海外に行けなくても留学は可能!
筆者は2019年8月に台湾の師範大学へ短期留学しました。中国語を上達させるための語学留学で、2度めの台湾留学を……と予定していましたが、コロナで中止に。もちろん健康で過ごすことができるだけで幸せなことなのですが、いつになく本気モードで勉強をしてきたので、留学が叶わず落胆していました。そんな中で、私の中国語学習のモチベーションを保ってくれていたことが、ふたつあります。
ひとつめが、日本在住の中国人YouTuberの李姉妹さんの動画。いつも楽しくわかりやすく中国語学習に役立つ情報を発信してくれます。日本に住んでいる期間が長いので、中国人だとはわからないほどのネイティブな日本語です。三重訛りが見え隠れする、姉妹の息の合った掛け合いがかわいくてファンになりました。
ふたつめは、中国語の検定試験「HSK」です。私はしばらく受けていなかったのですが、昨年5級を受験しました。HSKというのは、中国政府認定の中国語資格で、英語の試験でいうTOEICのような存在の検定試験です。HSKの成績報告は、中国国内だけでなく、日本国内、そして世界中で公的証明として活用することができるため、受験者が年々増えています(2010年は約7000人だったのが、2019年には約4万人に)。以前は社会人の受験は駐在のため、学生は留学のためという人が多かったそうですが、いまではインバウンド需要からの国内サービス業の受験生もふえているのだとか。
なんと、「李姉妹」と「HSK」が、この度、コラボして中国へのオンライン留学を企画してくれたのです!「もうこれは、参加するしかない!」と反射的に申し込みをしました。30コマ以上の授業があるにもかかわらず、授業料が6万円というお得さにも惹かれました。月~金の授業を2週間、短い期間ではありましたが、とても有意義でした。しかも、いつもYouTubeで一方的に視聴していた憧れの李姉妹とコミュニケーションをさせてもらってとても得した気分です!今回はその短期留学の様子をレポートします。
リビングから北京へ、ひとっ飛び!
オンライン留学の最大のメリットはどこからでも参加可能ということです。私は自宅のリビングから参加。子どもたちを学校と幼稚園へ送り出してからでも余裕をもって参加できました。現地の大学の現役講師に、語学留学プログラムと同じ内容の授業をしてもらえるのはかなり魅力的です。どうしても都合がつかないときや復習のために、授業の動画を後で見ることも可能。煩雑な手続きも不要なのでかなりハードルが下がりますね。
今回はHSK3級~4級の中級レベルから5級~6級の上級レベルの人が対象でした。申し込み時に自分の中国語レベルと学習期間を伝えました。私の場合はHSK5級188点(ギリギリの合格……)でしたが、今回の留学では、まさかのいちばん上の高級Aクラスに! 私のクラスは16名。人数が多いかなと思っていたのですが、思ったよりも発言する機会は多かったです。今回、ミーティングツールは「VooV」というものを使いました。無料で操作も簡単。Zoomのような感じです。
今回受講したのは、北京理工大学の授業で、基本的には1日につき、50分授業が3コマ。そのほかに期間中に3回、夜の時間帯に保定学院の文化交流の授業がありました。午後は基本的に授業がないので、その時間でお仕事をしている参加者が多かったです。今回は北京理工大学と保定学院、この2校から、実際に現地で学ぶときと同じように、短期留学の卒業証書がもらえます。課題や発表も予定されていて、参加者はみなさん気合が入っていました。プログラムの中には、李姉妹とのランチミーティングや相談会もあって、リラックスしながら進めることができました。
始業式からスタート。リアルでの留学のように、HSKのスタッフのみなさんが演出をしてくださいました。まずは日本仕切りで日本語で進行する始業式(オリエンテーション)から。そこでまず私たちが感激したのは、李姉妹さんが点呼してくれたこと。初日からテンションがあがります!HSKのスタッフの方が「まもなく飛行機が出発します!お乗り遅れはないですか?3秒で着きますからね」と声をかけてくださり、現地の大学の先生方が待つVooVの別のお部屋へ移動すると、そこからはオール中国語。
中国の伝統的な行事や音楽にふれる体験も
もうすぐ春節がやってきます。今年は2月12日。お正月飾りについて教えてもらったり、春節以外の祝日の風習など、とても興味深い内容でした。そして、手工(工作)の体験もあり、それが楽しかったんです!事前に赤と黄色の画用紙を購入して、指定されたサイズにカットしておいたのですが、始まるまで何をつくるのかわかりませんでした。
元宵節(中国の小正月)に飾る、赤い燈籠をみんなで一緒につくりました。簡単なのにしっかりと燈籠らしさがあって、見ていた我が家の子どもたちも寄ってきました。
いかがですか?なかなかかわいいでしょう?保定学院だけではなくて、北京理工大学の授業の中でも、たくさんの中国文化を学びましたが、知れば知るほど日本の文化との〝共通点・違い〟の両方がとても面白くてもっと勉強したくなりました。
たとえば、お茶は中国から世界に発展した文化ですが、伝わったルートがふたつあるという話。各国でお茶という言葉の発音が「cha」か「tee」のどちらかに近いんだそうです。日本の「茶」インドの「チャイ」は前者で広東省がルーツ。福建省からの伝わったルートはイギリスやフランスなど「ティー」と発音しているのだとか。
このような歴史ある文化のほかにも、食文化やシェアバイクの発展についてや、現在の家庭の在り方などなど、もっと聞いてみたいことばかりでした。
4児のママも参加!赤ちゃんがいる人も
今回の参加者は幅広くいろんな人がいました。就活中の大学3年生や既に就職が決まっているけれど、コロナで入社時期が延期になった人、長年翻訳の仕事をしているけれど、久しぶりに会話練習をしたいという人。そして7か月の赤ちゃんがいて外出できないけれど、勉強したいとい人、4児を子育て中のお母さんなど、それぞれみなさんのドラマがあって、それぞれの中国語への思いを知れたことがうれしかったです。
4児の母で日台ハーフの増田文香さんは、中国語の講師をしています。2歳から日本に住んでいたそうですが、当時日本語があまり話せなかったお母さんに代わって、学校行事の連絡をしていうるうちに、自分が中国語をしっかり勉強して日中の架け橋になろうと思うようになったそうです。増田さんは発音に特化したレッスンをしているだけあって、中国語は完璧!なのに、どうして今回参加したのかが気になって聞いてみました。
「オンライン留学に参加したのは、20年前に初めて訪れた北京といまの変化を知りたかったことです。そして自分の中国語がこの20年間でどれだけレベルアップしたのかを確かめるためでした。私自身も講師としてアウトプットだけではなく、インプット&アップグレードする場所を求めていたので、今回の留学は最適な学びの日でした。家庭と仕事の両立をしながら参加ができたし、素敵な仲間にも出会うことができたことに感謝しています」と増田さんは語ります。
東京、大阪、愛知、福井、福岡など日本全国からの参加に加えて、シンガポールや台湾、アメリカからの参加もありました。先生方や生徒のみなさんとはWeChatグループでコミュニケーションをとっていました。ご存じの方が多いと思いますがLINEのようなものですね。一緒に課題に取り組んだり、励まし合う中で、卒業してもずっと繋がっていたいと絆が深まりました。
卒業のセレモニーでは授業のダイジェスト動画を大学側が作成してくれていて、感動的でした。ちょうど留学が始まった1月18日は三日月の頃で、卒業の日1月29日が満月。HSKのスタッフの方が「このような感覚を分かち合えるのは、日本人と中国人ならではですね」と言っていて、感慨深かったです。卒業後には、李姉妹が卒業生向けのコミュニティを作ってくださいました!そこでのやりとりもこれから二期生、三期生……と増えていくんでしょうね。楽しみです!
3月スタートの二期生募集中!
次回の開催も決定しているそうです!開催は3月2日から、天津大学で行われます。私たちが受講したときは、昼メインの時間帯でしたが、次回はふたつのコースが用意されています。午前コース(9時~12時)が1日3コマ2週間、夜コース(19時~21時)が1日2コマ3週間。初級クラスも設定。私の周りにはまだまだ英語学習者の方が多いのですが、中国語で会話できる人がたくさん増えるといいなと思っています。参加した2週間はあっという間でしたが、今回知り合ったクラスの方々とも交流が続いています。まずはHSK6級合格を目指して、勉強に励もうと思います!
ランチミーティングお悩み相談会に参加したり、そーっと授業をのぞいてくれていた、李姉妹のおふたりにも、感想を聞いてみました。「みなさん、本当に熱心に勉強されていて!いろんな目標を持った中国語学習者が集まって切磋琢磨する姿が印象的でした。私たちももっと頑張ろう、とモチベーションがアップしました」と妹のしーちゃん。そして姉のゆんちゃんは「普段はお顔を見て話すことのできない、視聴者のみなさんと交流ができてとても楽しかったです!」と語ります。
このオンライン留学を継続して進化させ、いつかリアルな現地留学に関わりたいと李姉妹は意気込みを見せてくれました。新しいことにもどんどんチャレンジしたいという李姉妹のおふたりは、2月21日に昭文社より『李姉妹のおしゃべりな中国語』を出版されるそうです。
このオンライン留学を運営しているのは、HSK日本実施委員会の母体である、一般社団法人日本青少年育成協会です。教育系の社団法人なので、試験の運営だけではなく、その先をつないでいきたいという思いで、オンライン留学を企画されたそうです。HSK取得がゴールなのではなくて、資格取得をスタートとして留学や就職など未来までお手伝いしたいという背景があるんですね。留学の詳細は、HSKの公式サイトでご確認ください。本当に心からおすすめできる、オンライン留学です。中国語にご興味のある方はぜひ参加してみてくださいね!
この連載コラムの新着記事
-
【神戸】2泊3日の家族旅行へ行ってきました!ネイチャーライブ六甲、神戸須磨シーワールド…おすすめスポットをご紹介【2024年】
2024.11.17
-
【40代ママライターが試して実感】汗冷え・ムレ・におい…冬の汗悩みは、あったかインナー「ファイヤーアセドロン」で解消!
2024.11.08
-
【無印良品】話題の美容液、化粧水…マニアが選ぶ「使ってよかった!」スキンケアアイテム5選【2024年秋冬】
2024.11.01
-
車の香りどうしてる?話題の「TAMBURINS(タンバリンズ)」カーディフューザーを使ってみた!
2024.10.23
-
【ユニクロ×マリメッコ】2024秋冬を40代ライターが試着!ヒートテックやキッズなど注目アイテムが目白押し
2024.10.22
上紙夏花 Natsuka Uegami
ライター/ビューティープランナー
1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳