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【A.B.C-Z 河合郁人さんインタビュー】舞台『Oslo』は「難しいテーマですが、描かれる人間模様は普遍的です」

2021.01.22

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最近、「ジャニーズにいちばん詳しいジャニーズ」として、ジャニーズ事務所のタレントのものまねやトリビアを披露し、注目度がアップしている A.B.C-Zの河合郁人さん。にぎやかで楽しい印象を与える人柄だが、ワイドショーではしっかりしたコメントで「大人」の顔ものぞかせる。舞台俳優としても活躍の場を広げており、今年もV6の坂本昌行さん主演の『Oslo(オスロ)』で重要な役を演じることになった。大先輩の胸を借りて臨む今作のテーマは、なんと、世界史的に重要な、1993年の「オスロ合意」。ノルウェーのオスロで宣言されたイスラエルとパレスチナ解放機構の協定だ。

河合郁人さん「難しいテーマですが、描かれる人間模様は普遍的です」

『Oslo(オスロ)』

「難しいテーマですよね。僕も調べてからあらためて、これは大変だ、と思いました。ただ、例えば昨年はコロナ禍で世界中が困難に陥り、ニュースでもいろいろな国の事情が流れて、日本以外の国々を勉強する機会になった、というよい面もあったと思います。オスロ合意も日本人にはなじみが薄いかもしれませんが、舞台がそれを知るきっかけになるのはよいこと。そして、描かれる人間模様は普遍的だから、実は誰でも楽しんで観ていただける内容なんです」

オスロ合意を内々に計画した、ノルウェーの社会学者テリエ・ラーシェンを坂本さんが演じ、河合さんはその無謀な計画を手助けするノルウェーの外務副大臣ヤン・エゲランとイスラエル人の経済学者ロン・プンダクの2役を演じる。

「対立しているけれど、お互いに戦争なんてやりたくない、という思いは同じ。だから、なんとか歩み寄る努力を第三国のノルウェーでそれぞれの代表が試みる。その過程を描く物語ですが、どの人物も人間味があってすごくおもしろいんですよ。特に僕の役はどちらも、わりと明るい性格なので、その意味では自分と共通していて多少やりやすいし、ストーリー的にもいい息抜きになるんじゃないかな、と思っています。長ゼリフが多いのは大変ですけどね(笑)」

結果的にオスロ合意は成功したといえない現状だが、希望を捨てず、歩み寄ろうとした挑戦は尊い。

「いろんな立場の人々が力を合わせて何かを成し遂げようとする、というストーリーは、コロナ禍を経験した今だからこそ、多くの人の心に響く気がします」

ところで、河合さんは「ジャニーズの中間管理職」と自称している。その真意を尋ねると、実にマジメな答えが返ってきた。

「同年代や後輩たちの仕事が僕よりも増えていく中で、焦りがまったくなかったとは言いません。でも、いつだったか、ジャニーさんに『you、 A. B. C-Zのマネージャー的存在になりなよ』と言われてから、自分の役割を果たそうと積極的にメンバーの意見を聞き、気持ちを汲むようにしてきました」

今ではメンバーの顔を見れば、何を考えているかわかるそうだ。

「それで気づいたのは、僕、先輩後輩問わず、人の話を聞くのがすごく好きだったんです。最近は、上からも下からも相談されることが増え、まさに中間管理職の立場にいるな、と。以前、フットボールアワーの後藤輝基さんに『ゆっくりでも進んでいるヤツがいちばん強い』と言われたのが心に残っているんですが、自分が子どもの頃から憧れていたジャニーズの中間管理職になれるなんてうれしいこと。止まっていたら今の自分はいません。ゆっくりでも進み続ける大切さを噛みしめています」

かわい・ふみと●’87年、東京都生まれ。’99年、ジャニーズ事務所に入所。’01年から、ジャニーズJr.内ユニットA.B.C.の一員として活動。’08年8月、A.B.C-Zとユニット名を変更し、現在に至る。’19年、舞台『トリッパー遊園地』で初の単独主演。’20年にも『天国の本屋』で主演を務め、舞台俳優としても頭角を現している。

stage『Oslo(オスロ)』

1993年、敵対するイスラエルとパレスチナ解放機構の指導者たちが握手を交わし、世界中の注目を集めた「オスロ合意」。この歴史的瞬間が生まれるまでの5カ月間にわたる人間ドラマを舞台化。2017年、アメリカのブロードウェイで上演され、トニー賞ほか、演劇賞を多数受賞した作品が日本に初上陸。主演をV6の坂本昌行が務め、ほかに安蘭けい、福士誠治、河合郁人らが共演。

2021年2月6~23日 新国立劇場 中劇場 問い合わせ=☎0570・00・3337(サンライズプロモーション東京) 宮城・兵庫・福岡・愛知公演あり

「Oslo(オスロ)」公式サイト


撮影/きくちよしみ ヘア&メイク/国府田雅子 スタイリスト/嶋岡 隆(Office Shimarl) 取材・文/中沢明子

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