パリ・オペラ座バレエのトップダンサーたちの夢の饗宴「ル・グラン・ガラ2019」の公演の前日、舞台での本番さながらのリハーサルがプレス向けに公開されるとの情報が。
実は、私、子どものころに習っていたバレエを大人になってから再開し、出産後も子連れで行ける「ママバレエ」に通い、細々とですが今でもバレエを続けています。
そして、もうだいぶ前の話ですが、新婚旅行では、パリ・オペラ座でバレエ鑑賞をするために、旅行先をフランスにしたほど、パリ・オペラ座バレエの大ファンなのです!!
ここ数年は子どもの預け先がなく、来日公演も泣く泣く諦めていた私にとって、プレス向けの公開リハーサルに行けるなんて、夢のような話です。
詳しく話を聞くと、パリ・オペラ座バレエ学校の寮にマットレスパッドを導入している「エアウィーヴ」が主催するイベントとのこと。エアウィーヴは、2014年夏、東日本大震災の被災地支援として、パリ・オペラ座のエトワールを中心としたダンサー11名を石巻・仙台・福島に招き、プロバレエダンサーを目指す子どもたちに向けたバレエレッスンも開催していて、そのときの子どもたちがパリ・オペラ座のダンサーたちに再会できるよう、今回、「ル・グラン・ガラ2019」の公演に合わせて、リハーサル公開と交流パーティを企画したそう。
世界のトップダンサーたちと、これから世界で活躍するかもしれない子どもたちに会うのを楽しみに、ワクワクしながらイベントに行ってきました。
トップダンサーたちの舞台リハーサルの様子をレポート!
文京シビックホールの大ホールで、「ル・グラン・ガラ2019」の【Aプロ】の舞台リハーサルを見学。イベントの前からすでにリハーサルが始まっているということで、ホールの重い扉を開けると、すでに緊張感が張り詰めた静かで真っ暗な客席と、その先のステージ上にはライトに照らされて踊っているダンサーの姿が見えました。
どこを撮ってもため息が出るほど美しいダンサーたちのリハーサル中の写真とともに、ダンサーや演目について簡単に紹介したいと思います。
※紹介文では敬称略。
ドロテ・ジルベールとマチュー・ガニオが踊る「マノン」より“寝室のパ・ド・ドゥ”。本番と同じような表情豊かなドラマティックな踊りを見せてくれましたが、本番では見られないドロテのグレーのレッグウォーマーがおしゃれで興奮。
「白鳥の湖」第2幕より。悪魔の力で白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫に、ジークフリート王子が恋に落ちるシーン。踊っているレオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェは、ともに、2016年に「白鳥の湖」の主役を務めたあとエトワールに昇進。二人にとって思い入れのある役かもしれません。二人とも、つま先まで美しい!
オニール 八菜とユーゴ・マルシャンの「ヘルマン・シュメルマン」。パリで絶賛された、ウィリアム・フォーサイス振付によるコンテンポラリー作品。オニール 八菜は東京都出身の26歳で、2011年にパリ・オペラ座バレエ団とシーズン契約をし、2013年に正式入団。2016年に最高位のエトワールに次ぐプルミエール・ダンスーズに昇進。バレエ用品ブランド「チャコット」や「三越伊勢丹」の広告モデルを務めるなど、日本でも注目を集めています。
アマンディーヌ・アルビッソンとオードリック・ベザールの「ル・パルク」より“解放のパ・ド・ドゥ”。寄り添って立っているだけで、美しくて絵になる! そして、本番では見ることができない、「ひげ」があるオードリックが新鮮でした。
マチュー・ガニオとレオノール・ボラックによる「クロージャー」。世界中で注目を集めている、ブラジル出身の28歳の若き振付家ジュリアーノ・ヌネスの作品で、マチューの熱望により急遽上演決定。日本初上演です!
踊りの前後には、舞台装置や照明、衣裳なども慎重に確認。ダンサーや芸術監督たちの言葉を通訳が日本の舞台制作スタッフに伝えて、1つ1つ問題を解決していました。
子どもたちとの交流パーティの様子をレポート!
リハーサルが終わると、バンケットホールで交流パーティが始まりました。
今回のイベントのきっかけとなったのが、2014年夏、東日本大震災の復興支援として開催された「夢を追って世界で踊ろう」というバレエレッスンイベント。
エアウィーヴは2013年からパリ・オペラ座バレエ学校の寮にマットレスパッドを提供していて、その縁から、パリ・オペラ座のエトワールを中心にしたダンサー11名を東北の石巻・仙台・福島に招き、プロのバレエダンサーをめざす子どもたちのためのバレエレッスンの開催が実現したそう。
2016年からは、パリ・オペラ座のバレエ学校で毎年夏に実施されるサマースクールに参加する生徒向けに奨学金も提供していて、若きダンサーたちの育成に貢献しています。
初めにエアウィーヴの高岡会長から、パリ・オペラ座バレエのバレエ学校の寮にマットレスパッドを提供したきっかけや、被災地復興のためのイベントが実現した経緯などのお話があり、その後、今回来日したダンサー8人の紹介がありました。
エトワールのマチュー・ガニオさんは、「被災地で子どもたちにバレエのレッスンをしましたが、子どもにバレエを教えるのは、初めての経験。子どもたちの反応なども勉強になり、すべての時間が有意義なものでした」とコメント。東京都出身のオニール 八菜さんは「バレエを頑張っている皆さん、最後まで楽しんでやる力、そしてフィーリングを大切にして」と、会場に集まったダンサーをめざす子どもたちに、日本語でメッセージを伝えてくれました。
個人的には、ジェルマン・ルーヴェさんの眼鏡・黒シャツ・ショートパンツスタイルと、レオノール・ボラックさんの赤いドットのドレス&赤いブーツがベストドレッサー賞です(勝手にすみません)。
復興支援のバレエレッスンや、エアウィーヴからのスカラシップを受けてパリ・オペラ座バレエ学校のサマースクールに参加した、未来のダンサーたち。ステージの上で、一人ずつ今後の抱負を発表しました。
前列右の下形亮人さんは、ベルギーアントワープ王立バレエのジュニアバレエ団の入団が決定しているそう。また、前列右から2番目の出張柊也さんは9月からパリ・オペラ座バレエ学校に入学予定とのこと。将来が楽しみです!
直前の舞台リハーサルでは真剣な表情だったダンサーたちも、パーティではこのようにリラックスした表情でした。子どもたちにも積極的に声をかけ、写真撮影にも応じていました。
オードリック・ベザールさん、さっきまであったひげがなくなっていたので、いつの間に!?と驚きました。
途中、なんとも贅沢な歓談タイムもあり、記念写真まで撮ってもらいました。
オニール 八菜さんと。お母さまが日本人で、幼少期は日本で過ごしていたそうで、日本語がとてもお上手でした。
マチュー・ガニオさんとエアウィーヴの高岡会長と。高岡会長は、「身体のコンディションが大切な方々に上質な睡眠を届けたい」という思いから、バレエダンサーだけでなく、スポーツ選手や歌舞伎俳優などの活動も支援しているそうです。
会場のホールには、エアウィーヴのマットレスパッドも展示してありました。
パリ・オペラ座バレエ学校の寮では2013年から、エアウィーヴのマットレスパッドを導入。校長のエリザベット・プラテル先生は「エアウィーヴのもたらす快適な睡眠が生徒たちの表現力と集中力を高めている」ととても気に入っているそう。
以上、世界最高峰ともいわれるパリ・オペラ座トップダンサーたちのリハーサル公開と、バレエダンサーをめざす子どもたちとの交流パーティのレポートでした。
バレエダンサーという夢にむかって世界に羽ばたこうとしている子どもたちを見て、胸が熱くなり、心から応援したくなりました。若きダンサーたちのこれからの活躍が楽しみです。
また、私自身はもう夢を追う年齢ではないのですが、少しでもパリ・オペラ座ダンサーたちのように美しくなれるよう、まだまだ踊ることをあきらめずに、細く長くバレエを続けていこうと心に誓ったのでした。夫には「まだやるの?」と言われそうですが、まだやります!(笑)
撮影/細谷悠美
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渡辺有紀子 Yukiko Watanabe
編集・ライター
1979年、新潟県出身。妊娠・出産・育児の雑誌編集を16年間経験。家族はレコード会社勤務の夫、2010年生まれの息子、2014年生まれの娘。ほぼワンオペで仕事と育児の両立に奮闘するも、娘の便秘通院をきっかけに退社し、フリーに。趣味はクラシックバレエ。