愛着ある洋服を長く着るために誕生した、ユーモアあるブローチやワッペン
パリ発の刺しゅうビジューブランド「マコン・エ・レスコア」。ユーモア溢れるモチーフをブローチ、ワッペンなどに仕立て、今年でデビュー10周年を迎えます。
モチーフの選び方もさることながら、コンセプトがユニークなのも同ブランドの特徴。誰しも傷んで着ることができないけれど、手放せない愛着のある洋服の1枚や2枚持っているはず。そういったシミや虫食い穴を隠すブローチとワッペンを作ることがブランド誕生の出発点となっています。
その「マコン・エ・レスコア」がブランド設立10周年を迎えるのを記念し、こちらも今年10周年を迎える現代のリサイクルショップ 「パスザバトン」とコラボレーションイベントを開催中。
期間中はモデルのモトーラ世理奈さんやグラフィックデザイナーの長嶋りかこさんたちの愛用品を、「マコン・エ・レスコア」がアレンジして生まれ変わらせたスペシャルアイテムの展示・販売、アーカイブコレクションの販売をしています。
イベントに合わせて来日したデザイナー2人に、ブランドを立ち上げたきっかけから、個人的に実践しているサスティナブルな取り組みかまでうかがいました。
軍服の装飾に使われる技法を、もっとハッピーな形で広めたい
ーー「マコン・エ・レスコア」は、コンセプトがユニークです。その発想の元はなんでしょうか?
私たちは同じデザイン学校の同級生で、卒業後はお互いフリーランスのプロダクトデザイナーとして、それぞれ働いていました。ある時医療用ネット包帯を手がける企業で一緒に仕事をすることに。そこで「マコン・エ・レスコア」で採用しているカンティーユ(細い金属線をぐるぐると巻きつけ、フェルト地に手刺しゅうを施す技法)の職人と出会ったのです。
彼らは軍服の肩章を作っていました。職人にもっとユーモアのある仕事をしてほしい、職人もユーザーもハッピーになれるアイテムを作れないか、と考えたこともこのブランドが誕生したきっかけの一つです。
ーーアフリカだったり動物だったり、モチーフもユニーク。デザインインスピレーションはなんでしょうか?
インスピレーションは旅先で得ることが多いですね。身近なものやユーザーが想像できるもの、メッセージ性があるものをモチーフにしていますが、当たり前なものはいや。インドを旅行した時、何かに噛まれ、非常に脚が腫れたことがありました。現地の方に「大きな赤いアリに刺されたんだね」と指摘された、それをモチーフにしたことも(笑)。
ひねった形で表現したいし、その気持ちを大事にしています。だからテーマが地元のパリだった時は、有名なものばかりでひねるのに非常に苦戦しました。
ーー日本でモチーフに使えそうなものはありましたか?
たくさんあります。でも誰しも知っているものは避けたいので、よく見ると日本のものだったという形で表現したいですね。例えばサムライがしないことをさせたい。卓球をしたり、ローラースケートをしたりとか。ガイドブックのようなモチーフではなく、私たちが体験したこと、感じたものを作品に取り入れていきたいです。
服以外のアイテムを手がけられたのが新鮮だった
ーー今回のコラボイベントをすることになった時の気持ちを教えてください。
単純にうれしいです。服以外につけるワッペンを作るのは初めてだったので、ここから新たに生まれた発想もありましたし。
ーースペシャルアイテムでお気に入りのものはどれですか?
椅子はプロダクツデザイナーとしてなじみがあるアイテムですが、「マコン・エ・レスコア」では手がけたことがなかったので新鮮でした。
また私たちが暮らすノルマンディ地方では男性の人魚が有名で、それをスーツケースで融合できたのもおもしろかった。
リサイクルよりもパッケージ自体を減らすこと
ーー日本でもサスティナブルという言葉をよく耳にするようになりました。モノを大切にするという点で、お二人が普段の生活で心がけている取り組みはありますか?
住んでいる町では洗剤やオリーブオイルの量り売りの店があり、積極的に利用しています。そして由来が明確なオーガニックのものをできるだけ買うようにしていますね。19歳の我が子の世代は意識が非常に高く、子どもも肉を食べないベジタリアン。それが刺激になり、私たちも自宅では肉を食べないようにしていますし、野菜を洗ったあとの水を花にあげるなどをしています。
ーーお二人から見て日本人が環境のため、どのようなことを心がければいいと思いますか?
リサイクルは大事だけれど、それよりも元々のパッケージ自体を減らさないといけないと思います。私たちは基本的に加工食品を買いませんが、買ったとしても包装してもらわず、プラスティックのカトラリーはもらいません。おしぼりは日本のいい文化だけれど、使い捨てだともったいない気持ちになりますね。
フランスではスーパーのビニール袋は法律で禁止されており、エコバッグを持っていかなければなりません。この法律が決まった当初は面倒くさいと思ったけれど、慣れてしまえばなんてことはないです。環境問題は国として取り組まなければいけないこと。フランスも投票率が下がっているけれど、環境問題に熱心な政治家に投票してほしいです。
着られなくなった大好きな洋服をブローチやワッペンで再生させるというコンセプトはもちろんのこと、くすっと微笑んでしまうユニークなクリエーションも魅力。「マコン・エ・レスコア」のアイテムが日本でここまで揃うことは、なかなかありません。ファンはもちろん、気になる方もぜひお店まで足を運んでください。
MACON & LESQUOY X PASS THE BATON「愛着のある洋服たちの救世主」
会期:〜2019年 4月28日(日)
場所:東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ西館B2F
問い合わせ:03・6447・0707
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。