返礼品競争の過熱化が原因で、政府と一部の自治体の間でにらみ合いが続いていた「ふるさと納税」が、2016年6月から変わりました。
大きな変更点は、ふるさと納税の対象となる自治体が、政府の指定制になることです。これまでは、どこの自治体に寄付をしても税金の控除の対象になりましたが、今後は自治体が総務省に所定の書類を提出し、指定基準に適合する地方団体と認められたところだけが、総務大臣の指定を受けられるように変わりました。6月以降は対象と認められない自治体に寄付をしても、ふるさと納税としての控除は受けられないので注意が必要です。なお、自治体が指定を受けるには、次の条件をクリアする必要があります。
① 寄附金の募集を適正に実施する地方団体
② 返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方団体
・返礼品の返礼割合を3割以下とすること
・返礼品を地場産品とすること
制度見直しのきっかけとなった、返礼品のありかたを厳格に定めたというわけです。総務省は参加を辞退した東京都のほか、静岡県小山町、大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町を認めないと発表しました。そして、今後は「寄附者による適切な寄附先の選択を阻害するような表現を用いた情報提供」も問題となります。具体的には、「お得」、「コスパ最強」、「ドカ盛り」、「圧倒的なボリューム」、「おまけ付き」、「セール」などで、例えば実質2000円だけの負担で豪華な返礼品をおトクにゲット――というようなキャッチも使えなくなるでしょう。また、返礼品は割合を3割以下、そして地場産品と定めたことで、これまでのように牛肉やエビカニ、お米といった人気の返礼品が出せない自治体も増えそうです。また、姉妹都市や友好都市の特産物等であるという要素だけでは、地場産品とは認められないことになっています。
自治体も利用者も当分は戸惑いそう
もともとは、生まれ育った地方を離れ、別の地域で就職し納税するようになった人が、生まれ故郷にも税金の一部を還元できるようにしてはどうか、という意図を含んでいたのが「ふるさと納税」。しかし、まるでネットショッピングのようにずらりと返礼品の写真が並んだポータルサイトを見ると、もはや寄付という主旨はどこへやらという印象はありました。
とはいえ、税収が乏しい地方があれこれ知恵を絞って魅力的な返礼品を揃え、寄付を集めることに成功したのも事実です。今回の指定制度の導入は、自治体にも手続きの負担が増えますし、指定期間が1年間で、毎年申請が必要というのも、制度自体の継続にとってマイナスではないかという気がしています。自治体にとっても、寄付する我々にとっても、利用しやすい制度となることを望みたいものです。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。