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】たんす、クローゼット

たんす、クローゼットの掃除というシンプルで簡単そうなこの課題。でも案外クリアするのは容易ではないようです。なぜかといえば、たんす・クローゼット周りのお悩みというものが案外珍しいものではないからです。

その代表例がカビのトラブル。そして虫のトラブル。

起こりがちトラブル:カビ編

まずカビのトラブルはクローゼットなら奥の普段目につかないような場所ほど多く、壁面や床が侵されるのみならず大事な衣類にまで飛び火しがちです。たんすの場合は、引き出しそのもの、特に床に近い下段に多く見られるのが特徴です。

たんすやクローゼットに見られるタイプのカビは、一見、黒い細かなテンテンや黄緑系のシミのような状態であることが多く、カビというより「汚れ」「黒ずみ」のように捉えられることが多いようです。

ただこれらのカビは暮らし方の良し悪しというより、住まいそのものの条件(湿気が多い、カビが生えやすい)によって見られる頻度が変わってくる傾向があり、引っ越さないと解決しないことがあるので注意が必要です。

起こりがちトラブル:虫編

そして虫。これは、知らないうちにニットやジャケット、コートなどに小さな穴が開いてしまっていることで気付かれることが多いのですが、「どこかに引っ掛けて穴、開けちゃったのかな?」などと捉えられがち

よもや虫に食われたという可能性には思いあたらず、そのせいで状況を悪化させてしまう傾向があります。

衣類を食べる虫の代表は「イガ」「コイガ」「カツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」の4種。たいてい気付かぬうちに(なんと切り花などと一緒に入り込むことが多い)この成虫が家の中に侵入し、たんすやクローゼットで産卵してしまいます。そうして、孵った幼虫が、もりもりと大事な衣類を食べてしまうのです。

カビも虫も「たんぱく質」を好む傾向があり、動物性たんぱく質系の繊維や、服に残された汗や食べこぼしなどのたんぱく汚れが重点的に狙われやすい、ということは、ぜひ頭の片隅でいいので覚えておいてください。

たんす、クローゼット掃除の基本プロセス

【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】たんす、クローゼット

続いては、衣類をしまう「たんす・クローゼット」といった場所の掃除の基本アクションをおさらいしましょう。

1:掃除機がけ

可能な限り衣類を取り出し、たんすやクローゼットの隅や端に溜まりがちな「繊維ホコリ」をしっかり吸引します。特にホコリの詰まりやすい、L字、90度になっている部分は念入りに

2:消毒用エタノール+キッチンペーパー拭き

知らず知らずのうちにたんすなどの中まで入り込んでいる、微細なホコリ、油煙、煤煙のような汚れや皮脂、湿気などによる「ベタつき」。および、「カビ(胞子)」を除去、除菌します。たんす、引き出しの面。クローゼットなら床だけでなく、できるだけ棚や壁面まで。通常の洗剤拭きではカビは殺せないので注意して

3:換気、乾燥

拭き掃除の後は、しっかり風通してたんす、クローゼットともに場を「乾燥」させます。エアサーキュレーターや扇風機を駆使するのがポイント。衣類を戻した後も少し風を当てておくといいでしょう

以上、この3つの作業が適切に、かつ定期的に行われていて、衣類も洗濯、乾燥された状態であれば、たんす、クローゼットともに、さほど深刻なトラブルには見舞われずに済むことでしょう。

衣更えにおすすめ、ドライクリーニング

つまるところ、カビ対策、虫対策ともに、施すべきメインは動物性たんぱく質系の繊維。カシミアなど含めたウールやシルクの衣類が多くなりがちな「冬物」衣類に対してということになります。

【藤原千秋さんの“おそうじ歳時記”】たんす、クローゼット

衣類を食べる虫のなかでも「ヒメマルカツオブシムシ」などは「ヒメ」というだけあって、よりによって高級な衣類が大好きです。でも産卵されたところで卵は容易に目に見えません(約0.6ミリ)し、食害する幼虫も約0.8ミリ程度と微小なので、見つけて殺すというようなことは現実的ではありません。

けれども、この厄介な卵や幼虫をシッカリ退治できる身近な方法があります。それが、有機溶剤で衣類を洗う「ドライクリーニング」をかけることです。衣更えの前に、きちんとクリーニングをすることで、この嫌な虫害に遭うリスクをグッと下げることができるのです。

昨今、家庭用洗濯機と衣類用中性洗剤を使ったホームクリーニングが可能な衣類も増えていますが、水洗いだけでは虫を殺しきるのは難しいので、いろいろ勘案してみてください。

また、カシミアやシルクといった動物性たんぱく質の繊維でできた衣類は、虫除けを徹底したいならば、防虫剤と一緒にできるだけ密閉して保管してくださいね。


LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住生活ジャーナリスト、ライター

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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