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LIFE

CULTURE NAVI「CINEMA」

監督インタビューは必見! インド発、切ない身分違いの恋の行方は?

2019.08.07

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インド発。未来への希望を差し込んだ、切ない身分違いの恋

『あなたの名前を呼べたなら』

『あなたの名前を呼べたなら』

© 2017 Inkpot Films Private Limited,India

農村出身の若き未亡人ラトナは、経済発展著しいインドのムンバイで、住み込みのメイドとして働き始めたばかり。建設会社の御曹司アシュヴィンの新婚家庭に雇われたはずが、婚約者の浮気で、新婚旅行からアシュヴィンがとんぼ返り。落ち込むアシュヴィンを気遣いながら、ラトナは身の回りの世話をしていた。そんなある日、ファッションデザイナーを夢見るラトナが、空き時間に布生地屋で修業したいと恐る恐る申し出たことから、2人は言葉を交わすように。そしてアシュヴィンは初めて、ラトナの優しさや聡明さに気づく。

海を見下ろす超高級高層マンションや、モダンでシックなインテリア、女性たちの色とりどりのサリー、日々のコーディネートなど華々しい描写に興奮! 一方、街に出ると人でごった返しほこりと熱気に包まれる、そんな“ザ・インド”の魅力を背景に、目を見て言葉を交わすようになった2人の間にかすかに注がれ始める好意、静かにゆっくりと恋心に変換してゆく過程が、繊細に映しとられていく。ラトナはもちろん、ハンサムで穏やかな彼の魅力に最初から気づいていただろう。でも身分違いとわきまえているからこそ、アシュヴィンの親切や優しい心遣いを、断固拒絶する。だがアメリカ留学帰りのアシュヴィンは、やがてそのタブーに踏み込もうとする。そのとき、ラトナは……。

自分の中に生まれてしまった“恋心”を、必死で否定しようとするラトナの切なさったら! しかもメイド部屋なる場所に引っ込んでいるとはいえ、同じ屋根の下で暮らす状況下。たっぷり2人の煩悶を味わわせながら、このデビュー作で、カンヌ国際映画祭批評家週間で賞を受賞した美人監督ロヘナ・ゲラは、インドの因習や差別というタブーに切り込む。カースト制度ともまた別の、貧しい者を絶対的下にみる経済的階級差別、未亡人になっても亡き夫に一生仕えるという女性差別など、カルチャーショックやいろんな側面を含めて、恋焦がれる思いをたっぷり堪能したい。(Bunkamuraル・シネマほかにて公開中)

 

LEEwebオリジナル! 『あなたの名前を呼べたなら』来日されたロヘナ・ゲラ監督インタビューはこちら
繊細で素敵な恋愛映画の背景にある、現代インドに色濃く残る慣習。「「カーストに根差した差別ではなく、低所得者層に対して日常的に行われる差別」がある社会で監督が描きたかったものは? インタビューを読めば、さらに映画を深く楽しめます!

■『あなたの名前を呼べたなら』公式サイト

 

アルモドバル制作。母国で大ヒットした青春クライム映画

『永遠に僕のもの』

『永遠に僕のもの』

©2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO

ブロンドの巻き毛につぶらな瞳、ぷっくり唇の天使のような美少年に目がくぎづけ! 音楽に腰をくねらせるダンス姿もチャーミングだが、それと同じ気軽さで罪を犯す彼に「え!?」と二度見必至!

’71年、ブエノスアイレスで逮捕された17歳の強盗殺人犯の物語は、実話ベースというから驚く。ポップでエッジーな映像センスや音楽づかいに魅了されつつ、動揺と不可解な感慨が抑えられない衝撃作。(8月16日より渋谷シネクイントほか全国順次公開)

■『永遠に僕のもの』公式サイト

取材・原文/折田千鶴子

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