社会全体で、投資が必要だというムードが高まってきた近年。ためになるとは分かっていても、初心者にはやはり、ハードルが高く感じてしまうもの・・・
そこで、初心者でも1000円程度で始められ、"ほったらかし"でできる投資法を、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー横山光昭さんにうかがいました!
ほったらかしでOKの投資とはいっても、元本割れなどリスクもゼロにはできません。
初心者が始めるにあたり、押さえておきたいポイントを詳しく解説します。
この記事は2018年5月7日発売LEE6月号の再掲載です。
「ほったらかし投資」の始め方
STEP 1|まずは家計状況を把握する
※生活費30万円の人は225万円
「無理のない範囲で投資をするために、ぜひやっておきたいことがあります」と横山さん。
「それは、家計状況と貯金額を確認すること。毎月黒字が出ているか、ムダな出費がないかを確認しましょう。貯金は生活費の7.5カ月分を確保。車や住宅を買う予定があれば、それも別にとっておきましょう」(横山光昭さん)
"7.5カ月分"は、いざというときの自分を守るため。
「使うための貯金として1.5カ月分、病気やケガ、突然の退職などにより万一収入が途絶えたときに生活防衛資金として6カ月分があると安心。これで、投資にも腰をすえて取り組めますよ」(横山光昭さん)
夫婦で、片方だけが家計や節約、投資に興味を持っていても、なかなかうまくいきません。
「2人で一緒に取り組み、相乗効果で貯蓄も投資もさらにうまくいきます」(横山光昭さん)
「ほったらかし投資」の始め方
STEP 2|積み立てる金額を決める
投資金額のおすすめは、月3000円だそう。
「1億円くらいの資産がある方でも、私はまずは3000円くらいの少額で試すことをおすすめしています。なぜなら、おおざっぱな性格でも投資には慎重な方もいれば、家計はカツカツなのに投資には前のめりの方もいるから。無理のない金額でスタートして、投資が自分に向いているかを確認しましょう」(横山光昭さん)
始めてみると、徐々に投資の感覚がつかめてくるはず。
「投資が自分に向いているとわかったら、投資額を少しずつ増やしていくのも手。もちろん貯金も大切なので、投資と並行して進めてください」(横山光昭さん)
2万7000円・・・貯金
3000円・・・「ほったらかし投資」に!
生活費7.5カ月分の貯蓄がない人は、"貯金"と"投資"を同時にスタートしても。
「7.5カ月分のお金が貯まるまでの時間がもったいないので、月に2万7000円の貯金と、3000円の『ほったらかし投資』を始めたいですね」
「ほったらかし投資」の始め方
STEP 3|口座を開設する
いよいよ、金融機関に口座を開設!
「おすすめは、楽天証券やSBI証券、マネックス証券などのネット証券です。手数料が安く、月々100円~1000円の積み立てで買える商品が多いのが魅力。ネット証券なら、店舗に行かなくても自宅で口座開設ができます」(横山光昭さん)
口座開設の際には、マイナンバーの通知も必要。
「本人確認書類等の送付も、スマホから画像をアップロードでOK。もちろん、郵送でもできますよ」(横山光昭さん)
IDとパスワードが発行され、手続きが完了すれば、ホームページからログインして、すぐに取引が始められます。
●本人確認書類
(運転免許証、住民票の写し・印鑑登録証明書、各種健康保険証、パスポート、在留カード・特別永住者証明書、住民基本台帳カード、マイナンバーカードのうちのいずれかひとつ)
「ほったらかし投資」の始め方
STEP 4|商品を購入する
証券会社のサイトで投資信託のページを見て、積み立てたい投資信託を選択。
「投資信託はいろいろな種類があり、投資対象や手数料が異なります。まず始めるのにおすすめは、手数料が安く、これ1 本で世界の株や債券に幅広く投資できる『世界経済インデックスファンド』か『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』。どちらか1 本だけ買っても、予算のうち半分ずつ買ってもOK」(横山光昭さん)
積み立てを選び、「STEP 2」で決めた金額を入力すれば、購入手続き完了。毎月自動的に同じ金額で買っていってくれます。これでいよいよ、「ほったらかし投資」デビュー!
●「世界経済インデックスファンド」
●「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」
<購入例1>
「世界経済インデックスファンド」を3000円
<購入例2>
「世界経済インデックスファンド」を1500円
「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を1500円……合わせて3000円
税制優遇でさらにお得にやるなら、こちらもチェック!
●iDeCo(個人型確定拠出年金)
年間投資上限 | 14万4000円〜81万6000円 |
運用期間 | 60歳まで |
税制優遇 | 運用益 非課税 掛け金の全額所得控除など |
払い出し制限 | 原則60歳以上 |
注釈 | つみたてNISA、一般NISAとの併用可 |
» お得に老後資金の積み立てができる
老後資金を目的に積み立てていく制度で、積み立てたお金(掛け金)全額が所得控除(その分、税金が差し引かれて計算されるため、所得税や住民税が少なくなる)になる点は特にお得。最低金額は月5000円で、投資信託や預金、保険などの商品から選ぶ。
「ただし、原則として60歳までは払い出しができないので注意して」(横山光昭さん)
税金はどれぐらいお得?
課税所得400万円で30年間iDeCoを月1 万円積み立てた場合、年利回りが3 %だと、所得控除と運用益の非課税分を合わせて、なんと約152万円もお得に。
» 30年で約152万円お得!
●つみたてNISA
年間投資上限 | 40万円 |
運用期間 | 20年間 |
税制優遇 | 運用益 非課税 |
払い出し制限 | なし |
注釈 | 2037年まで投資可能の予定 iDeCoとの併用可、一般NISAとの併用は不可 |
» 毎月少額で投資ができて税金がお得
決められた投資信託の中から選び、積み立てで買っていく。1年あたり40万円、20年間まで、投資で得た利益に税金がかからない。金融機関によっては月100円から始められる。60歳まで原則的に払い出しができないiDeCoとは異なり、いつでも売却可能。
「まずはつみたてNISAで、投資の感覚をつかんでみるのも手です」(横山光昭さん)
毎月3万3000円まで可能
(※3万3000円×12カ月=39万6000円)
税金はどれぐらいお得?
月1 万円の積み立てをして20年間、年利回り3 %だった場合、元本240万円に対して、運用益が約88万円、税金メリットが約18万円もお得に。
» 20年で約18万円お得!
撮影/露木聡子 イラストレーション/藤井昌子 取材・原文/西山美紀
この記事は2018年5月7日発売LEE6月号『「ほったらかし投資」始めどきです!』の再掲載です。
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