身近な節税、「セルフメディケーション税制」を知っていますか?
感染拡大が収まらない新型コロナの影響を受けて、お金の不安を感じている人も多いでしょう。まもなく確定申告期間がスタートするので、前回に続いて節税になる身近な方法を取り上げたいと思います。
前回はコロナ対策に使ったお金と医療費控除の関係について説明しましたが、医療費控除の特例である「セルフメディケーション税制」の説明が駆け足になってしまいました。この制度を利用するための注意点について、もう少し詳しくお伝えしたいと思います。
従来の医療費控除の特例として2017年から始まったセルフメディケーション税制は、医療費の増大を抑えるため、個人が病院に頼りずぎず、健康維持に取り組むことを促そうと導入されたもの。処方薬ではなく一定額以上のスイッチOTC医薬品(医療用から転用された市販の医薬品)を購入した人が所得控除を受けることができる仕組みです。ドラッグストアなどで「セルフメディケーション税制対象医薬品」と書かれた薬を、世帯合計で年間1万2000円以上購入した場合、超えた金額が所得から控除されます(ただし上限があり、8万8000円まで)。
例えば対象医薬品を年間2万円買ったとすれば、20000―12000=8000ですから、8000円が控除対象になるわけです。いくら節税になるかは控除額に自分の税率をかけると計算でき、所得税率10%の人なら8000×10%で800円、20%の人は8000×20%で1600円(そのほかに住民税からも減税となる)。これを見ると、なかなか微妙な金額ですよね。この制度を利用するならさらにもう一つ、予防接種や健康診断の受診などといった健康のための取組を行い、その領収書又は結果通知表を添付する必要があります。先に書いたように、この制度には健康維持・増進の目的もあるからです。通常の医療費控除を利用するには10万円を超える支払いが必要ですが、こちらだと年間1万2000円以上ですむので対象者は増えるのでは?とも思われましたが、節税額が小さいこともあり、知名度が低いまま。もともと2021年末までの措置だったので、このまま終了するかと思われていたのですが、なんと延長になりそうです。
制度は5年延長へ。申告書類の提出も不要に
政府が取りまとめた「令和3年度税制改革大綱」によると、まず適用期限は5年延長になりそうです。さらには、対象となる医薬品も見直し、スイッチOTC医薬品以外にも同等の効果があると認められたものも加えるとか。さらに、健康増進への取り組みについても、健康診断等を受けたことを示す書類の添付は不要にするとのこと(5年間は保管しておく必要があり)。このままの内容で決定すれば、変更は2022年度の所得税から対象となります。
新型コロナ感染が始まって以来、ちょっと体調が悪くても病院に行くことを控えた人が多かったのではないでしょうか。その代りにドラッグストアで医薬品を買ったり、外出を控えようと常備薬をまとめ買いした人もいたかもしれません。市販の医薬品なら一箱1000円以上のものも多いので、レシートを見直せば年間で1万2000円を超えているかもしれませんね。大きな節税にはなりませんが、一度チェックしてみてください。なお、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか一つしか使えないと前回書きましたが、夫がセルフメディケーション税制、妻が通常の医療費控除というように、納税している夫婦が個々の制度を使って申告するのは可能です。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。